うまくいかない時間をどう過ごすか?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】
サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
今年も残すところあとわずかとなってきました。皆さんはどんな一年を過ごされたでしょうか?
私は所属クラブを移籍して2年目を過ごしました。新しい環境にも慣れてきて、充実した時間を過ごすことができています。
どんな大きな成果もいきなり達成することはないと思っています。周囲の人への感謝を忘れずに、日常をコツコツと積み上げていくことこそが大切なことなのだと思います。来年も自分にできることを積み上げていきたいと思います。
さて、今回は、これは自分自身の考えを整理するためでもあるのですが、『うまくいかない時間をどう過ごすか?』というテーマでコラムを進めていきたいと思います。自分のことはもちろん、子どもたちのサッカーの場面でも〝思いどおりにいかないこと〟はよくあることだと思います。そんなときに状況を好転させていくためにどう考えるべきか? 整理していきたいと思います。
うまくいかない状況を受け入れる
うまくいかない、思いどおりにいかないということは、仕事だけでなく日常生活の中でもたくさんありますよね。自分も毎日、そんな感情とぶつかっています(笑)。しかし、それと同時に『仕方ない』と受け入れるような努力をしています。そして受け入れたうえで次にどうするか? を考えるようにしています。なぜなら、そこで不満を抱えて立ち止まっていても物事が前に進んでいくことのほうが少ないからです。
技術的な問題や知識がないといった問題は、原因が明白なので取り組みやすいものですが、難しいのは相手のあることかもしれませんね。
特にサッカーの現場においては、数値化できないことも含むので判断する人によって意見が分かれることがあります。子どもたちのサッカーの現場においても、同じようなことが起こっているかもしれませんね。
その過程の中で〝自分を見てくれていない〟〝理解してくれない〟ということもあると思います。感情が溢れ出すこともあるでしょう。もちろんクラブの運営上の問題もあるかもしれませんが、今の状況を受け入れたうえで〝自分には何ができるんだろう?〟という視点を持つことは忘れてはならないと思います。
状況を好転させていくための第一歩は、今の状況を受け入れて現在地を知ることなのではないでしょうか。
結果よりも取り組む姿勢を
自分自身に矢印が向いていない状態で何となく日常の練習を取り組んでいても、自分の中ではモヤモヤしながらだと思いますし、充実感といった意味ではなかなか得られないところもあるでしょう。長い目で見れば、そういった感情と向き合う時間は悪いことではありませんし、必要な時間なのかもしれません。しかし、最終的に自分自身がどこに向かっていきたいのか? をしっかりと持っておく必要はあると思います。それがあれば、自分がどんな行動をすれば良いのかがわかるはずだからです。
だからこそ、子どものうちに結果が出なかったらダメ、結果が出れば良いという思考の習慣から抜け出しておく必要があると思うのです。
それには、一番近くでサポートしている保護者の方々の影響を大きく受けることになります。試合に出ていても、出ていなくても大好きなサッカーを思い切りプレーすること。そしてそこに必要な取り組みに対してポジティブに応援してあげる、見守ってあげる。そんな姿勢が必要なのだと思います。結果が出ても出なくても、その子の取り組む姿勢に対する評価をしてあげてほしいのです。
もし、そこで周囲の大人が「うまくならない、結果が出ないのは〝指導者の責任〟」「勉強ができないのは〝先生の責任〟」という思考だと、子どもたちは自分自身に矢印を向けることはなくなってしまうでしょう(※話の流れの中で同調してあげることは必要かもしれません)。
子どもたちには、困難に対してどのように立ち向かい、取り組んでいけば良いか? を示してあげて、そして、行動を起こすことに対して勇気を与えてあげてほしいと思うのです。
少しのきっかけで…
話が少しそれてしまうかもしれませんが、過去にこんなことがありました。
昔、自分が担当していたジュニア選手たちの試合の引率で駅から試合会場まで歩いていたときの話です。
子ども『あー、今日は負けたくないなぁ』
自分「そうだね、今日は頑張ろうな!」
子ども『試合に負けた後、家に帰ったら、お父さんと映像を見ていろいろと言われるんですよ…』
自分「そうなんだね。なんて言われるの?」
子ども『ダメなところをめちゃくちゃ怒られるんですよ…』
自分「え~、そんなことがあるんだね。コーチ、お父さんに言ってあげようか?」
子ども『お願いします…』
と、少し思い詰めた様子の会話だったのを覚えています。
自分が指導していたクラブは、地域では強豪クラブだったのですが、そういう親子の会話があることに目を向けていなかった自分に対して反省した記憶があります。
その後、お子さんと話したときのことをお父さんに話をしたんです。
お父さんは、本当に良いことだと思って子どもと一緒に〝反省会〟をしていたようなので、子どもがそんなふうに思っていたことを驚いていました。
お父さんも子どものためを思ってのことだったのだと思いますが、方向が違っていたということだと思います。
自分は「サッカーのことは私が指導するので、お父さんはカラオケに行ったり、釣りに行ったり、サッカーとは違う時間を楽しんでください』と、そんな話をしたんです。
話をした後に、本当にカラオケや釣り堀に出掛けて楽しんでくれたみたいで、反省会を止めてからは、逆に子どもからサッカーであった話を聞くようになったそうです。その後の彼の活躍は自分も驚くものでした。それ以前は臆病にプレーしていたのですが、自信を持ってプレーするようになり、地域の選抜に選出されて、全国高校サッカー選手権に出場、今では強豪大学サッカー部でプレーしています。
もともと力のある子だったとは思いますが、良いプレー、悪いプレーだけで切り取られ続けていたら…そのタイミングでサッカーから離れてしまっていたら、違った未来になっていたかもしれませんね。
まとめ
うまくいかないこと、思いどおりにいかないことはたくさんあります。自分のことだったら自分が頑張れば良いのですが、我が子のことになると感情が入ってしまって難しいものですよね。
個人的には、今の状況を受け入れて、自分の感情ではなく〝親〟であることを演じて子どもに接することも必要だと思っています。
子どもたちが悩んでいるとき、親にしかできないサポートがあると思います。良い、悪いだけでなく、子どもたちの取り組む姿勢をポジティブに見守れると良いですね。
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