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「なでしこ」って呼ばないで、私は「サッカー選手です!」【Monocular #3】

サカママの皆さん、いかがお過ごしでしょうか? サカママライターのマツユミです。
今月は、3月ということで「女子サッカー」を眺めてみたいと思います。3月3日は桃の節句でしたね。元日本代表の北澤豪さんのインスタにも素敵な雛飾りがアップされていました。雛人形を飾ったり、ちらし寿司を食べたりとお祝いをしたご家庭もあったかと思います。我が家は女の子が私だけなので、シラーっと過ぎてしまいました(笑)。

女子選手は「特別な選手」じゃない!

さて、3月8日は「国際女性デー」でした。女性の「主体性・平等・平和」を改めて考える大切な1日です。そこではじめに、今回のテーマ「女子サッカー」について、私自身の苦い経験をお話しします。

数年前、息子が所属するチームの女子選手に「○○ちゃん、なでしこだね~。男子に交じってがんばっているね!」と声をかけたところ、彼女から「女子だから、なでしこ、なでしこって言われるけど、私は○○くんと同じサッカー選手だよ」と言葉が返ってきました。この会話を通して、自分が無意識のうちにサッカーを男子のスポーツと捉えていたこと、そして、そこにいる女子選手を「男子に交じっている特別な選手」として眺めていたことに気づかされました。

その時以来、女子選手に対して出来るだけ「なでしこ」という言葉を使わないように意識しています。サッカーを大切だと思う気持ちや上手くなりたいと思う一生懸命さに女子や男子は関係ないですよね。

女子サッカー界にとって嬉しいニュースも

今年に入って女子サッカー選手に関する嬉しいニュースがたくさん報道されています。女子サッカー強豪国であるアメリカで、「男子代表選手との賃金是正」を求めた訴訟の和解が、2月に発表されました。この和解によって、報酬の支払い(約25億3000万円)や女子サッカー選手の引退後などに充てる基金(約2億3000万円)が設立され、ワールドカップを含めた男女の報酬を同額とすることが決まりました。アメリカは、オーストラリア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、イギリス、ブラジル、アイルランドに続いて代表選手の男女賃金格差が解消される国となりました。また、日本では、元日本代表の岩清水梓選手(日テレ・東京ヴェルティベレーザ)が、出産を経ても現役選手として試合出場する姿が3月に入り報道されました。

こうしたニュースは、女子選手の育成、女性指導者や女性審判の活躍、そして女子サッカーのさらなる普及につながっていく前向きな変化を社会にもたらしてくれるのではないでしょうか。

誰もがサッカーに夢中になれる環境を目指して

 

もちろん、男子選手と女子選手の身体的な違いなど生物学的な違いを無視することはできません。一方で、男子だから弱音を吐くな、女子だからピンクのユニフォームなど、社会的な性差(ジェンダー)をこえていくことの大切さを改めて考えていけたらと思います。サッカーは、性別に関わらず全ての子どもに開かれているスポーツです。一人ひとりの子どもが、その子が心地よい性的認識を持ちながら、思いっきりサッカーを楽しみ、夢中になれる環境を整えていきたいですね。

ちなみに、国連は10月11日を国際少女デーと定めています。およそ半年後、改めて女子サッカーについて皆さんと考えてみたいと思います。引き続き、お付き合いください。


参考資料

WRITER PROFILE

マツユミ
マツユミ

「みんなちがって、みんないい社会とは?」を日々考える社会科学系研究者。2人のボーイズ(12歳・9歳)を育てるサカママ。兄は、サッカー8年目。一方、弟は兄の影響でサッカーを始めるも、現在はアイスホッケーに夢中。スポーツ医の夫と愛犬の5人家族。

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