「ミスしても大丈夫!褒めて伸ばす声かけをしよう!」イギリスサッカー便り
みなさん、こんにちは。
つい先日、UEFA Women’s Euro 2022が行われ、イングランド女子チームが見事優勝!とても盛り上がりを見せました!
さて、2022−23シーズンが始まり1ヶ月が経ちます。昨シーズンはコロナの影響でトレーニングの見学ができなかったのですが、今シーズンからは平日のトレーニングも見学できるようになり、今まではほとんど聞こえなかった練習中のやりとりや声かけを少しですが聞けるようになりました。今月は、その中で印象的だったいくつかの声かけをご紹介します。
「大丈夫大丈夫!次だよ次!」
ある日のゲーム形式のトレーニングで、コーチが“No disappointment! Next one!”と何度も声かけしているのを聞きました。練習終わりの息子に、No disappointmentってよく言ってたねと聞いたところ、今のクラブに入ってからずっとコーチたちが言っていることだと教えてくれました。
この“No disappointment”は「気にしない、落ち込まない」という意味で、コーチがミスしてしまった選手に対して積極的にかけていた言葉です。試合やトレーニングでミスをしてしまうと、落ち込んでしまったり、なかなか気持ちの切り替えができずにまたミスしてしまったり……そんな経験がある選手も多いかと思います。そんな時でもすぐさま「大丈夫大丈夫!次だよ次!」の声かけで、気持ちの切り替えができてることもあるのではないかなと感じました。
息子も昔はミスすることを怖がって、なかなか積極的なプレーができなかったり……そんなこともあったように思います。そんな息子が今では、「ミスくらいするよ。プロだってミスする。大事なのは次ミスしないようにまた練習してやることなんだよ」と言うではないですか……!考え方がとっても前向きになったなと親の私が逆にびっくりしています。
以前から何度か書かせていただいていますが、イギリスでは、サッカーだけでなく学校でも大袈裟なくらい褒めていただけます。アプローチの仕方ができないことへの減点方式ではなく、些細なことでもできたことに対する加点方式だなと感じます。
ミスを咎めるのではなく、すぐ次のプレーに目を向けて、チャレンジしたことを褒める声かけをよく聞きます。これは子育てでも同じですが、簡単そうに思えてなかなか難しいこと……。つい、「なんでそんなことしたの……」と反射的に声に出してしまうこともあります(反省)。「大丈夫大丈夫、次だよ次!」と言えるようになりたいものなのですが……。
また、あくまで私の経験談ですが、イギリスに来てからサッカーの試合中に選手に対してコーチが怒鳴ったりするのをみたことがありません。選手やコーチたち、また親たちがエキサイトして……というシーンは何度も目撃しましたが(笑)。試合中は選手たちを褒め、鼓舞する言葉をたくさん耳にします。もちろんルールを守らないことに対しては厳しく指導されますが、プレーに対して咎められることはないように感じます。そんな中で我が家の息子たちも自信を持ってサッカーを楽しめているように思います。
親も子も、一喜一憂せずに長い目で見守ること
もう一つ、印象的だったのが、昨シーズン終わりのコーチとの面談の時のこと。たくさん褒めていただいた後に「調子悪くても落ち込まなくていい、逆に調子良くても喜びすぎず。大事なのは、しっかり自分のプレーを見返して、次につなげることだよ」と言われました。とても心が軽くなり、長い目でみていただいているんだなと嬉しく思いました。
息子は、昨シーズンの試合後欠かさず自分のプレーを見返して分析するという作業を続けていました。そんな日々の積み重ねも、ポジティブに考えてプレーできるようになってきた理由の一つかなと感じます。つい先日の試合では、ハーフタイム中にコーチと話す次男の姿があり、後で聞いたところによると、パスミスになってしまったあるプレーのことをコーチに確認していたそうです。
周りにあれこれ言わなくても自分でしっかり修正していたみたいで、自立してきたなと嬉しく感じました。親からすればついつい一喜一憂してしまいがちですが……そこは私も長い目で成長を見守っていかなければならないなと改めて感じた言葉でした。
そんなこともあり、最近は試合や練習帰りの車の中で、「あのプレー良かったよね!」というように声をかけるようにしています。すると、息子の方から色々話してくれますし、親子の会話もはずみます(笑)。決して「なんであんなことしたの?」なんて言い方はしません。
サッカーをやるのは本人ですし、本人が一番よくわかっています。親は子どもの一番のサポーターであるためにも、たくさん褒めてあげたいと思います。ぜひ、サカママのみなさんも、小さいことからたくさん褒めてみてあげてくださいね。