2021年Jリーグの扉を開いた高体連出身選手をピックアップ!
今年、J1、J2、J3に挑む高体連出身選手は36名。コロナ禍の荒波に揉まれながら、夢を叶えた彼らを待つプロの世界とは? 選ばれしROOKIESの挑戦を追う!
68/170,000という至高の挑戦権。18歳で挑むプロの世界
2021年の高卒プレーヤーはわずかながらも高体連出身プレーヤーがユース出身プレーヤーを上回った。ユースではJ1、J2のアカデミーからそのままトップに昇格したケースが多く、高体連出身選手がJ3への供給源になっていることがわかる。
コロナ禍という異例の事態に見舞われた2020年。インターハイや相次ぐ大会の中止により、絶好のアピールの機会を失った高校生プレーヤーに「進路」が重い現実として圧し掛かったのは想像に難くない。そんな状況下、日々の研鑽を怠らず、プロのスカウトの目に留まり、2021年の「J」への扉を開いた高卒プレーヤーは68人(高体連出身選手は36人)。サッカー少年であれば誰もが思い描く「プロサッカー選手」の夢を、彼らは実現させた。
しかし、選択した道は年齢に上限のない、完全実力主義のプロの世界。五輪世代のU-24(3月27日付)メンバーに名を連ねる三笘薫、旗手怜央(ともに川崎フロンターレ)、渡辺剛(FC 東京)、相馬勇紀(名古屋グランパス)、林大地(サガン鳥栖)ら、近年目覚ましい活躍を見せる大卒プレーヤーに注目が集まる中、彼らは18歳という若さで、過酷な「J」の舞台に挑戦する覚悟を決めた。
小・中・高でも世代の壁は存在する。どの世界でも“1年生プレーヤー”は、そのレベルの違いに戸惑い、焦り、立ち止まりながらも、成長期という助走期間を経て、チームをけん引していく上級生プレーヤーとなっていく。その点は大学サッカーも同様だ。しかし、プロの世界に限っては、結果がすべて。若さという特権がないとは言わないが、結果を残すことができない者に“ネクストシーズン”は約束されない。
そんな苛烈な世界に挑む、昨年まで部活プレーヤーだった先輩たち。全国の第2種(高校年代)登録数は約170,000人。その中のわずか68人だけが見ることのできる、18歳での「J」の舞台とはどんな景色なのだろうか。次頁から、最前線で戦う彼らが直面している現実と本音に迫った。
2021年Jリーグの扉を開いた高体連出身選手をピックアップ!
MF:樺山諒乃介
(興國➡横浜F・マリノス)
年代別の日本代表に名を連ねてきた期待の大器は、高卒ルーキーとして14年ぶりにJ1開幕スタメン出場を果たした。ルヴァンカップ開幕節でもスタメン出場、その後もサブとしてコンスタントに試合を重ねている。
MF:櫻井辰徳
(前橋育英➡ヴィッセル神戸)
上州のタイガー軍団で2年次からエースナンバー14を背負う。名門をけん引しながら不思議と選手権には縁がなかったが、その悔しさを糧にプロで捲土重来を期す。ルヴァンカップ開幕節でスタメン出場を果たし、得点に絡む活躍を見せる。
FW:横山歩夢
(東海大高輪台➡松本山雅FC)
抜群のスピードを武器に東海大高輪台初のプロ選手に。J2開幕戦で後半途中出場しデビュー。積極的にゴールを狙う動きを見せる。その後もコンスタントに試合の機会を与えられ、出場時間は少ないながらも、着実に前進を続ける。
MF:南拓都
(興國➡横浜F・マリノス)
俊足を活かした縦への推進力と高い身体能力を武器に、ルヴァンカップ開幕節では興國時代からの盟友・樺山とともに出場し、Jリーグ公式戦デビューを飾った。層の厚いマリノスで、チームに変化を与える活躍が期待される。
FW:小見洋太
(昌平➡アルビレックス新潟)
中学時代のFC LAVIDAから6年計画で年代を代表するストライカーとなった昌平カルテットのエース。抜群のポジショニングとDFの裏を取る動きで、外国籍選手が多い新潟のFW陣に割って入る活躍を期待!
DF:平井駿助
(興國➡横浜F・マリノス)
GK:田川知樹
(興國➡横浜F・マリノス)
GK:西川幸之介
(藤枝東➡大分トリニータ)
FW:西野太陽
(京都橘➡徳島ヴォルティス)
MF:大森博
(修徳➡徳島ヴォルティス)
FW:阿部要門
(尚志➡モンテディオ山形)
MF:中田湧大
(香里ヌヴェール学院➡ザスパクサツ群馬)
DF:奈良坂巧
(桐光学園➡FC 町田ゼルビア)
FW:堤聖司
(大分➡福島ユナイテッドFC)
FW:長野星輝
(東福岡➡福島ユナイテッドFC)
FW:宮原愛輝
(大津➡ロアッソ熊本)
プロ輩出最多は興國の5人。激戦区大阪にあって選手権常連とは言えないが、例年プロ選手を送り出している。次点は2年連続で選手権ベスト8に進出した埼玉の昌平。選手権で過去2大会でチームの主軸となった昌平カルテットの4人は高卒プロ入りを選択した。19年度、20年度の選手権ベスト4のチームからは青森山田、静岡学園から3人。必ずしも選手権上位チームがプロに直結しているとはいえないようだ。
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