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【睡眠時間×ジュニア世代】うちの子は何時間必要?年代別の適切な睡眠時間とは?

みなさんこんにちは!
スポーツ×睡眠】をコンセプトにアスリートの睡眠サポートを行っている、スリープトレーナーのヒラノマリです。
#スリトレ」はスリープトレーニングの略で、プロ選手も実践している私の睡眠メソッドの略になります。今回もサッカージュニアとママのための#スリトレをご紹介します。

さて、新学期や新年度がはじまり、「子どもの生活を整えたい、見直したい」と思っているママも多いのではないでしょうか。そこで今回は、年代別の理想の睡眠時間と忙しい中でも睡眠時間を伸ばすポイントをご紹介します!

日本の子どもの睡眠事情は深刻?!

 

ジュニア世代の睡眠には、【①身体のメンテナンス ②脳のメンテナンス ③身体を育てる ④脳を育てる】という4つの役割があります。
①と②の役割は子どもから大人まで共通していますが、③と④はジュニア世代特有の役割です。子どもの成長にとって睡眠は大切な役割を担っているのです。

しかし、日本の子どもの睡眠事情は大人同様、世界から見ても深刻と言われています。
小学校高学年を対象にして行われた調査※1によると、イギリス、フランスでは半数以上の子どもが10時間以上寝ているのに対し、日本では10時間以上寝ている子どもはたったの4%という結果でした。

その他にも、日本の子どもの睡眠は40年間で約60~80分短縮しているという報告※2や、高校生を対象にして行われた別の調査※3では、24時以降に就寝する高校生の割合が日本はアメリカの約4.2倍という結果も出ています。
このようなことから、日本のジュニア世代は世界と比べて睡眠時間が短い上に、就寝時間が遅い夜型化していることがわかります。

子どもの睡眠不足で起きる弊害とは?

 

そして、子どもの睡眠時間が不足してしまうと様々な弊害が起こることがわかっています。

東北大学のチームが、5~18歳の健康な子どもたち290名の「平日の睡眠時間」と脳のMRIの写真を比較した結果、睡眠時間の短い子どもほど海馬の体積が小さかったことが報告されています※4
海馬は、前回の記事でもその働きを紹介させていただいていますが、記憶の司令塔とも呼ばれている脳の部位です。その日1日で得た情報や記憶は一旦海馬に保存される仕組みになっており、記憶力に大きく影響しています。

その他にも、将来の肥満のリスク、言語発達、集中力、情動面への影響、多動のリスクを高めるなど様々な悪影響が報告されています。

年代別の適切な睡眠時間って?

それでは、子どもの適切な睡眠時間とはどれくらいになるのでしょうか?
アメリカ国立睡眠在団が2015年に年代別の理想的な睡眠時間を発表しているので、その数値をご紹介します。

新生児(0~3か月):14~17時間
乳幼児(4~11か月):12~15時間
幼児(1~2歳):11~14時間
未就学児(3~5歳):10~13時間
就学児(6~13歳):9~11時間
ティーンエージャー(14~17歳):8~10時間

この数値を見て、想像より長かったと思われた方も多いかと思います。
しかし、このガイドラインの特徴は「9~11時間」など時間幅が広く設けられている点です。例えば小学生のお子さんがいる方で、お子さんの睡眠時間が足りていなかったとしても、いきなり11時間を目指す必要はありません。まずは9時間を目指し、段階的に睡眠時間を伸ばす努力をすることが、無理なく睡眠を意識するポイントになります。

無理のない範囲から!睡眠時間を伸ばすための#スリトレ

 

とはいえ、1時間、2時間と睡眠時間を伸ばすのもなかなか大変ですよね。そこで、気負わずに少しずつ睡眠時間を伸ばすための#スリトレをご紹介します!

①子どもの睡眠時間を記録して、睡眠の傾向を調べる!

まず睡眠時間を意識するために、スマホのスケジュール機能のメモや、カレンダーの隅っこにお子さんの睡眠時間を記録していきましょう。
その際、お子さんの習い事や学校のスケジュールが書いてあるところと一緒に睡眠時間を記録するのがポイントです。そうすると、「休みの前日は就寝時間が遅いな」「習い事がある曜日はどんなに頑張っても〇時就寝が限界だな」という感じで、お子さんのスケジュールと睡眠の傾向が見えてきます。
このスケジュールと睡眠時間から睡眠の傾向を調べる方法は、実際にプロアスリートの方にも私が行っている#スリトレになります。3週間~1ヶ月ぐらいするとその傾向がわかってくると思います。

②1週間単位で睡眠時間をマネジメントする!

①で睡眠の傾向がわかったら、次は1週間のお子さんのスケジュールと重ねながら睡眠時間の計画を立てていきましょう。
この際、無理なく実践するためには、1日1日で睡眠時間を計画するのではなく、1週間単位で計画することがポイントです。1日1日で考えてしまうと、毎日続けることが負担になってしまう上、上手くいかないと「今日もできなかった」と自分自身を責めてしまいがちです。
先程のスケジュールと睡眠の傾向を重ねながら、「この日は習い事でどうしても寝るのが遅くなってしまうから次の日は早く寝よう」「休日の前はダラダラ過ごして夜更かししがちだから、テレビを早く消してお風呂に早く入ろう」などとざっくりとした目標が立てられればOKです。

③睡眠時間を早めるのは、1週間に15分ずつ!

睡眠時間の不足を補うために、「明日から1時間早く寝る!」と決めて実行できそうでしょうか? 夕飯やお風呂の時間も早めないといけませんし、いきなりそう決めても難しいですよね。
そこでオススメなのが、1週間に15分ずつ就寝時間を早めるという方法です。最初の1週間は以前の就寝時間より毎日15分早く寝る、その次の週はさらに15分早く寝るといったかたちで徐々に就寝時間を早めていきましょう
15分ずつであれば、夕飯やお風呂の時間を一気に早める必要もないので、続けやすくなります。1週間単位で早めることが難しければ、2週間単位、3週間単位、1ヶ月単位などペースを抑えても問題ありません。大切なのはできる努力を毎日負担にならない範囲で少しずつ積み重ねていくことです。

そしてお子さんの就寝時間を早めるためには、ママの努力だけでなくパパの努力も必要不可欠です。日本と同じように共働きが多い欧米が、子どもの睡眠時間を日本より確保できているという背景には「ママが家事をする」「ママが寝かしつけをする」といった固定概念ではなく、「子育てや家事は家族全員でして当たり前」という概念があるからだと私は思っています。

ぜひ新生活がスタートしたこのタイミングで、無理なくできるところから家族で睡眠習慣の改善に取り組んでみてくださいね。
それでは、次回もお楽しみに!


参考資料

  • ※1…額田成『子供の背をのばすためにできること』
  • ※2…一般財団法人日本ふとん協会『睡眠環境と寝具 睡眠編』
  • ※3…日本睡眠教育機構『ティーンのための眠り読本』
  • ※4…Sleep duration during weekdays affects hippocampal gray matter volume in healthy children
    NeuroImage | Volume 60, Issue 1, March 2012, Pages 471–475.

WRITER PROFILE

ヒラノマリ
ヒラノマリ

『スポーツ×睡眠』をコンセプトにした日本で唯一のアスリート専門の睡眠のパーソナルトレーナー、『スリープトレーナー』としてプロ野球選手、Jリーガー、五輪代表選手など、多くのプロアスリートの睡眠をサポート。大のサッカー好きでスタジアムに足を運ぶことも。睡眠健康指導士、アスリートフードマイスター2級などを保持。
テレビや雑誌などのメディアでも活躍中。

https://expartner.co.jp/talent/hirano-mari/