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見守るママは呼吸も忘れる! ジュニア世代のPK成長物語

見守るママは呼吸も忘れる! ジュニア世代のPK成長物語

サカママコラムをご覧の皆さま、こんにちは! 2026年もコラムを書かせていただくことになりました。今年も子どものサッカーを通じて学んだことや気づいたことを、心理学の目線も取り入れながらお伝えできればと思います。どうぞよろしくお願いします!

見てられない…でも見たい! ドキドキする子どものPK

皆さんは、お子さんのPKを見守ったという経験はありますか? まだ経験のない方も、何度か見守ったことがある方もいらっしゃると思います。お子さんがゴールキーパーをしているサカママはむしろ機会が多いかもしれませんね。

私は過去の自分の人生を振り返ってみても、こんなに緊張することはないだろうと思うくらい、子どものPKを見るのは緊張してしまいます。普段は試合観戦中もおしゃべりなのに、息子がPKのキッカーだと分かった瞬間から言葉が一言も出てこなくなります。息をするのも忘れて、緊迫した空気に飲み込まれます。

その反動で、PKが終わると一気に脱力。成功すれば周りの人と飛び上がって抱き合って喜びたくなるし、たとえ失敗に終わったとしても、緊張から解放された気持ちのほうが強くて、正直ほっとしています(笑)。

親でさえこんなに緊張するわけですから、当事者である子どもはさぞプレッシャーと戦いながらPKに挑んでいることでしょう。思い返してみると、PKは子どものメンタル的な成長が非常に分かりやすく表れていたなと感じたので、コラムで振り返ってみることにしました。

低学年は無邪気、中学年は人任せ気味だったPK

幼稚園児や低学年の頃は、「PKやりたい人~」とコーチが言うと、「はいはい!」と皆が手を挙げていました。“絶対決めなくては”というプレッシャーはまだ少なくて、純粋な“蹴りたい!”というワクワクが勝つのだと思います。練習や試合で皆が積極的にチャレンジして、成功したり失敗したりを経験すると、キック力の強い子やキックの精度が高い子はPKが上手だと、客観的に分かるようになってきます。

中学年くらいになると、キックの自信がある子に皆が譲るようになります。息子もどちらかというと譲り気味になりました。キャプテンなのでコーチ指示で蹴ることもありましたが、そんなときは頑張って自分を奮い立たせて蹴っていたと思います。おそらく“失敗したくない”という気持ちのほうが優勢となり、成功率が高いチームメイトに任せたいという本音が見え隠れするようになっていました。

転機はPKを外したチームメイトと一緒に泣いた試合

とある大きな大会に参加したとき、決勝トーナメントでスコアは引き分け、勝敗はPK戦で決めることになった試合がありました。ベンチで誰が蹴るかという話し合いをしており、真っ先に手を挙げた選手が数人。息子は手を挙げずといった様子が、観客席側からも見えました。立候補した選手たちでPK戦に挑んだところ、一番キックが上手な選手のシュートがまさかのバーに当たり、その結果試合に負けるという出来事がありました。

蹴った選手はコートの中央で泣き崩れます。息子はその選手に覆いかぶさるようになって一緒に泣いていました。途切れ途切れ聞こえてくる息子の声を聴くと、「お前はすごいよ! 俺なんて、手も挙げられなかったんだから」と言って泣いています。思わずもらい泣きをしましたが、周りの人にばれないようにこっそり涙を拭きました。

その大会の帰り道、車の中でPKの話題になりました。そこで、たまたま知っていたロベルト・バッジョの名言の話を自慢げにしてみました。

“Only those who have the courage to take a penalty miss them.”
「PKを外すのは、PKを蹴る勇気がある者だけだ。」
引用:Slope(スポーツ系メディア)

PKを外すというのは、そもそもPKというプレッシャーにチャレンジできた勇気ある人にしか経験できない素晴らしいことだよねと。すると息子は「その言葉、動画で見たことある」とのこと。既にどこかで見聞きしたことのある名言だったみたいです。だからあんなに泣いていたのかもしれません。ただの言葉がリアルな実体験として身に染みた、そんな出来事になったのでしょう。名言を残してくれたバッジョ、ありがとう!(笑)

高学年になり最高潮に緊迫する試合で積極的に挑めたPK

それ以降、機会はそこまで多くありませんが、試合でPKの場面があれば真っ先に手を挙げる息子の姿がありました。高学年になり、低学年のときとは比べ物にならない程プレッシャーのかかる試合が増えている中で、本当に成長したなと感じています。

そして昨年、一年に一回の一番大きな公式戦、この試合に勝てば次のもっと大きな大会への出場が決定する! まさにそんな極限の試合でPKを蹴る機会が息子に巡ってきました。見ている私はもう息が止まりそうになり、喉もカラカラ状態でしたが、息子は冷静に、自信を持ってボールを蹴りこみました。

その精神的なたくましさは、あの日の後悔や、数々の失敗経験がなければ得られなかったものなのでしょう。そして、きっとサッカーを続ける限り、今後も自信を打ち砕かれるような忘れられないPKを経験するかもしれません。でも、その度に何度でも立ち上がってほしいなと、心の底から応援しています。

プロのPK戦がたくさん観られる特別で貴重なシーズン

今回PKについてコラムで振り返ってみようと思ったきっかけの一つに、今年のJリーグがいつもと違う特別なシーズンだということもありました。引き分けで終わらず、PK戦まで行うという特別ルールです。PKを観られる機会が格段に増え、そこでプロ選手が見せる落ち着きや技術の高さに、「やっぱりプロはすごい!」と感じています。

きっとプロの選手たちも、今の成功の裏には、数えきれないほどの失敗も積み重ねてきたのでしょうね。緊張に打ち勝つ強さ、悔しさを乗り越える力、すべては挑戦し続けた先に身についたものだと思います。

PKは心臓に悪いからできれば蹴らないで! そんなふうにママはどうしてもドキドキしてしまいますが、PKは挑戦するだけで素晴らしい経験になる! 結果はその後のオマケ。そう思って、子どものPK挑戦を後押しできるといいですね

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

WRITER PROFILE

まりこ
まりこ

臨床心理士/公認心理師
オフィスkahunaカウンセラー
14歳と11歳のサッカー兄弟のママ。サカママ歴12年。
長男はおっとりマイペースに地域の街クラブでサッカーを楽しみ、次男は強烈な負けず嫌いを生かし強豪クラブで切磋琢磨。心理の専門知識が役立った経験を踏まえ、実体験や失敗も絡めながら情報を発信します。
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