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親子の距離感を見られていますよ!保護者の立ち位置見直しのススメ【Monocular #22】

親子の距離感を見られていますよ!保護者の立ち位置見直しのススメ【Monocular #22】

サカママの皆さん、いかがお過ごしでしょうか。サカママライターのマツユミです。つい先日まで、熱中症を心配していましたがここ数日、急に寒くなってきました。

いよいよサッカーシーズンに突入し、北風にさらされブルブル震えながらの試合観戦が始まりますね。さて、今回のコラムでは「親子の距離感」についてです。なかなか答えのないテーマですが、先日スポーツ指導者の方と「親子の距離感」についてお話しをする機会があり、とても勉強になったためコラムを通して皆さんと共有したいと思います。

お話を伺ったスポーツ指導者は、ズバリ「親子の距離感」を見ていますよ!とおっしゃっていました(汗)。ここで言う「親子の距離感」は、いくつかのカテゴリーに分けられるそうで、それぞれの距離感についてお伝えします。

フィールドに入るまでの距離感

1つ目は、「フィールドに入るまで」です。荷物の持ち運び、トレーニングシューズやスパイクの紐結び、忘れ物の対応、着替えの介助などがあげられます。これらは全て子ども自身で対応できるとおっしゃっていました。つまり、自分で運ぶことができる荷物量にする、着替えや紐結びの練習を自宅で行う、忘れ物がないかの確認など、子どもが自宅で準備し対応できる事柄のため、フィールドに入るまでの親子の距離感は相当遠くでいいはずです。

私自身、子どもがジュニア選手だった頃、スパイクやレガースを忘れた時は、自宅に取りに行ったことも数知れず…シューズの紐結びに至っては躊躇なく手伝っていました。自分でできることに保護者の手が入ることで「子どもが成長する機会を奪う行為」につながっていくのだと改めて感じています。

 
信頼できるコーチにお任せしてみる(*コラムに出てくる指導者ではありません)

フィールド入ってからの距離感

そして、2つ目は「フィールドに入ってから」です。サッカーは、選手とコーチ、試合の時は審判を加えた3者がそれぞれのベストを尽くすことを通して成立します。にもかかわらず、フィールドの外から子どもに指示を出す、コーチや審判の判断に対して抗議をする保護者も少なくありません。

観客席からの指示出しは、私たち保護者が想像している以上に指導者や選手たちの耳に届いているそうです(笑)。さらに、プレー中の小さな出来事を褒めすぎると、子どもがよりハードルの高い課題に対して失敗をおそれ、チャレンジすることを回避してしまう行動に向かうこともお話ししてくださいました。

私も息子の試合中に「もっと走れー」と何度声を張り上げてしまったか、振り返ると恥ずかしいですね(笑)。選手の成長を願うならば、フィールドにいる選手・コーチ・審判を信頼して大きく距離をとり、できている事・できていない事に対して細かく口を出さず、保護者は、子どもたちのプレーをする姿を楽しみ、応援に徹するべし!ですね。

 
サッカーソックスを忘れ裸足でプレーしたことも(笑)

子どもとチームの間に立つ保護者の距離感

3つ目は、「子どもとチームの間に立つ保護者」です。ご存知の通り、サッカーはチームスポーツの代表格です。実は、このチームスポーツというサッカー本来の姿から距離をとりすぎて、チーム活動を疎かにする保護者がいるそうです。一方で、子どもの前に立ち保護者とチームの距離が非常に近く、子どもが保護者の後ろをついていくパターンもあるそうです。

ジュニア時代、子どもたちはチームメイトと自分たちなりの方法で時間を過ごすことを通して、サッカーだけでなくいわゆる「人間力」が成長していきます。

このジュニア時代に「人間力」を獲得しているか否かが、ジュニアユース・ユースへと続く、選手としての大きな成長につながっていくそうです。子どもがチームメイトと良好な関係性を築いていく為に、保護者は子どもとチームの間に立つのではなく、両者の関係を見守る少し離れた場所に立っていたいですね。

今回お話を伺った指導者は、長年のコーチキャリアの中で、保護者の距離感が原因で多くの優秀な選手が辞めていく姿を見てきたそうです。サッカーを通して、子どもが自律していくこと、自分の頭で考えてプレーする選手になることや大好きなサッカーでどんどんチャレンジしてほしいですね。

そして、チームメイトと楽しい時間を過ごしてほしいという願いは、私たちサカママに共通する思いではないでしょうか。だからこそ、距離感の取り方を見つめ直したいですね。

WRITER PROFILE

マツユミ
マツユミ

「みんなちがって、みんないい社会とは?」を日々考える社会科学系研究者。2人のボーイズ(12歳・9歳)を育てるサカママ。兄は、サッカー8年目。一方、弟は兄の影響でサッカーを始めるも、現在はアイスホッケーに夢中。スポーツ医の夫と愛犬の5人家族。