【睡眠×免疫】睡眠の質と免疫力の関係
みなさんこんにちは!【スポーツ×睡眠】をコンセプトにアスリートの睡眠サポートを行っている、スリープトレーナーのヒラノマリです。「#スリトレ」はスリープトレーニングの略で、プロ選手も実践している私の睡眠メソッドの略になります。今回もサッカージュニアとママのための#スリトレをお伝えします。
全国的にインフルエンザやプール熱などが大流行している今年の冬。今回は、睡眠と免疫の関係についてお話したいと思います。
そもそも免疫とは?
免疫とは、体内で発生したガン細胞や外から侵入した細菌、ウイルスなどを常に監視し撃退する自己防衛システムのこと。身体の細胞の中でも、白血球がこの免疫の大きな役割を担っています。白血球は主にリンパ球・顆粒球・マクロファージの三種の免疫細胞が存在しますが、リンパ球が35%、顆粒球が60%という状態が最も病気にかかりにくいと言われており、白血球のバランスが免疫力の高さに直結しています。そして、この白血球のバランスをコントロールしているのが『自律神経』と言われています。
つまり、ストレスや睡眠不足、不規則な生活などで自律神経のバランスが乱れてしまっていると白血球のバランスも崩れるため、免疫力が下がり、感染症や風邪にもかかりやすくなるというメカニズムなのです。
免疫力アップには、睡眠時間だけでなく睡眠の質が大切!
免疫力アップには「十分な睡眠時間の確保」というのはよく聞きますが、実は睡眠時間だけではなく、『睡眠の質』も重要であることが、アメリカの研究で証明されています。その研究では、153人を対象に、鼻粘膜に風邪のウイルス(ライノウイルス)を付着させ、2週間で何人が発症するかを調べるというもので、睡眠時間の量ではなく中途覚醒(夜中に目が覚めること)の回数という『睡眠の質』を基準に調査が進められました。
その結果、中途覚醒が睡眠時間の2%以下で安定して眠れた人たちは、7人に1人しか発症しませんでしたが、中途覚醒が8%以上のよく眠れなかった人は、2人に1人が発症するという結果に。中途覚醒が8%以上の人は、2%以下の人たちに比べて、5.2倍も発症する危険率が高くなったのです。つまり、免疫力アップには『睡眠時間の量』だけでなく中途覚醒が少ないという『睡眠の質』も大切なのです。
中途覚醒を減らすには、寝室の温湿度にも注目しよう!
では、どのようにして中途覚醒を減らし睡眠の質を高めればいいのでしょうか。ズバリ、冬の睡眠の質のポイントは寝室の温度と湿度にあります!冬~春先の質の良い睡眠をとるための適切な寝室の温度は16~19℃、湿度は50%と言われています。
眠りに入るとき、人は深部体温(脳や内臓など、体の内部の温度)が下がり、起床時に向けて明け方から徐々に深部体温が上がっていきます。しかし、真冬の寝室の室温は10℃を下回ることもあります。寝室が寒すぎると、いくら布団をたくさんかけていても、寒い空気が呼吸を通して体に入ってきてしまいます。そうすると肺が冷やされ、深部体温が下がりすぎてしまい、明け方に寒さで起きてしまうなど、中途覚醒の原因になります。
そのため、冬場は布団を重ねて暖を取るだけではなく、寝室全体の空気をある一定の温度(室温16~19℃)に保つことが大切です。寝室に温度と湿度がわかる温湿度計を置いて、睡眠環境の見える化をしてみてください。
一晩中暖房を使用することが難しい場合は、いざ寝るときに暖かいリビングから寒い寝室に急に移動してしまうと、その寒暖差で交感神経が刺激されてしまうこともあるので、寝室は就寝の30~1時間前から暖めてあげるだけでも寝入りがスムーズになりますよ。冬は空気も乾燥しがちなので、加湿器を併用したり、加湿器がない場合は寝室に洗濯物を干したり、観葉植物を置いたりすると寝室の湿度を上げやすくなります。
いかがでしたでしょうか?睡眠の質をしっかり上げて元気に年末年始を乗り越えましょう!それでは、次回もお楽しみに!
参考文献:Cohen, S., Doyle, W. J., Alper, C. M., Janicki-Deverts, D., & Turner, R. B. (2009). Sleep habits and susceptibility to the common cold. Archives of internal medicine, 169(1), 62-67.