【サッカーを仕事にするということ】施設面から日本サッカーの基盤を支える
この国にはサッカーを生業にしている人たちが大勢いる。そこだけを目指し人生を捧げてきた人たち、別の道から辿り着いた人たち、それぞれ道程は異なるが、彼らに共通するのは、サッカーに対する純粋な愛だ。
業界最前線で働く6人の方々を取材。“選手”としてではない、各々のサッカー人生をここに紹介する。
CASE スポンサー/施設事業
石田 敬 TAKASHI ISHIDA
アイリスオーヤマ株式会社 取締役
BtoB事業グループ本部長
Q1 サッカーへの取り組みは?
ニーズに合わせた環境づくり
「弊社は生活用品を扱う総合メーカーですが、ものづくりはユーザーの不満を解決する手段と捉え、商品を提供させていただいております。その中でスポーツ施設の課題解決として、人工芝、LED照明、スタジアムチェア・内装設備を扱い、サッカーではスタジアムなどの大規模施設から地域クラブの練習場まで、ニーズに合わせて快適な環境づくりを目指しています。これらはセットになっていて、人工芝であれば昼も夜もプレーを続けられますし、LED照明を付ければ、夜間でもサッカーができます。さらに屋根やベンチがあったら、親御さんも安心してお子さんのサッカーを見られますよね。我々は全国に営業拠点が62カ所、営業マンが250人以上おりますが、地域に根差し、サッカーをプレーできる環境拡大に少しでも貢献できればと考えています」
Q2 スポンサー活動について
今年から育成年代をバックアップ!
「サッカーでは、2000年からベガルタ仙台さんを応援させていただいていますが、今年からは育成年代の大会『アイリスオーヤマ プレミアリーグU-11』のスポンサーをしています。我々はサッカーをする選手全員に出場機会を与えたいと思っていて、例えば150人部員がいる高校のサッカー部では、ベンチに入れる選手が20人として、9割近くの選手が試合に出られないわけです。同大会の実行委員長の幸野(健一)さんが代表を務めるFC 市川GUNNERSでは、所属選手全員が試合に出られるだけの複数のチームを編成し、各大会に出場させているそうです。我々はそこに感銘を受け、谷間の年代で活躍の機会が少ないU-11世代を対象としたこの大会を応援させていただくことになりました」
Q3 U-11ではどんな計画を?
震災に生まれた年代による決勝戦を世界配信
「弊社は本社が宮城県にあり、東日本大震災から来年で9年目になります。『アイリスオーヤマ プレミアリーグU-11』は今季からU-10も対象にした2学年セットのリーグとなりますが、今年10歳の子どもたちが、来年、宮城の新しい会場で行われるチャンピオンシップを目指して全国で戦います。震災の年に生まれた子どもたちが、震災から立ち直り、自立を目指す東北の地で決勝を競う。その模様はインターネットを通じて世界に発信していきたいと考えています」
Q4 JFAとの活動について?
JYDを施設面から支援
「7月に日本サッカー協会(JFA)さんと、育成年代から日本サッカーの発展を目指すプロジェクト『JFA Youth & Development Programme(JYD)』のパートナーシップを締結しました。JFAさんとは『アイリスオーヤマ プレミアリーグU-11』の活動を通じてつながりを得て、互いの未来のビジョンが合致し、今回の契約に至りました。日本サッカーの基盤を支える各領域において、弊社では主に施設面での改善に貢献し、さらなる普及や次世代選手の育成を目的としています」
Q5 JYDの反響は?
予想を超える「生の声」が届く
「すでに予想を超える反響があります。弊社ではホームセンターなどにSAS(セールスエイドスタッフ)を派遣し、お客様の求める生の声を商品開発にフィードバックする『メーカーベンダー(製造業と卸業の融合形態)』という仕組みがあります。しかしサッカーの領域においては、この『生の声』を掴めていませんでした。プロチームだけカバーしても、日本全体のサッカーチームが望むものは分かりません。JYDを通じて全体の声を収集し、課題解決となる施設を増やしていくことが、将来の日本代表を強くします。それは我々がメーカーとしてやるべき使命、責務だと思っています」
Q6 高校生に伝えたいことは?
チームで努力してきた人は会社にとっても貴重な人材
「私はアイリスオーヤマのサッカー部のGMも務めていますが、練習の成果は嘘をつきません。それは勝ち負けだけのことではなく、いろんな人と触れ合い、サッカーに一生懸命取り組んでいる時間が多ければ多いほど、人格者になれると思っています。弊社ではスポーツにて一定の成果を収めた学生の『アスリートコース』採用を実施しています。会社に入ると、一人だけで仕事はできません。チームで同じ目標をもって努力してきた方は会社にとっても貴重な人材です。部活動で頑張っている君たちは、そのスキルをすでに有しているのです。一生懸命、悔いのない高校生活を送っていただきたいと思います」
思い出の1ページ
サッカーで笑顔に出会えた瞬間
「宮城県の角田I.T.P. 内にあるアイリスサッカーグラウンドは、時間によって地域の方に無償で提供しています。サッカー協会に登録しているチームであれば、少年団、中高、社会人を問わず使用できます。そこで楽しそうにサッカーをしている景色は素晴らしいものです。サッカーを通じて笑顔に出会えた時に、この仕事をしてよかったと思います」
サッカを仕事にするということ
- 関口和義さん(横浜ゴム株式会社)
「チェルシー」とのタッグで世界のマーケットに挑む! - 石田 敬さん(アイリスオーヤマ株式会社)
施設面から日本サッカーの基盤を支える - 菊地優斗さん(株式会社アカツキ)
クラブの鍵を握るIT界のホープ - 梶山由珠さん(いわてグルージャ盛岡)
好きなことを仕事に!単身東北の地で奮闘中 - 前波裕一さん(横浜F・マリノス)
毎年100人以上の夢を育む スクールコーチの誇り - 樋口智一さん(ヤマダイ食品株式会社)
日本のW杯優勝を信じ若きサムライを全力支援