【第100回全国高校サッカー選手権】名選手が躍動した100年の記憶。SAMURAIたちの選手権
記念すべき100回大会を数えた高校サッカー選手権では、これまでに数多の名選手を輩出してきた。現在、日本代表に名を連ねる彼らは、選手権の舞台でどのような記憶を刻んだのだろうか。
大迫勇也(鹿児島城西/ヴィッセル神戸)
- 選手権出場歴:第87回(2008年・準優勝)
- 鹿児島城西➡鹿島アントラーズ➡1860ミュンヘン➡ケルン➡ブレーメン➡ヴィッセル神戸
1大会で10得点を叩き出し、対戦相手に「半端ない」と言わしめた第87回大会の伝説は今も語り草となっている。初戦の青森山田戦から準々決勝まで4試合連続で2得点、準決勝、決勝でそれぞれ1得点と全試合で得点を挙げる驚異的なパフォーマンスを発揮。この記録は現在もなお大会最多記録となっている。余談だがその後のロシアW杯での活躍から、彼の代名詞として「(大迫)半端ないって」が時を経て2018年度の流行語大賞トップ10に輝いている。
浅野拓磨(四日市中央工業/VfLボーフム)
- 選手権出場歴:第89回(2010年度・1回戦敗退)、第90回(2011年度・準優勝)、第91回(2012年度・2回戦敗退)
- 四日市中央工➡サンフレッチェ広島➡アーセナル➡シュトゥットガルト➡ハノーファー96➡パルチザン・ベオグラード➡VfLボーフム
第89回大会から3年連続で選手権に出場。日本代表のスピードスターは名門・四日市中央工の一員として、当時から群を抜くスピードを誇り、2年次の第90回大会では全試合で得点するという史上4人目の偉業を成し遂げ、得点王(7得点)に輝いた。7人兄弟という大家族への負担を考え、当初は入学すら諦めていたという四中工への進学だったが、自らの力で選択が間違いではなかったことを証明してみせたのだった。
室屋成(青森山田/ハノーファー96)
- 選手権出場歴:第89回大会(2010年度・3回戦敗退)、第90回大会(2011年度・3回戦敗退)、第91回大会(2012年度・3回戦敗退)
- 青森山田➡FC東京➡ハノーファー96
名門青森山田から3大会連続で選手権に出場。2011年にはU-17W杯日本代表としてベスト8進出に貢献し、3年次は主将として大会の優勝候補筆頭にも挙げられた。大会ナンバー1のサイドバックとして大いに注目を集めたが、ベスト16敗退という結果に。チームとしては3大会を通してベスト16の壁を超えられなかったが、そのポテンシャルの高さから大会優秀選手に選出されている。
柴崎岳(青森山田/ CDレガネス)
- 選手権出場歴:第87回(2008年度・1回戦敗退)、第88回(2009年度・準優勝)、第89回(2010年度・3回戦敗退)
- 青森山田➡鹿島アントラーズ➡テネリフェ➡ヘタフェ➡デポルティーボ➡CDレガネス
脈々と受け継がれる名門・青森山田の背番号10番。今大会で松木玖生も背負ったこの伝統の背番号の系譜の原点といえるのが柴崎だ。「プラチナ世代」の象徴は、第87回大会から第89回大会にかけ3大会連続で出場。高校生離れした判断力と技術、そして端正な顔立ちから、準優勝した第88回大会は“大会の主役”として報道が加熱し、日本全国で一大フィーバーとなった。
植田直通(大津/ニーム・オリンピック)
- 選手権出場歴:第89回(2010年度・1回戦敗退)、第91回(2012年度・1回戦敗退)
- 大津➡鹿島アントラーズ➡サークル・ブルッヘ➡ニーム・オリンピック
日本代表でもトップクラスの身体能力を誇るセンターバックは選手権には2度出場。テコンドー経験があり、186cmの長身と驚異的なフィジカル、50M6秒1のスピードを兼ね備えた“超高校級DF”として大会前から大いに注目を集めた。J1鹿島への内定も決まり、キャプテンとして臨んだ3年次の第91回大会だったが旭川実業にPK戦で敗れ1年次に出場した第89回大会と同様に、初戦で敗れることとなった。
小川諒也(流通経済大柏/ FC東京)
- 選手権出場歴:第93回(2014年度・ベスト4)
- 流通経済大柏➡FC東京
激戦区千葉県大会で3年連続決勝に進出し、3年次の93回大会で選手権に出場を果たした。世代を代表するサイドバックとして東福岡と並ぶ優勝候補筆頭格チームの顔として注目を集めた。サイドハーフとしての起用ながら左サイド全域を支配した運動量はもちろん、突破力、質の高いクロスなど、次元の違うプレーを随所に披露。準決勝では相手DFを体で押さえながらのループシュートで強烈なインパクトを残し、大会優秀選手に選出された。
荒木遼太郎(東福岡/鹿島アントラーズ)
- 選手権出場歴:第97回(2018年度・2回戦敗退)
- 東福岡➡鹿島アントラーズ
2年次で出場した第97回大会。U-16日本代表としてアジア優勝を成し、堂々と“赤い彗星”のタクトを振るった。初戦の浦和南戦では中盤から両ワイドを巧みに操り、速い縦パスで大量得点を演出。自らも、スルーパスから抜け出し4点目を決めるなど大器の片鱗を見せていた。
写真/足立雅史、藤井隆弘、山口賢二郎