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暑さ指数「WBGT」を知って、熱中症対策をアップグレードしよう!

暑さ指数「WBGT」を知って、熱中症対策をアップグレードしよう!

みなさんこんにちは! スポーツ看護師の金子会里です。ジメジメと蒸し暑い日も多くなり、スポーツ中の熱中症に気を付けたい季節に入りました。今年の5月には昨今の気温上昇や酷暑化が著しいことを鑑みて、JFAでもサッカーファミリーの安全を守るため「熱中症対策ガイドライン」が改正されました。サッカーに関わるママたちにもぜひ知っていてほしい熱中症の指標となる「WBGT」とその対策について、今回はお伝えしていこうと思います。

熱中症の年齢別発生数は、Ⅰ度の熱中症(めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返りなど)においては、なんと10代が全体でダントツの1位! という嬉しくない結果が。「夏場の暑さへの不安を知る」ことで安心にかえていけるよう、現場をコーチや指導者まかせにせず、保護者の目線からも子どもたちを安全にサポートしていけるようにしていきましょう!

暑さ指数WBGT(湿球黒球温度)とは?

人の熱バランスに大きく影響する気温・湿度・輻射熱を取り入れた温度の指標のこと。(℃)で表され、28℃を超えてくると、熱中症の発生率が著しく増加すると言われています。

湿度が高い環境では、身体から熱を放出しにくく熱中症にかかりやすいため、気温だけでなく湿度や輻射熱までみていくことが大切です。

チームに一つは備えておきたいWBGT計

規模の大きなサッカー大会や試合会場となれば「WBGT計」を用いて、熱中症対策を時間ごとに講じている人がいます(いると信じています!)が、試合規模に関わらず、普段のトレーニング中も気にかけたい指標ですので、このWBGT計はチームに一つは備えておきたいアイテムです。

 

試合中に(WBGT)31℃を超えたら試合はストップ!

熱中症対策ガイドライン(JFA)では(WBGT)31℃以上になったら『試合は中止・中断・延期』と躊躇なく注意喚起するよう改正がされました。また、試合前に(WBGT)31℃を超えていた場合は、試合開始時刻は設定せず、環境を整えることが最優先されています。

(WBGT)31℃を超えているときの対策

外部冷却内部冷却を組み合わせて行い、体の温度を下げる対策を行う

②・日陰を作り、スポーツドリンクが飲める(観戦者も購入ができる)環境を整える。

氷や経口補水液を準備し、熱中症患者が対応可能な病院をリストアップしておく。

クーリングブレイクや飲水タイムを準備し、試合時間の短縮やハーフタイムの延長などを検討する。

人工芝のグラウンドは使用せず、クーラーのある医務室やロッカールームがある施設で行う。また医師や看護師、BLS資格保有者、またはスポーツ救命ライセンス講習会やJFA+PUSHコース(チーム単位で受講可)の受講者のいずれかを常駐させる。

以上の3つを全て満たしていれば、主催者の判断で試合は行うことができるとされていますが、なかなか厳しい設定…と思う方もいるかもしれません。これだけの対策を行わなければ、夏場のサッカー環境では、今の日本の気候変動に対応していくことができないのです。

試合会場にあると嬉しい! 楽しみながらできる熱中症対策

内部冷却

身体の内側から冷却する内部冷却法は、深部の温度を下げる効果があります。冷たい水を飲んだり(冷水摂取)、クラッシュアイス(細かい氷)を摂取したり、アイススラリーというシャーベット状の液体を摂取する方法が一般的に知られていますが、アイススラリー>クラッシュアイス>冷水摂取という順に冷却効果にも違いがあります。

クーラーボックスにどれか一つは入れておきたいものですが、試合会場によってはかき氷屋さん(ママたち主催)を用意してくれている所もあり、親子で楽しみながら熱中症対策もできて、心遣いに感動しました!

 

外部冷却

身体の外から冷却する外部冷却法は、皮膚の温度を下げるのに効果があります。サッカー現場では水をかけたり、首を冷やしたりといろいろな方法が行われていますが、中でも『手掌前腕冷却』がとくに効果が高いとされています。手には動脈と静脈がつながる吻合部があり、ここを冷やすことで、冷えた血液が静脈を介して全身に広がり体温を低下させる効果があるのです。

下の写真は、とある会場で行われたアイスバスに手を入れる子どもたちの様子です。現場のスポーツ看護師が、しっかり温度管理をしたアイスバスを用意しています。みんな効果を実感できたのでは!? 楽しく熱中症対策ができるのが一番ですね!

 
クーラーボックスやバケツなどでも代用できますので、ぜひ試して効果を実感してみてください!

 

暑い夏こそ、思い切りサッカーをしたい! という子どもたちの思いはみんな一緒。暑さに負けず、みんなでサポートを工夫すれば、楽しく乗り切れることはたくさんあります! 親子でできる取り組みを一緒に考え、専門的な視点も取り入れながら、これからもさまざまな情報を発信していけたらと思っています。


参考:JFA熱中症対策ガイドライン

※本記事は、看護師としての経験や知識をもとに書かれているものです。

WRITER PROFILE

金子会里
金子会里

長男(小4)長女(中2)の母
長男のサッカーサポートや様々な救護現場で感じたリアルな想いを通して『誰もが安心安全に、笑顔で成長できる環境とは?』を考えるように。豊かなサッカーライフにつながる『気づき』を経験談など交えてお伝えしていきます。
看護師・保健師/認定スポーツ救護ナース/スポーツ救命ライセンス講習インストラクター/他