やる気UPのカギは「○○」!子どものやる気を引き出す秘訣とは?
元プロサッカー選手で現在はメンタルトレーナーとして活動する山下訓広さんによる連載がスタート!
第1回目のテーマは「やる気の見つけ方」。子どもが中々やる気を出してくれない…、そんな時にやる気の源になるものとは?
メンタルトレーニングを取り入れて、子どもの成長に繋げよう
みなさん、はじめまして。メンタルトレーナーの山下訓広です。
私は2019年までの11年間、日本、シンガポール、ミャンマー、インドネシアでプロサッカー選手をしていました。今でこそメンタルトレーナーとして活動していますが、実は、私がメンタルトレーニングと出会ったのは現役を引退してから。メンタルトレーニングと出会ってから現役生活の経験を分析してみて感じたのは、この知識を持っていれば現役生活をより有意義に過ごせたのではないかということです。
この連載では、モチベーションの高め方、プレッシャーへの対処法、自信の構築方法や自己肯定感の高め方など、メンタル面の様々な課題の解決法を私の経験を交えて、分かりやすくお伝えしていきます。メンタルトレーニングはお子さんの成長にも繋がりますので、ぜひ実践してみてもらえればと思います!

やる気には「テンション」と「モチベーション」の2種類がある
さて、連載第1回目のテーマは「やる気の見つけ方」です。では、早速本題に…といきたいところですが、先に「やる気」の種類について説明しておきましょう。
やる気には、「テンション」と「モチベーション」の2種類があります。テンションは短期的なやる気、モチベーションは長期的なやる気です。テンションは音楽を聞く、声を出すなどですぐに上げることが出来ますが、長続きはしません。一方で、モチベーションは長期的にゆっくり上がっていくもので、すぐに落ちるものではありません。
今回は、後者のモチベーションの話になります。私がなぜサッカーにのめり込み、プロサッカー選手になるまでやる気を持って行動できたのか、そのきっかけを紐解き、やる気の見つけ方を探っていきます。
興味がなかったサッカーをずっと続けられたのはなぜ?
私がサッカーを始めたのは幼稚園の時です。サッカークラブに入ったのですが、はじめはサッカーなど全く興味がなく…。練習中は砂いじりばかりしていました。でもある時、砂いじりをしているところにたまたまボールが転がってきて、それを蹴るとゴールを決めることが出来ました。
この時、私の中で大きな感情が動きます。ゴールした瞬間、友達が喜んでくれたのです。
「ゴールを決められて楽しい」「評価されて嬉しい」
この経験をしてから、練習中は砂いじりではなく、ちゃんとサッカーをするようになりました。
こんな風に、やる気というのは最初まったく興味のないことでも行動先行によって突然湧き出てくる場合があります。この時は、「楽しい」「嬉しい」といった感情がやる気に繋がっていきました。
そして、人より体が大きかった私は、練習すればするほど周りの友達より活躍できました。そしてクラブの中で信頼される存在になると、どんどんサッカーにのめり込み、そのままサッカー選手を目指してプレーし続けたのです。
とはいえ、サッカーを続けていく中では「楽しい」「嬉しい」以外のこともありました。例えば、高校の時。中学までは「自分より上手い選手はいない、自分が一番上手い!」と思っていたのですが、全国的にも強豪校と言われる高校に入学すると自分よりも上手い選手がたくさんいることに気づかされます。自分より上手い選手を目の当たりにし、初めてスタメンで試合に出れないという経験もしました。
でも、ここでやる気が無くなってしまったりはしませんでした。この時は「悔しい」という感情を味わい、「絶対に他の選手より上手くなって、試合に出てやる!」という気持ちが湧いてきたのです。そうして高校でも高いモチベーションを保ったまま、大学、プロの世界へと進んでいくことができました。
さて、幼稚園から数えて30年以上、やる気を高く保てた要因はなんだったのでしょうか? それは、サッカーをすることで得た、たくさんの感情です。幼稚園でゴールを決めた時の「楽しい」「嬉しい」といったプラスの感情だけではなく、高校の時に感じた「悔しい」といった感情もやる気に繋がっていました。

やる気を引き出す感情を見つけよう

やる気を持って行動することは重要です。しかし、子どもに「やる気を出しなさい!」とただ言っても、そう簡単には応えてくれませんよね。
そんな時は、お子さんがどのような感情が出るとやる気が上がるのかを見てあげてください。そして、その感情を引き出したのは、どんな出来事だったでしょうか? 感情は出来事に対する心の反応で、決してコントロール出来ません。湧き出てきた感情は、やる気アップの大きなカギを握っています!
きっかけはどんなところに潜んでいるかわかりません。日頃からお子さんがどんな時にどんな感情を見せるかを観察し、お子さんのやる気アップのカギを見つけてみてくださいね。