ジュニア年代における勝ち負けの考え方について【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】 | サカママ メインコンテンツに移動
ジュニア年代における勝ち負けの考え方について【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

ジュニア年代における勝ち負けの考え方について【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆様、こんにちは。大槻です。
11月に入って一気に冬を感じるようになってきましたね。サカママ読者の皆様も試合観戦時にはしっかりと防寒対策をして出掛けてくださいね。

さて、この時期になると各カテゴリーで全国大会の予選が行われています。特にジュニア年代の全国大会は各地域で多くの注目を集めます。一方で、このジュニア年代の全国大会の開催については、賛否が別れていることも事実です。

これは大人の行き過ぎた〝勝利至上主義〟によるものが大きいと思っています。そこで今回は、よく話題となる勝利と育成にフォーカスして、『ジュニア年代における勝ち負けの考え方について』整理をして一緒に考えていきましょう。

行き過ぎた「勝利至上主義」について

メディアの影響

スマートフォンやSNSの普及によって、いつでもどこでも手軽に情報が手に入るような時代になってきました。またそれに伴って育成年代のサッカーを取り上げるメディアも増えてきましたから、子ども達以上に大人の競争意識が高くなってきているような印象があります。

そしてそれが、勝ち負けだけでクラブの価値が決まってしまうような風潮を作り上げてしまっているのではないか?と疑問に感じることもあります。

大人の見守り方

子ども達のサッカーなのに、大人が過剰に競争をしているような環境ですから、子ども達への期待と共に要求も膨らんでいってしまうもの…。平日はスクールを掛け持ちし、週末は試合というサッカー漬けのサイクルで怪我を抱える子ども達を多く見てきました。また、指導者が勝つことだけを目指した指導に極端に偏ってしまい、不適切な指導に繋がってしまうケースも少なくありません。少し冷静になって大人の見守り方を見直していく必要があるかもしれません。

勝ち負けの考え方

そもそもサッカーはゲームですから、得点の多い方が試合に勝ちます。勝敗があって当たり前なのですよね。もちろん勝利を目指してプレーするのは当たり前ですし、誰も負けても良いと思って試合はしないと思います。子ども達に勝つことへの執着心や負けず嫌いな気持ちを育てることも、育成年代の指導においては大切なことでもあります。

しかし、周囲の大人が『勝敗』に対しての働き掛けを間違えてしまうと子ども達は間違った方向に向かってしまうことがあります。

 

大切にして欲しいこと

先にも述べたように大人の過剰な勝利への要求は、時に不適切な指導に繋がるケースもあります。ですから、勝敗に対してどのような考え方と心構えで子ども達と向き合っていくか?が大切になってきます。

私自身が子ども達を指導する上で大切にしていることは、『サッカーに対してどのような姿勢と態度で取り組んでいるか?』というポイントです。試合の勝ち負けだけのことを言えば、日常の取り組みを疎かにしていても、試合に勝つことはあります。しかし、それで勝ってしまうと日常の取り組みが疎かであっても勝ってしまうという誤った習慣が身に付いてしまいます。

  • 面倒だからやらなくても良いだろう
  • 誰かがやってくれるだろう

日々の取り組みの中で手を抜いていたとしても、勝ち負けだけで評価してしまえば、とにかく勝てば良い訳ですから日常を疎かにしても問題はなくなってしまいます。しかし、それでは子ども達に良い習慣を与えることは出来ません。

一方でその逆もあります。
真面目に練習に取り組み、一生懸命に努力をしていても、相手がいることですから試合に負けることがあります。時に勝負事はそういった不合理な事実に直面することがあります。しかし、子ども達の日常の取り組みを無視して勝ち負けだけを評価をしてしまうと、子ども達は日常の取り組みに対して価値を見出だせなくなってしまいます。

あくまでも過程があって結果があります。年代が低いうちは上手くいくこともあるかもしれませんが、年代が上がっていけばいくほど日常の取り組みの積み重ねが大きく影響してきます。

サッカーだけに関わらず、結果は日頃の取り組みの先にあるものだと思っています。ですから、特にジュニア年代では、取り組む姿勢を評価してあげて欲しいと思うのです。

 

まずは大人の取り組む姿勢を見せる

子ども達は大人の振る舞いをよく見ています。大人の言動によって子ども達の基準が作り上げられていくといっても過言ではありません。『頑張っているから負けても良いよ』ではなく、大人も一緒になって本気で勝利を目指すからこそ、子ども達も本気で勝利に向かっていくものです。

そしてどちらの結果であっても、課題を整理してまた次に向かって取り組んでいく…その繰り返しです。自分自身に矢印を向けずに他責にばかりしていても成長はしていきません。まずは大人が真剣に取り組む姿勢を子ども達に見せていきたいですね。

リスペクトの精神

勝利のためだからと言っても何をしても良いということではありません。『何をしてでも勝つ!』といった歪んだ感情や暴言、横柄な態度で試合を優位に運ぼうとするようなことは違います。

試合を運営してくださる方々、審判員、自チームの仲間、相手チーム、保護者、応援してくださる全ての方への感謝の気持ちを持ちましょう。特に指導者同士、保護者同士のポジティブな関係作りが子ども達の成長には不可欠です。良好なコミュニケーションを心掛けていきましょう!

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?『ジュニア年代における勝ち負けの考え方について』まとめてみました。ジュニア年代は特に結果ばかりが注目されがちですが、子ども達の成長にとってはどちらも通過点です。

勝つこと、負けることのどちらからも学ぶことがあります。そして同時に大人も学ぶことが沢山あると思います。結果だけに捉われずに、取り組む姿勢と向き合う態度を育てていくことで、子ども達は結果を引き寄せる術を知ることになります。

そして、その基準は大人が作っていくものだと思います。時には寄り添い、時には叱咤激励して子ども達の取り組む姿勢と向き合う態度を育てていって欲しいと思います。

余談ですが、私自身がジュニア時代に指導していた現日本代表選手はかなりの負けず嫌いな子でした。大事な試合に負けると泣いていましたが、翌日の練習に早く来て一生懸命課題に向き合って練習していたのを思い出します。

新書籍情報

 

(概要)
育成年代指導のスペシャリスト・大槻邦雄氏の著書『こどもスポーツ練習Q&A やってみようサッカー』が、ベースボール・マガジン社から12月5日(火)に発売される。初心者や初級レベルの選手を主な対象に、用具や基本技術、個人戦術、グループ戦術、練習方法、試合の心構えなどについて、Q&A形式で解説。写真やイラスト、図版をふんだんに使ってわかりやすくまとめられている。また、大人を対象にした子どもへの向き合い方についても章を設けてアドバイスを展開している。Q&Aの総数は67。ジュニア選手はもちろん、保護者、指導者にとって必読の1冊だ。

(書籍情報)
『こどもスポーツ練習Q&A やってみようサッカー』
判型・建頁:A5判、カラー144ページ
定価:本体1,700円+税

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WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル