日本代表チームの経験が逸材FWのすべてを変えた【福田師王/神村学園高校2年】
1年次から神村学園のエースストライカーとして期待された逸材が、今夏のインターハイで覚醒。5得点の大活躍で大会得点王となった。強靭でしなやかなプレーを可能にするカラダづくりは、昨年招集された年代別日本代表での経験にあった。
チューブトレーニングでカラダに刺激を入れる
-インターハイでは5得点を挙げて得点王に輝きました。大会期間中はどのようにコンディショニングに努めていたのでしょうか?
「試合前にチューブトレーニングでカラダに刺激を入れるようにしていました。試合後は連戦なのでパフォーマンスに波がでないように、ストレッチなどに時間をかけてリカバーを徹底していました」
-チューブトレーニングの内容は?
「ゴムチューブを膝の上につけて、足を開きながら負荷をかけるスクワット等を10回×5セットやっています。中学2年ではじめて年代別の代表に選ばれ、ASEAN青少年交流大会(2020年2月)に参加した時に、色々と学ぶことができました」
-日本代表で受けた影響とは?
「一歳年上の世代の中に入らせてもらったのですが、試合に臨む姿勢がまったく違いました。チューブトレーニングもその一つで、代表ではみんな試合前のアップでカラダに刺激を与えるチューブトレーニングをしていて衝撃でした。実際にやってみたら、切り返しの速さやステップなどアジリティのパフォーマンスが上がったのを実感できました。それから試合前はルーティンとして必ずやるようにしています」
-神村学園ではどのような影響が?
「僕が取り組んでいるのを見て、チューブトレーニングをみんながやるようになりました。自分らのサッカーをしっかり全国に知らしめることを意識してやっているので、全員が新しいものにも取り組む意識が高いと思います。個人的に相手にかわされないようにボディバランスを良くするための体幹トレーニングについて、チームのトレーナーに相談しています」
食事、ストレッチ、サプリ、睡眠… 全て代表で意識が変わった
-福田選手は昨年1年生ながら全国高校サッカー選手権に出場し、周囲と比較しても見劣りしないフィジカルの強さを見せつけました。カラダづくりで取り組んでいることは?
「中学の頃はカラダの線が細かったんです。高校に入ってから、このままではフィジカルが通用しないと思い食べる量を増やしました。中学では一切筋トレをしてこなかったのですが、高校に入学してからは週3日で筋トレに励んでいます」
-食事に関してはいかがですか?
「量はもちろんですが、肉を中心にタンパク質をしっかり摂るように栄養面に気を付けています。献立も日本代表で出された食事を参考に、母親に栄養バランスを考えてつくってもらっています」
-サプリメント等の栄養補助食品は?
「プロテインを2日に1回のペースで摂っています。ゴールデンタイムと呼ばれる筋トレ後の30分以内と、睡眠の前にも摂っています。プロテインを飲むようになったのも代表での影響からです」
-日本代表での経験が、その後のコンディショニングの意識に相当な影響を与えていることがわかります。
「はい。僕にとって日本代表での経験はターニングポイントだったと思います。日本代表に選出されるような選手は、いろいろな情報を持っていますし、自分とは違った視点を与えてくれます。特に千葉寛汰君(清水エスパルスユース)や勝島新之助君(京都サンガF.C.U-18)のことは参考にしています。代表 に呼ばれなければ、3食バランスのよい食事の大切さ、チューブトレーニングのことなどを知ることはなかったと思います」
-睡眠についてはいかがでしょうか?
「夜は10時半には寝るようにしています。将来的にもコンディションのことを考えて、早く寝た方が良いという考えです。朝は5時45分に起きるので、睡眠はしっかりとるようにしています。実は睡眠に関しても代表時の選手たちがみんな早く寝ていたのが影響しています。食事、ストレッチ、サプリ、睡眠……、すべてが代表での影響が大きいですね」
-今後の課題は?
「まだまだフィジカルに頼ってしまっていることが課題ではあります。今は多少ポジショニングが悪くてもフィジカル任せで勝ってしまうことがありますが、上のレベルに行けば通用しないのは分かっているので、カラダの使い方など意識して改善していきたいと思っています」
-注目も集まり、今後はマークがさらにきつくなると思いますが?
「そうですね。もっと個人で打開できる力が必要になってくると思います」
-目指している選手像は?
「特定の選手はいなくて、いろんな選手のいいところを吸収していきたいです。いろんなところの質を高めて、欠点のない何でもできる“パーフェクトストライカー”になりたいです」
カラダづくりの三箇条
一 日本代表での経験を日々に活かす
二 試合前のチューブトレーニング
三 効果的なタイミングでプロテインを摂る
※このインタビューは2021年10月に行ったものです。
写真/山口賢二郎