守備の基本中の基本「ボールを奪う」トレーニングのポイント
皆さまこんにちは!サッカーコーチ・パーソナルトレーナー、企業研修・経営コンサルタントの丸山寛之です。
先日の東京オリンピック代表選考に向けた日本代表とガーナ代表の試合を見て、びっくりしました。日本の守備力が上がっているという話は聞いていましたが、守備力が上がっているどころか「めちゃめちゃ強い」という印象でした。選手ひとり一人のボールを奪いに行く意識がとても強く伝わってくる素晴らしい試合で、ますます東京オリンピックでサッカーを見るのが楽しみになってきました。
ということで、今月はサッカーの試合で基本中の基本である「ボールを奪う」をテーマにして練習メニューを考えてみました。先月取り扱った「守備のテクニックとして、ON・OFFでの対応」は、どちらかというと個々の選手のマークの付き方やポジションを重視した練習であったのに対し、今回は「ボールを奪う」ことにフォーカスした練習という違いがあります。先月のトレーニングメニューと交互にやるとより効果的です。U-12向けになりますので年代やスキルに応じて難易度は調整されるといいと思います。
「ボールを奪う」トレーニングのポイント
まずは「ボールを奪う」ための基本的な考え方について確認していきます。相手チームからボールを奪い自チームのボールにしてチャンスを広げるためには、大きく二つの考え方があります。
先月も申し上げましたが、まず絶対に必要なのが「個人個人の選手がボールを必ず奪うという意識を強く持つこと」です。それがなければいくらチームで連携してボールを奪おうとしても、人任せになってしまい、連動した動きはうまく機能しません。
もう一つは、個々の選手のボールを奪う意識が高いことを前提にして、「チームで連携してボールを奪いに行くこと」です。これら二つを意識して、トレーニングのポイントを段階的に見ていきましょう。
ウォーミングアップ
大きさ:コーンとマーカーの間 15m
- 守備側がドリブルでコーンの間まで来たら、攻撃側にパスして1対1がスタート。
- 攻撃側はボールを受けたら、左右どちらかのコーンゴールの突破を目指す。守備側はボールを出したら、すぐに寄せてボールを奪いに行く。
- 守備側がボールを奪うか、攻撃側がマーカーの位置を超えたら終了。
キーポイント
- ボールを奪いに行く意識
- 相手の状況でどのようにボールを奪うかを判断する(コントロールの向き、位置など)
- ボールを奪える間合いに入り、間合いに入ったら体を入れて奪いに行く
- 相手の利き足と逆の方向に追い込む
- ステップワークで最後まで粘り強く奪いに行く
トレーニング1 3対3
大きさ:25m×25m
コーチからAチームの守備エリアにいる選手への配給でスタート。Aチームはラインゴールを目指します。Bチームがボールを奪ったら、そのままラインゴールを目指します。どちらかのチームがラインゴールすれば終了です。
※守備側のアドバイスと攻撃側のアドバイスをするコーチはできれば分けた方がいいです。
キーポイント
- ボールを奪う意識を持つ
- コントロールミス、パスミスなど相手の隙を見逃さない
- ルーズボールに相手より早く反応する
- ファーストディフェンスが相手の自由を奪う
- セカンドディフェンスはファーストディフェンスと連携して、ボールを奪いに行くのか、パスカットを狙うのかなど、ボールと相手、味方の状況を考えたポジションをとる
- 攻撃側はパス&コントロールを重視し、守備側に簡単に奪われないポジションをとる
トレーニング2 2対2+2対2+GK
大きさ:40m×25m
真ん中セパレートラインでプレーエリアを限定して行います。セパレートすることでファーストディフェンスとセカンドディフェンスを明確にすることが目的です。コーチからGKへの配給でスタートし、各チームゴールを目指します。
キーポイント
- 全員がチャレンジ&カバーの意識を持つ
- 目的であるゴールを守る意識を持つ
- GKを入れた5人で連動して守備を行う
- 近い選手が必ずボールを奪うという意識を持つ(ファーストディフェンス)
- ファーストディフェンスはただ奪いに行くのではなく、セカンドディフェンスとの連携を意識する
- セカンドディフェンスはファーストディフェンスの状況に応じた判断をする
この後、最後はゲームを行います。ゲームではトレーニング1、2にあげたキーポイントを意識してやってみましょう。実際のゲームの中でできるかどうかで身につくかどうかが分かれます。まずは意識させ、行動を促しましょう!
以上、今回は守備の基本中の基本「ボールを奪う」トレーニングのポイントをご紹介させていただきました。
次回はまた状況をみてテーマを決めたいと思います。お楽しみに! 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。