正しい水分補給とカリッと揚げた「ゼッポリーニ」で厳しい夏を乗り切る
小さなイタリア料理店を東京・渋谷にて営むサカママとして、「食トレ×イタリア料理」をテーマに日々実践していることを発信していきます。
本格的に暑い日が増え、ジュニアアスリートにとっても応援する私たちにとっても厳しい季節がやってきましたね。補食をはじめ、お弁当や水分補給にも普段以上に気をつけなくてはならないシーズンは、親も気が気じゃありません。
小6長男のジュニアユース選びも佳境に差し掛かってきました。もともと睡眠と食事が何よりも大事だと考えているので、都心にある自宅から片道30分程度で通える範囲で検討をしていました。リーグのランクは問わずに5〜6つのチームに絞って練習会やセレクションに申し込み動き始めましたが、内定を頂いたチームに早々に決めてしまうのが、親子にとって最もストレスが少なく、本人にとっても幸せなことかもしれないと思い始めています。
ジュニアアスリートの命綱、水分補給の正しい知識
今回は夏本番に向けて、正しい水分補給法と適度な油分摂取法にフォーカスしたいと思います。
「アスリートのための食トレ」の著者:海老久美子さんは、すべてのアスリートの命綱である水分補給の手法を、選手自身が身体に叩き込むことが必要であると記されています。運動をしない人に比べて、たくさんの汗をかいて水分を失うことになるアスリートにとって、水分補給は重要な意味を持ちます。
まず大前提として、アスリートの水分補給は「喉が渇いたから飲むのではない」ということ。喉が渇くということは、身体が既に渇いていることを知らせる警報で、渇いてからでは遅いといいます。アスリートの水分補給は身体が細胞レベルで潤っている状態をキープし続けることだそうです。
細胞レベルの渇きを癒すには、水分を飲んでから40分以上はかかるというから衝撃です。つまり喉が渇いてから飲んだ水は40分以上たたないと身体が求めている細胞にまでは届かないということです。
なので、アスリートの水分補給は喉が渇く前に定期的にすることが大切。しかも一回にたくさん飲んでも身体は吸収しきれないので、少しずつ何回かに分けて、チビチビ・チョコチョコがアスリートの水分補給の合言葉として覚えておく必要があります。
夏場は大量の汗をかくので、1回の補給ではとても追いつきません。身体が水分を吸収できる能力を考えると、練習や試合の2時間前に250〜500mlの水分を飲んで発汗に備える必要があることになります。そして、運動をしている間は1時間ごとに500〜1000mlの水分を200mlくらいずつ何回かに分けて摂るようにしないとなりません。
これを実際にやろうとするとわかりますが、かなりの量の水分を摂っている感じになります。持っていく水筒の量や予備の水分もこれを目安に用意する必要があります。練習の後に体重を量ることで水分補給がうまくできたかどうかが確認できるようなので、練習前後で体重を量ってみて、体重が3%以上減っていたらそれはもう脱水症状なのだそう。今の水分補給の仕方では足らないということになります。
水だけではなくスポーツドリンクとも上手に付き合う
運動中にお世話になることが多いスポーツドリンクは、ナトリウムと糖質が含まれていることがスポーツドリンクと言われる所以です。水分補給と同時にナトリウムとエネルギー補給ができるスポーツドリンクは、大量に発汗しているアスリートにとってオアシス的な存在です。
スポーツドリンクは糖質濃度が3〜8%程度のものが一般的だそうですが、運動中は甘さを強く感じることが多いそうです。薄めてしまうと必要なナトリウム濃度まで薄まってしまうので、1.5倍程度に薄めて塩をちょっと加えてナトリウムをプラスすると良さそうです。スポーツドリンクも粉タイプのものは添加物が最小限になっているものも多いので、よく見極めて活用したいですね。
我が家では皮まで安心の無農薬のレモンを手頃な価格で見つけたら、蜂蜜レモンを常備するようにしています。そうするとシロップの部分も水で割ってスポーツドリンク代わりに持たせることができるので重宝します。
適度な油分の摂取で急速エネルギーチャージを
水分や塩分の補給と同時に、練習前の補食などに夏場にうまく活用していきたいのが、カリッとした食感がクセになるイタリア郷土料理「ゼッポリーニ」です。この料理の魅力は脂質と糖質を一挙に摂取でき、少量での満足度が高い点です。
アスリートにとって「揚げ物=悪ではない」と栄養士の佐藤彩香さんもおっしゃっています。以下の4つのポイントに注意して、カロリーが必要な選手には高エネルギー補給としても有効なので、子どもが好きな揚げ物を上手に取り入れていきたいです。
タイミングに注意する
練習や試合の直前は消化に時間がかかりパフォーマンス低下の原因に。また試合後や疲れているとき、夜遅くもNG
油の質に気を付ける
古い油や揚げ直しはNG。オリーブオイルや米油など酸化しにくい油で揚げる
揚げたてを食べる
時間が経った揚げ物は油が酸化し、衣も重たくなって消化に悪影響
野菜や汁物をプラス
野菜で食物繊維やビタミンを補い、胃腸への負担を少なくする
ピッツェリアなどで見かけることの多いこの揚げパンのような料理はイタリア・カンパーニャ州発祥。海苔やアオサを生地に混ぜることで、普段摂りづらい海藻を摂取できるのが魅力です。海藻以外にも春菊やケールなどそのままだと子どもが食いつきにくい栄養満点野菜も生地と一緒につい食べられてしまうのも大きなポイントです。
小麦粉と塩、胡椒、アオサや海苔をボウルに入れて軽く混ぜておき、別のボウルにイーストと水を入れてよく混ぜ、それらをさっくりと合わせて混ぜ、室温で1.5倍くらいに膨らむまで発酵させます。その後、スプーンで丸くしてブレンドオイルやピュアオリーブオイルで中に火が通るまで揚げたら出来上がりです。ぜひ揚げたてを食べさせてあげてください。
私たちのレストランでも美味しい「ゼッポリーニ」は夏にメニューに登場することが多いので、国立競技場でサッカー観戦の前後などにぜひ召し上がりにいらしてくださいね。
時に突き放して本人が真剣に考える機会を得る
先日、長男の態度が非常に悪かったので、自分で補食を用意して持っていくように言い放ったところ、本人は短い時間だからと高を括って何も補食を持参せずに臨み、案の定血糖値が下がりすぎて帰り道ふらふらになり、チームメイトやコーチに助けてもらうという事件がありました(本当はあってはいけないことだと重々反省しております)。
この体を張って体感したピンチは本人にとっても非常に怖い経験だったようで、補食の重要性を思い知り、態度を改める機会となりました。本格的な夏場にそのようなことがあれば命の危険があること、だからこそ補食を馬鹿にしてはならないこと、家族でもよく話し合うことができ、何を遠征に持参するのが良いか、本人なりに考える習慣ができ、実践できつつあるのは良かったことだと感じています。
ついつい親があれもこれもと先回りして手を差し伸べ、それが親の役目と思いがちですが、時にお灸を据える体験をさせることも我が家の長男には有効だったように思います。これから続くサッカー人生において、ジュニアユースやユースでも自分自身の身体やコンディションに真剣に向き合えるように、私自身も考え続け学び続けていきたいです。