サッカーで特に気をつけたい「スポーツ外傷」 その予防や対応は?
スポーツの秋に相応しく、今月はさまざまなスポーツの集大成とも言える大会が執り行われており、各結果も気にしつつ、息子のサッカー観戦、応援と過ごしています。
スポーツをしている限りケガはつきものということは分かってはいますが、実際に目の当たりにすると慌ててしまいますよね。子どもたちが受傷した際に、大人が慌てず正しい方法で対応することが不安、痛みの軽減につながるのではないでしょうか。
スポーツにおけるケガには大きく「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の2種類があります。前回お伝えした「成長期のスポーツ障害」に引き続き、今回は「スポーツ外傷」についてお話ししたいと思います。
「スポーツ障害」との違いは?
「スポーツ障害」は、同一部位に小さなストレスが繰り返し加わり積み重なって起こる身体の異常です。日々の蓄積により、慢性的に発症します。疲労骨折・関節炎などがそれにあたります。
それに対して「スポーツ外傷」は強い外的ストレスがかかることによって生じる身体の異常です。アクシデントによって起こることが多く、打撲・捻挫、骨折・脱臼・筋断裂などがそれにあたり急性に発症します。
みなさんもご存じのとおりサッカーはコンタクトスポーツで、身体の衝突があったりプレー中に腰から足にかけての負荷がとても大きく、外傷も障害も起きやすいスポーツです。
スポーツ外傷が起きたときの対応は?
スポーツ外傷は急に症状が出現するので、発生直後の応急処置に加えて医療機関での対応、適切な治療が必要です。
ケガをしたらすぐに適正な応急処置を行うことがケガを悪化させないために大切なことです。応急処置をすることでケガの回復が早まることが期待できます。外傷が起こってしまったときの応急処置には、それぞれの頭文字をとって「RICE処置」という処置があります。
安静 Rest (レスト)
試合中などのプレー中にケガをしたときは、安全な場所に移動し患部を動かさないように安静にしましょう。
冷やす Ice (アイス)
患部を氷嚢や氷の入ったビニール袋・アイスパックなどでアイシングします。冷やすことで腫れや痛みが抑えられます。
圧迫 Compression (コンプレッション)
患部が動かないようにして、内出血・腫れを予防するために圧迫します。強く圧迫しないように注意して、テーピングや包帯などを使用します。
挙上 Elevation (エレベーション)
足の場合は寝る姿勢をとり、足の下に枕を入れたり布で足を吊るなどで安静にします。患部を心臓より高い位置に挙げることで、腫れを予防することができます。
育成年代ではチーム専属のドクター・トレーナーの確保が難しいので、各々でケガに対する準備が必要であると思います。チームでメディカルバッグにアイシングツール(氷枕、緊急用保冷剤)や氷を準備するなどの対応をしておくと安心ですね。
ケガ予防の際には、FIFA11+国際サッカー連盟医学委員会参加のFIFA Medical Assessment and ResearchCentre(F-MARC)が作成した外傷・障害予防のウォーミングアッププログラムも参考にしてみてください。
〈参考記事〉
ケガを予防するためのウォーミングアップの工夫
身体の部位やケガの程度により予防や対応は違ってきますので、応急処置後は直ちに専門医の診察を受けてくださいね。
今年度の最後のコラムとなります。一年間、読んでいただきありがとうございました。