ジュビロ磐田 名波 浩 監督×本誌プロデューサー 堤 秀樹 SPECIAL対談(後編) 「”勝ち”にこだわることで、成長できる」
日々、サッカーを頑張っている子どもたち。では、どんなふうにサッカーと向き合っていくことが大事なのでしょうか。ジュビロ磐田名波 浩監督と本誌プロデューサー堤 秀樹との対談が実現し、サッカーを通して成長するために大切なことを語り合ってもらいました。
「サッカーが好き」という思いを持って続けていれば、人間形成の中でも役立っていく
堤 中学生になると、部活動だけでなく、街クラブという選択もありますよね。
名波監督(以下、名波) 部活動の場合は、中3の夏で終わってしまうけれど、街クラブは3月くらいまで続くので、サッカーができる期間は限られてない気がします。
堤 街クラブが首都圏では本当に増えてきてますね。
名波 選択肢が増えるのは悪い事ではないと思うんです。ただ、小学6年生は、まだまだ自分で判断するのはむずかしい年代。ですので、親御さんは6年生の時に、お子さんに将来的にサッカーをどう考えているのかを確認して、そのうえで、どこで続けるのかを導きだしてあげて、アプローチしてほしいと思います。中学生になると、体が大きくなってパワーがつき、スピードも速くなるので、小学生の楽しかったサッカーから、少しずつ組織化されるサッカーを覚えだしていくものです。それにストレスを感じることがあっても、ちょっとしたアドバイスなどでクリアになると、選手自身、上達しているという感覚を抱くようになっていきますね。
堤 判断スピードや考える領域などサッカーのレベルはよりあがって、続けることの楽しみも増えますよね。子どもたちやお母さんたちにも、続ければそういったことがあると知っておいてほしいと思います。
名波 ただ、その根源には「サッカーが好き」という気持ちがあってこそ。その気持ちを持って中学、高校とサッカーを続けていれば、いい思い出が残って、人間形成の過程や、のちに社会人になった時にも確実に役立っていくと思います。
中学年代になる前に知っておいてほしいことは?
中学生になると、ボールのサイズが4号球から5号球になります。さらに、試合も8人制から11人制になり、ピッチのサイズも変わります。下準備として、まずは6年生の頃から、5号球のボールにたくさん触れて、慣れておくといいでしょう。私の息子は、今、中学1年生なのですが、6年生の頃に、中学年代ではそういった環境が変わること、ボールや走るスピード、パワーが違ってくるということを伝えてましたね。
中学年代でクラブチームを選んだ場合、勉強との両立が大変だと感じることがあるかもしれません。でも、サッカーへの情熱が強いから、クラブチームを選んでいる子も多いと思うので、やれる範囲で頑張ればいいと思います。親御さんも送迎などが大変になる場合もあると思うのですが「私も送り迎え頑張るから、諦めずに頑張ろう」などと声をかけて、サポートしてあげてほしいと思います。現に、うちの奥さんが、今そんな感じです(笑)。中学年代はいろんなことに興味を持つ時期でもあるので、お子さんの自由な発想を大事に、見守ってあげてください。