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【第99回全国高校サッカー選手権】人の輪がつながって開催された歴史的大会を山梨学院が制す

3年連続の決勝進出を果たした常勝軍団・青森山田を、PK戦の末に破ったのは2度目の優勝を果たした山梨学院だった。コロナ禍という障壁を乗り越えて開催された第99回大会を振り返る。

 
11年ぶり2回目の優勝を果たした山梨学院。初Vの決勝戦も青森山田との対戦だったが、見事11年前の再現を果たした。

全員が苦しみ、乗り越えた「勝ち負けを超えた試合」

誰もが苦しんだ2020年。新型コロナウイルスの猛威は長期化し、例外なく高校サッカー界もシーズンを通した活動制限を強いられた。夏のインターハイは中止され、プレーヤーの誰もが一縷の望みを託したのが「選手権」だった。果たして、最後の願いは、選手、関係者、保護者、そのすべての人のつながりと尽力により、無事開催に至った。無観客試合、感染症対策による大会フォーマットの見直し等、すべてが例年通りとはいかない中、高校生たちの激闘の風景は、例年のそれと何ら変わりなかった。

110分の激闘の末、PK決着となった決勝戦。優勝した山梨学院は、3年連続ファイナル進出の常勝軍団・青森山田を相手に、綿密な戦略を練って大一番に臨んだ。

「(青森山田とは)10回やって1回勝てるかどうか。その1回を最初にもってくる」と長谷川大監督が語った通り、攻撃の起点となるDF藤原優大(3年)に、FW久保壮輝(3年)をマンマークで付けるという策が奏功し、ワンチャンスをものにし先制点を奪取。それでも後半にリズムを取り戻し逆転した青森山田の底力、絶対的劣勢の状況下、振り出しに戻してPK戦に持ち込んだ山梨学院の不屈の精神。どちらも勝者と呼ぶに相応しい戦いを終え、両チームの指揮官はこう振り返った。

「選手たちは選手権が開催されると信じて研鑽を積んできた。こうして大会が行われたことに感謝したい。そして、この1年、あらゆる重圧を感じながら、選手権に向けて頑張ってきた選手たちには本当に頭の下がる思いです。よくやってくれました」(青森山田・黒田剛監督)

「大会を最後まで開催してくれた関係者のみなさまに心から感謝している。コロナで我慢したみんなの想い、仲間への感謝、いろんなことが詰まった決勝戦だった。最後まで残った(決勝の)2チームが、勝ち負けを超えた試合を見せられたと思います」(山梨学院・長谷川監督)

全員が苦しみ、そして乗り越えた99回大会。人の輪がつながって無事に閉幕した歴史的大会を経て、選手権は節目となる100回大会へとつながっていく。

 
右サイドからパスを受けた広澤灯喜(3年) のシュートはDFをすり抜け左隅に突き刺さり待望の先制点。
 
3年連続の決勝戦に進出した青森山田。主将のCB藤原優大(3年/浦和レッズ内定)は決勝で同点ゴールを挙げるなど、大会を通して存在感を十二分に見せつけた。
 
試合中はインカムで連絡を取り合い、緻密な戦略で優勝に導いた山梨学院の長谷川大監督。難攻不落の相手に勝利した。
 
守護神としてチームを優勝に導いたGK熊倉匠(3年)キャプテンが、大会得点王のMF安斎颯馬(3年)のつった足をサポートする一場面も。

写真/野口岳彦、山口賢二郎

選手、監督、関係者、あらゆる人が一体となって開催された
第99回選手権大会 PLAY BACK

 
昨年は5万6025人を動員した決勝戦も今年は無観客試合で開催。苦楽を共にした多くの仲間たちも母校からTV中継を通して見守った。
 
例年の開会式は見送られ、リモート中継にて前橋商業高校・石倉潤征主将による選手宣誓が行われた。
 
試合は応援団、保護者、学校関係者のみが観戦。感染症対策として声援はなく、マスクを着用し息をこらして見守った。
 
30日の開幕戦は今回は見送られ、31日にすべての一回戦が行われた。注目カード東福岡vs桐蔭学園は2‒0で東福岡が勝利。

写真提供:オフィシャルサポート

決勝戦 2021年1月11日
[埼玉スタジアム2002]
山梨学院 2-2(PK4-2) 青森山田
【得点者】広澤灯喜(12分)、野田武瑠(78分)
準決勝 2021年1月9日
[埼玉スタジアム2002]
山梨学院 2-2(PK3-1) 帝京長岡
【得点者】石川隼大(1分)、一瀬大寿(50分)
準々決勝 2021年1月5日
[フクダ電子アリーナ]
山梨学院 1-0 昌平
【得点者】久保壮輝(7分)
3回戦 2021年1月3日
[浦和駒場スタジアム]
山梨学院 1-1(PK7-6) 藤枝明誠
【得点者】浦田拓実(31分)
2回戦 2021年1月2日
[NACK5スタジアム大宮]
山梨学院 1-0 鹿島学園
【得点者】広澤灯喜(53分)
1回戦 2020年12月31日
[浦和駒場スタジアム]
山梨学院 1-0 米子北
【得点者】加藤豪太(69分)

得点ランキング

 
準決勝でのハットトリック、そして決勝戦の勝ち越しゴールで単独得点王を決めた安斎。決勝戦でのPK失敗による涙が印象的だったが、大会での彼の活躍が色あせることはない。
1位 5得点 安斎颯馬(青森山田)
2位 4得点 笠井佳祐(関東第一)
大森涼(帝京大可児)
藤原優大(青森山田)
5位 3得点 名須川真光(青森山田)
木内拓海(市立船橋)
島野怜(仙台育英)
杉本翔(作陽)
川上航立(帝京長岡)