チームを引っ張る責任と覚悟…ジュニアサッカーのキャプテンの役割について考える
サカママコラムをご覧の皆さま、こんにちは。ライターのまりこです。
今回は、チームでキャプテンを任されるようになった次男の姿を見ながら、ずっと感じている想いを文章にまとめてみました。
正式にキャプテンに任命された次男
思い起こせば次男のチームは、低学年のうちはキャプテンを決めていませんでした。試合でキャプテンが必要なときは、コーチからの指名制、もしくは「やりたい」と立候補した子の中から選ぶなど、その場限りの流動的な決め方でした。
初めて明確にキャプテンを決めるとなったのは中学年のときです。決め方は立候補制で、その中からみんなの多数決で決めるという方法でした。そこで迷わず立候補した次男を見て、「彼の中にキャプテンをやりたい気持ちはちゃんとあるんだ」と、ほっとしたような気持になりました。低学年の頃も、たまにコーチに指名されてゲームキャプテンを務めることがありましたが、「本当に望んでやりたいと思っているのかな? 指名されたからやる、という受け身ではないかな?」と本心が分からなかったからです。
最終的に多数決で正式にキャプテンに決まったのですが、これまでのように、『コーチに言われたからやっていたキャプテン』ではなく、『自分がやりたいと言ってみんなに選んでもらったキャプテン』なので、明らかに「責任」と「覚悟」は重くなると、親としては思いました。
とにかく、自覚をもって役割を全うしてほしい、そう願いを込めて、キャプテンマークを購入して手渡しました。そんな親の心なんて当の本人は知らないでしょうけれど…。果たして次男はどんなキャプテンになっていくのか、不安と期待が入り混じったのを覚えています。
みんなが抱く「キャプテン像」の成り立ち
次男がキャプテンになってから考えるのですが、誰もが自分の中にイメージしている「キャプテン像」というものがありませんか? サッカー日本代表のキャプテンを例に挙げれば、すごく分かりやすいですね。
例えば、私が子どもの頃、サッカーを好きになるきっかけとなった中田英寿さんとか、それ以降は宮本恒靖さんや長谷部誠さん、吉田麻也選手、現日本代表キャプテンである遠藤航選手など。印象的なキャプテンがたくさんいらっしゃって、当然みなさんタイプは違います。でも、それぞれのやり方でチームを牽引されている姿に、いつも感心させられていました。共通するのは、どの方からもキャプテンとしてチームを引っ張る責任や覚悟が伝わってくることですよね。
あと、サッカー以外でも、自分の「キャプテン像」を作り上げているモノがあると思います。例えば、今まで自分が出会った「チームや組織をまとめる人」から受けた影響とか。自分自身がリーダーとして人をまとめた経験があれば、そのとき得た知識や実体験も。すべての要素が絡まって、「チームのキャプテンとはこういう人である!」というイメージや理想像ができ上がっているのだと思います。
ジュニア時代のキャプテンの役割
偉大すぎるキャプテンたちの名前を挙げてしまいましたが、ジュニア時代のチームのキャプテンに、そこまでの役割や責任は当然求められていません(笑)。試合中プレイで引っ張る、という役割は前提として、それ以外で私が見ている限り、ざっくりと、ジュニアチームのキャプテンの役割は下記のような内容です。
・挨拶場面で代表して号令をかける
・試合前のアップの先導
・試合開始前のコイントス等の対応
・円陣での掛け声
・率先して練習用具の片づけ
・荷物の整理などマナー的な面の声掛け
本当はもっと目には映りにくい役割も細かくあるだろうし、私が知らない所で担っている役割もあるのだと思います。また、チームによってもキャプテンに求められることが微妙に違い、更にたくさん役割が求められるケースもあるかもしれませんね。
キャプテン像を自分で作る意義
キャプテンを任されるようになって2年目となった今。次男の様子はというと、私が勝手に思い描く「キャプテン像」とはまったく異なる様子です。大事な試合でもキャプテンマークを付け忘れるし(汗)。練習前後や合間など、仲間とのおしゃべりが楽しくてチーム全体が見えていないことも多々あります(涙)。そんな場面を目にすると、思わず「おいっ!」と突っ込みたくなります。
でも、それは、私の思い描く「キャプテンとはこう!」というイメージから程遠い姿を見たときにモヤモヤするだけなのだろうと、私も段々気づいてきました。次男は今まさに、「キャプテンとは」を自分で見つけようとしている真っ最中であって、親が勝手に決めつけたキャプテン像を押し付けてしまってはつまらないのでは? そんなふうにも考えるようになりました。
実は、次男のキャプテンシーに関しては、5歳の頃にすごく印象的なことがありました。スポーツ系の幼稚園に通っていたのですが、ある日急に「ねぇ、ママ。クラスのみんなを引っ張るってどういうこと? どうやって引っ張るの?」と聞いてきたのです。
最初は「え?」と驚きましたが、これはおそらく先生方から、「あなたがクラスを引っ張るんだよ」と言われているからだなと想像ができました。足が速かったので、先頭きって走ることで、クラスの子たちの走りもどんどん引き上げてほしい、きっと先生はそういう意味で使った言葉だったと思います。でも、「引っ張る」の意味が、その言葉の通り物理的に引っ張ることしか思い浮かばなかった当時の次男は、どうやったらみんなを引っ張ってあげられるのだろうかと、5歳なりに本気で悩んでいたのかもしれません。かわいかったなぁ。
そうやって、先生の一言をしっかり聞いて、自分なりにどうすればいいのかを考えている、その姿はきっと思春期に入ってきた今も変わらないと、信じてあげなきゃいけませんね。キャプテンを任されたというありがたい環境の中で、コーチやチームメイトから何を求められているのか、たくさん学んで、たくさん失敗して、自分なりのキャプテン像を育ててほしいなと思います。
ジュニア時代の終わりに向けて
明確なキャプテン像をまだ持たない次男は、キャプテンとしての自分よりプレイヤーとしての自分の役割に集中しがちで、キャプテンとしての責任も覚悟もまだまだ未熟です。
でも、それはジュニアなら当然で、私はキャプテンに関しては何も口を挟まないよう気をつけています。もちろん、キャプテンに関係なく最低限のマナーについては口を出しますが、「キャプテンなんだから~~すべき」などと、私の勝手な口出しで彼の「キャプテン像」の形成を邪魔しないようにしたいです。チームのコーチたちやチームメイトたち、スクールで出会う指導者たちなど、たくさんの人々の出会いの中から多くの学びを得て、次男らしいキャプテンに成長してくれることを願います。
私のやることは、戦いの後、汚れたキャプテンマークを手洗いしてあげることくらいです。6年生が終わるころ、ぼろぼろになったキャプテンマークを見て本人は何を思うのか。果たしてどんなキャプテンに成長しているのか。ただただ楽しみにしたいと思います。今月も最後までお読みいただき、ありがとうございました!