子どもの成長を引き出す保護者の見守り方【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】
サカママ読者の皆さま、こんにちは! 大槻です。
新年度が間近に迫ってきました。新しい1年が子ども達にとって飛躍の1年となるよう願うばかりです。
さて、今回は「子どもの成長を引き出す保護者(と指導者)の見守り方」を整理していきたいと思います。
子どもの成長を引き出す見守り方
①経験を大切にする働き掛け
企業の人材育成に取り入れられている『70:20:10の法則』をご存じでしょうか?
人が成長する際に役立つとされている要素は、『70%が経験、20%が周囲の人間のアドバイス、10%が研修・教育』であるという考え方です。
この法則は、子ども達の教育やスポーツの場面でも応用できる考え方だと思っています。企業の人材育成よりは周囲の人間のアドバイス、研修・教育の割合が高くなるかもしれませんが、やはり子ども達にとっても一番役立つのは『経験』です。そして、成長に役立つのは何も『成功の経験』だけではありません。『失敗の経験』もまた成長の糧になります。
とはいえ、大人も子どもも出来れば何事も失敗したくない…と思いますよね。特にまだお子さんが小さい親御さんは、「子どもが失敗しないように、●●しておこう」と思って、先回りで世話をやいてしまうことも多いのではないでしょうか。
ですが、失敗をしないように先回りしてしまうことは、子どもの成長を妨げてしまうこともあります。「自分がしなくても親がやってくれるから…」と覚えてしまうと、子ども自身が考える機会がなくなってしまいます。
そして、いざ大人がいない場面で何か予想外のことが起こったら…どうでしょうか? 普段考える機会を失ってしまっている子は、その状況に上手く対応できないかもしれません。
私たち大人の役割は、「子どもの失敗を先回りにして防ぐ」のではなく、「子どもが失敗から何を得ていくのか?」をサポートしていくことです。子どもが何か失敗を経験したときには、「次はどうしたらいいと思う?」と問いかけ、子ども自身に考える機会を与えることが大切なのです。
子どもの成長を引き出す見守り方
②『出来なかったこと』よりも、まずは『出来たこと』を認める
私たち指導者も同様なのですが、子ども達やチームの課題ばかりが気になってしまうことはありませんか? 頭では解っていても、そのことに対して厳しく指摘してしまう指導者や保護者の方も少なくありません。
『出来なかったこと』を取り上げて指導すること自体が悪いとは思いませんが、『出来なかったこと』ばかりを指摘され続けると、子ども達の自信は失われていってしまいます。
そして、子どもの成長には個人差があります。『他の子と比較すること』はやめましょう。「●●君は出来ているのに、なんで出来ないの?」といった言い方はNGです。
『出来なかったこと』を取り上げる指導よりも、まずは『出来たこと』を認めてあげるのが優先かなと思います。
成長には「経験」が大切というお話をしましたが、何事にもチャレンジをする勇気を持つためには、自分を信じることが出来ているかが大切ですよね。そのためにも、まず『出来たこと』を認めてあげて、子どもたちの自己肯定感を高める働き掛けが必要ではないでしょうか。子どもたちが自分を信じて、勇気を持ってチャレンジしていく姿勢を身に付けることができれば、自ずとそのことが成長に繋がっていきます。
子どもの成長を引き出す見守り方
②『出来なかったこと』は長期的な視点で改善策を与えてあげる
それでは、『出来なかったこと』に対してはどのように向き合うのがいいのでしょうか。
『出来なかったこと』に関しては、「すぐに改善させなければ!」とその場その場で考えるのではなく、長期的な視点に立って段階的に具体的な改善策を与えてあげることが大切です。
例えば、「左足で上手く蹴れない」という課題なら…。
【練習での取り組み】
左足で1日に100回キックする
【試合での取り組み】
左足でのパスにチャレンジする
⇒成功したかどうかではなく、チャレンジしたこと自体を認めてあげる
⇒チャレンジを認めてあげたら、次は5回成功することを目標にする
といった感じでしょうか。
サッカー以外にも通ずる話かと思いますが、自分の目指すべき方向と、それに対して何をすべきなのかをはっきりさせることで成長のスピードが上がっていきます。
最終的には「何をすべきか?」も自分自身で考えられるようになることが理想ですが、それがまだ難しいという段階や、子どもがやり方に悩んでいるようなときに、具体的な改善策を指導者が提示できるといいですね。