外で熱中症になってしまったら? 応急処置のポイントを知っておこう!
みなさんこんにちは! スポーツ看護師の金子会里です。暑い毎日が続き、スポーツ現場でも熱中症対策が不可欠になっていますね。日陰を作れる屋根があるだけでも全然ちがいますが、さまざまな対策や準備をしてくださる関係者のみなさんにはいつも頭が下がる思いです。安全第一ですが、今回は外で熱中症にかかってしまった場合の「応急処置」について、正しく理解するためのポイントをお伝えしようと思います。
「めまいがする、吐き気がする」などの症状は、もしかしたら熱中症かも!? さまざまな予防をしていても気が付かないうちにかかってしまう熱中症は、もはや誰にでも起こりえます。「熱中症」が増え続けている今、早期の応急処置をしないと重症化してしまうケースもあり、正しい対処法を知っておくことはとても重要です。応急処置にはさまざまなフローがありますが、今回は冷却法と自力での水分摂取についての観察ポイントをお伝えします。
クールファーストが大切
熱中症が疑われる症状がある場合、まずは体を冷やすため冷却を行うことが優先されます。体温の上昇により引き起こされている症状を改善するには「クールファースト」で、まずは体温を速やかに下げなくてはいけません。熱に弱い頭部の冷却も忘れないでください。
日陰やクーラーの効いている場所がある場合はそこへ移動し、衣服をゆるめてカラダ全体の冷却を行います。体温37℃以下が目安です。横になり足を高くすると心臓に血液が戻りやすくなり、全身の血流が改善するので、可能ならば冷却とあわせて足も高くしてください。
氷で首や脇、足の付け根を冷やす3点クーリングよりも、全身を濡らして風を当てる方法が効果的と言われています。水分が蒸発するときの気化熱を利用して体温を下げる冷却法は、霧吹きや濡れたタオルを体に当て、扇風機やうちわであおいだりすることで効果が得られます。
屋外で可能ならば、素早く体温を冷却するために直接ホースで体に水をかける方法や、水を張ったアイスバスなどに体を入れる方法もあります。高体温を放置していると痙攣や意識低下をまねくかもしれない熱中症は、素早い効果的な冷却がとても大事になります。「寒い」と本人が言うくらいまでが冷却の目安になります。
自力で水分摂取ができるかどうか?
冷却をしながら、水分摂取が自力でできるかどうかも大切なポイントです。自力で水分が飲めるとは「30分以内に500ml」が飲めるかどうかが目安になります(あれば経口補水液を)。ペットボトル半分程度飲めても、それは自力で飲めたとはいえません。なかなか500mlを飲みきれない場合は、医療機関で点滴が必要になることもあります。
冷却をしながら水分摂取を少しずつ促し、症状が改善してくれば一安心です。無事帰宅するまでは必ず誰かがそばにいてあげてください。
救急車はどんなときに呼ぶ!?
顔色はどうですか? 呼びかけに応じますか? 意識がない場合はすぐに救急車を呼んでください。また、自力での水分摂取(30分で500mlが目安)ができない場合や、頭痛や吐き気、意識状態などの症状が悪化してきた場合も医療機関での処置が必要です。迷ったら「119番」をする勇気を持つことも大切になります。
暑い環境下での体調不良は「熱中症」の疑いがあると判断し、すぐに応急処置を行うことで後遺症を残さず、後の早期復帰を望むことができます。冷却と水分摂取のポイントを押さえて、残暑も厳しくなると予想されるこの夏を、みんなで元気に乗り切りましょう!
※本記事は、看護師としての経験や知識をもとに書かれているものです。