子どもの成長のために大人が出来ることは【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】
サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
早いもので年度末、卒業シーズンを迎えました。学校生活だけではなくサッカークラブでの活動もひと区切りを迎えた方も多いのではないでしょうか。
子どもを通して自分の知らなかった世界に触れることになったり、想いを共有できる掛け替えのない友人ができたり、世界が拡がった方も多いと思います。その過程の中で楽しかったこと、嬉しかったことだけではなく、頭を悩ませることなど、ご苦労も多かったことと思います。
しかし、大きく考えるとその経験が良かったことなのか?悪かったことなのか?は、その瞬間に解ることではないかもしれません。 いつか振り返ったときに『あの時があったから、今があるよね。』と言えるように、これからの時間を大切に過ごして欲しいと思っています。
今年度、卒業されるすべての子ども達とサカママ読者の皆さま、『ご卒業おめでとうございます!』
新年度を迎えるにあたって、『子どもの成長のために大人が出来ること』と題して、新年度に向けて一度気持ちをリセットする意味でも、楽しいと思えるような働き掛け、サポートってどんなことなのかを一緒に考えていきたいと思います。
好きで始めたサッカーを大切に
お子さんがサッカーを始めた頃を思い出してみてください。身体よりも大きなボールをおぼつかない足取りで、ドリブルしていた姿に心から可愛いなぁと思ったものです。少しずつ大きくなってきてボールを蹴れるようになったり、ドリブルが上手になったり、お友達や兄弟でボールを蹴り合う姿に嬉しくなりましたよね。
しかし、初めは元気で健康に過ごしてくれたら良いと思っていたのに、子どもが成長していく過程の中で少しずつ期待や要求が大きくなってきたところもあると思います。
大人の関わり方によっては、子ども達の気持ちがサッカーから離れてしまう事もありますので、注意すべき点を上げて接し方について考えてみましょう。
ポイント①成長には個人差がある
子どもが歩き始めるスピードや言葉を話せるようになっていくスピードに違いがあるように、成長には個人差があるのは当たり前です。
運動や勉強であっても獲得していくのには個人差があります。もちろん環境によって育まれる側面もありますが、理解して身に付いていくのには個人差があって当然です。
(※話は逸れますが、早生まれの子などは1年の差があったりしますから尚更です。)
まずは、成長には個人差があるということを周囲の大人が受け入れるところがスタートだと思っています。
ポイント②他人と比較をしない
ボールを一生懸命に追い掛ける子、ボールを上手に蹴れる子、ドリブルが上手な子など一緒にプレーをしていると目立つ子もいるかと思います。どうしても同じグラウンドで一緒にプレーしている我が子と比較して見てしまうことありますよね。
『〇〇くんは出来ているのに...』『もっと走りなさい!』など、我が子に対して他人と比較した言葉や厳しい言葉を掛けてしまうような場面はありませんか?
もし、そのような発言があるのなら、子ども達のために少し我慢してみてください。
もちろん保護者の皆さんにとっては、『もっと頑張って欲しい!』という気持ちから、そのような発言になってしまうのだと思います。しかし、他人と比較され続けた子は、『自分はダメなんだなぁ..』と次第に自信を持てなくなってしまいます。
これでは大好きなサッカーから離れてしまうのは無理もないですよね...。その子に応じた『出来た!』を認め続けていくと、子ども達はもっと褒めて欲しい!という気持ちが芽生えていきます。そしてその気持ちは自然と『取り組む姿勢』に繋がっていきます。小さな達成感がやる気と向上心を生み出していくのです。まずは子ども達の『自己肯定感』を育てていきましょう。
ポイント③目に見えるものだけで判断してはいけない
子ども達は、大人の仕草や表情をよく見ています。何をするとお父さんやお母さん、もしくは指導者が喜んでくれるのか?何をしたら怒られるのか?など、子ども達は、そういった思考から自分の行動を導き出そうとするところがあります。
もちろんそうやって、価値観が作り上げられていく側面もあると思いますし、悪いことばかりではないと思います。しかし、子ども達が必要以上に大人の顔色をうかがったり、仕草や表情にストレスを抱えてしまっていることもあると思います。
皆さんはそのような振る舞いをしていませんか?
例えば…
- 子ども達に『勝った?』『負けた?』など結果のみを聞いたり
- 試合中や練習中のミスに対して起こるような仕草をしてみたり
- 良いプレーではなく、悪いプレーのみに注意して指摘したり
- 子ども達が思い通りに動かないことに対して、怒りや不満で体育館の床を力強く踏みつけて大きな音を立てたり
大人の振る舞いで子ども達が思い切りプレー出来ない状況を作ってしまっていることもあるのではないかと思うのです。周囲の大人がそういった視点を持つことが大切なのではないでしょうか。
子ども達が笑っているから、楽しそうにしているからと思っていても、本当は大人の振る舞いが原因で不要なストレスや不安などを抱えているかもしれません。少し冷静になって、子ども達の心に耳を傾けてあげることが必要だと思います。
やる気を引き出す環境作りも大切
子ども達の成長については、日常生活や学校でも同じような問題に直面することもあると思いますし、出来ないことに挑戦するなど、何かに一生懸命になるということはサッカーが特別という訳ではないと思っています。
小さな出来た!の連続がやる気を引き出し、その子の持っている力を引き出すことに繋がると自分は思っています。
新年度に向けて期待と不安の入り混じる心境かと思いますが、少し心と頭をリセットして子ども達だけでなく大人も良いスタートが切れるようにしたいですね。
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