今、どうなってるの?中学校の部活動地域展開REPORT【vol.1 長崎県 長与町】
今、中学校の部活動は、全国で改革が進められ、地域と連携する「部活動の地域展開」が行われています。サカママでは、部活動の“今”を伝えるために、各地の取り組みの様子をレポートしていきます!
休日は3校が集まって活動。チームスポーツも成り立つように
令和5年4月から休日の各学校の部活動を廃止し、学校ではなく地域が運営を担う「地域スポーツクラブ活動」を実施している長崎県長与町。「長与町には3つの中学校があり、今、平日は各学校で3日部活動を実施し、土・日は3校が集まって『地域スポーツクラブ活動』として取り組んでいます。土・日の活動は必須ではないので選択は自由。『平日だけ活動できればいい』という子が2割ほどいます。
学校の中には、バスケットボール部やサッカー部など、人数が少なく練習も十分に行えなかった部活動もあったのですが、『地域スポーツクラブ活動』になって、チームスポーツも成り立つようになりました。少子化の負の影響を受けない環境ができ、子どもたちが週末だけでも専門的な指導を受けられるのが、部活動地域展開のメリットだと思います。子どもたちからはそれよりも『友だちが増えて、練習がしやすくなった』『人数が多い分、いろいろな人と話したり、アドバイスしながら練習できる』といった意見が多いですね」(長与町教育長 金﨑良一さん)
長与町の「地域スポーツクラブ活動」
活動 休日(土・日)は、3つの中学が集まって「地域スポーツクラブ活動」を実施
種目 12種目(卓球、サッカー、陸上、弓道、バスケットボールなど)
運営主体 長与スポーツクラブ
指導者 約100名(地域の指導者、兼職兼業の教職員、大学生)

ココが変わった!
- やりたいスポーツができる
入学する中学にやりたい種目がなくても、地域スポーツクラブ活動で行える。 - 活動の環境は全員平等!
これまで1年生は声出しや球拾いなどをしなければいけないことも…。地域スポーツクラブ活動ではその必要はなく、練習の環境はみな平等。 - 参加は生徒自身で決めていい
部活動では土・日の活動を休むと「さぼっている」と思われてしまうことも…。地域スポーツクラブ活動の参加は自分の意思で決めていいので、そんな心配も不要に。

サッカー部はどうなっている?
- これまで:学校の部活動は、各7名ほどで活動
トレーニングの内容が限られ、練習試合に出られないことも。 - 地域スポーツクラブ活動になってから:31名が在籍、レベルの高い指導が受けられるように
トレーニングの質が高まり、違う学校同士の生徒が交流することで刺激に。

生徒&保護者&先生’s VOICE
- 練習メニューのレパートリーが増えたことで、身になるトレーニングができるように(生徒)
- 友だちが増え、レベルが高いコーチがきてくれてありがたい(生徒)
- 3つの中学が集まったことで試合形式の練習ができ、他の学校の子とのつながりもできてよかった(保護者)
- 専門の方に技術的な指導を教わることで、反復練習を自主的に行うなど、平日の活動が以前より前向きに取り組めるように(教員)

部活動地域展開とは?
部活動地域展開は、2023年からスタートした公立中学校の休日の部活動を地域に移行する取り組み。全国におよそ1700の自治体がある中、2024年度には510の市区町村が部活動を地域へ移行する取り組みを実施しています。
https://www.youtube.com/watch?v=I85fvyYrhA4
※参考:全国に先駆けて部活の地域移行を進めている、長崎県長与町における取組のレポート(スポーツ庁)
https://www.youtube.com/watch?v=I85fvyYrhA4
●お話をうかがったのは金﨑良一さん(長崎県長与町長教育長)
●写真提供/長崎県長与町
●協力/友添秀則先生(環太平洋大学大学院教授)