ジュニアアスリートの好き嫌い克服のためにできることは…大好物「ジェノヴェーゼ」で食事タイムを存分に楽しむ
小さなイタリア料理店を東京・渋谷にて営むサカママとして、「食トレ×イタリア料理」をテーマに日々実践していることを発信していきます。
あっという間に梅雨のジメジメと夏の暑さが入り混じる時期の到来で、気がつけば小6長男のジュニアユースの練習会やセレクションの予定が前触れもなく目まぐるしく入ってきました。
通常の練習やリーグ戦に加え、ジュニアユース選びに向けたスケジュールをこなすのも大変ですが、何よりも子どものメンタルケアを第一に考えることが最も大事な時期なのだと気がつき始めています。
親子で気持ちがアップダウンしやすく、新しい挑戦や環境に緊張を強いられることの多いシーズン。頑張ったら思う存分リラックスして食べてもらえるような、選手本人が楽しみになる「ご褒美ご飯」を用意してあげたいものですね。
長男は昔から大の「ジェノヴェーゼ」好き。でも日本で「ジェノヴェーゼ」と呼ぶパスタを、イタリアでは「ジェノヴェーゼ」とは呼ばず「アル・ペースト」と呼ぶことがほとんど。
イタリアのリグーリア州発祥で、手打ちパスタ「トロフィエ」と合わせるのが本場のスタイル。我が子はもっぱらスパゲッティ派ですが、時々手打ちパスタでも楽しみます。我が家の長男にとってはアル・ペーストが何より特別なご褒美ご飯です。
バジルが美しく育つ時期、ベランダやお庭でも比較的育てやすいバジルを使って、この季節の美味しさをぜひ味わってみてくださいね。
ジュニアアスリートの好き嫌いは「自分で作る」ことで克服できる
「アスリートのための食トレ」の著者:海老久美子さんは、ジュニアアスリートの時期に好き嫌いの克服にチャレンジしてほしいと記されています。
好き嫌いをなくしたほうが良いことの理由として、嫌いなものがあるということは、それだけ食べられるものの種類が少なくなり、それに伴って摂れる栄養素の自由度が低くなってしまうから。
例えばアスリートに欠かせないミネラルである鉄。レバー、ひじき、かつお、小松菜、納豆などに多く含まれていますが、この挙げたものがすべて苦手だった場合、鉄を十分に摂るための食材はどんどん限られ、メニューも似たようなものばかりになってしまいます。
ジュニア期のアスリートが何より素晴らしいのは味覚も成長途中ということ。もう嫌いなままでいいや、とならないうちに、早めに克服を目指すチャレンジができると未来にプラスしかありません。
好き嫌いの克服方法の一つは「自分で作ってみる」ということが有効だそう。野菜やハーブなど自分で育てたものは食べてみたくなるので、これも手です。そしてもう一つは「料理を自分でしてみる」ということ。手順を理解し、段取りをして、完成を目指すことで頭も使いますし、いざという時に自分で食事を作る練習にもなります。
あまり料理を手伝うことがない長男も、アル・ペーストに関しては好きなパスタなので、作ることにも積極的です。先日はお世話になっている下の階に住むおばさまに、お礼としてアル・ペーストを自分で作って振る舞っていました(もちろん少し手伝いましたが)。好きな料理を作って大切な人に食べてもらおうとすることや、一緒に食べるということは、何よりかけがえのない時間であり経験になると思います。
万能ハーブ「バジル」で夏本番に向け食欲増進を
色鮮やかなバジルには抗酸化作用の強いβカロチンやビタミンEが豊富で、カルシウムや鉄、マグネシウムやミネラルまで含まれる万能ハーブです。また独特の香りは食欲増進効果や鎮静作用も期待できるそう。
ベランダなどで育てておけば、手軽にトマトとモッツアレラチーズにバジルをたっぷりのせ、塩・胡椒とオリーブオイルでカプレーゼができます。モッツアレラがなければバジルとトマトだけでも十分なご馳走サラダです。
アル・ペーストも材料さえ手に入ればとても簡単に作ることができます。バジル、松の実、ニンニク、オリーブオイル、塩を合わせてすり潰し、パウダー状のパルミジャーノ・レッジャーノを加え、ミキサーにかけるだけ。
スパゲッティを茹でて、ボウルでソースと絡めれば、香り豊かで食欲がそそられるアルペーストの出来上がりです。仕上げにお好みでパルミジャーノ・レッジャーノを振りかけてくださいね。
私たちのレストランでも美味しいバジルが手に入る時はメニューに登場しますので、国立競技場でサッカー観戦の前後などにぜひ召し上がりにいらしてくださいね。
好きになる可能性を信じて食卓で試行錯誤を繰り返す
その食べ物が本当に嫌いかどうか、機会を作って子どもと話してみると面白いです。長男はキノコが嫌いですが、イタリアの代表的なキノコ「ポルチーニ」のクリームソースやオイルベースのパスタは全く問題なく食べられたこともあったり、実は椎茸やしめじが苦手だっただけで、えのきやなめこは味噌汁に入れたら食べることができたり、なんてこともあったので、親子で一旦思い込みを捨ててみると視野が広がります。
嫌いな食材の理由を掘り下げてみると、大昔に食べてあまり美味しくなかったからとか、どうしても食べられないほど嫌いではないけれど、他に食べたいものがあるから手が伸びないとか、理由は意外なところにあったりします。
あまり手が伸びない食材なら、小皿に最初から取り分けて自分の食べる分として、つい食べてしまうような食卓動線を作ってみるのも我が家では有効でした。
嫌いな食材も頭ごなしに排除せず、美味しく食べてもらえる方法を模索できると、食卓のマンネリ化を防ぎ、親子の会話の糸口も広がるような気がしています。
いつも頑張っているジュニアアスリートに、できる限り多くの食材を楽しみながら食べてもらうために私たちができること、楽しみながら追求していきたいですね。