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「大一番で力が出ない。試合の最大の敵は?」アメリカ少年サッカー記33

シーズンで目標とする「State Cup」と呼ばれる大会が始まりました。ここの州でのこの大会の特徴は、2週間に渡り、予選から決勝までの試合が行われる点です。
もちろん日中は学校がありますが、試合によっては集合時間が午後3時など早かったりします。家から競技場まで1時間半もかかるので、早い時間帯の試合は、学校を早退するしかありません。高校に入り、最初の学期末という大事な時期に、3回連続でスペイン語の授業を早退する羽目になってしまいました。

U15の学年は、試合時間が40分ハーフの合計80分と長丁場です。さらに、2週間で最大5試合をこなします。息子のチームは、不運にも大会直前に脳震盪と脱臼の怪我で二人の選手が離脱。結果として、サブの選手はフィールドプレーヤーが一人とゴールキーパーがもう一人という状況で、ほとんどの選手がフル出場で試合に出ました。

それでもチームはなんとか勝ち上がったのですが、最後の決勝戦で問題が発生しました。前半を快調にプレーしていた息子が、後半に突如失速したのです。試合後に話を聞くと、ハーフタイムでもうアドレナリンがないことに気がついたとか。
でも、本当にそうなのかと思い、さらに詳しく話を聞いてみると、後半はどうも力が出なかったようです。よくよく考えてみると、試合が夜7時からスタートで、後半はお腹も空いてきたそう。どうやらこれは、ハンガーノックだったようでした。

やってしまった、ハンガーノック!空腹は大敵

 

ハンガーノック。空腹で力が出ないことで、激しいスポーツをする選手が最も避けなくてはいけないことです。ハンガーノックの厄介なところは、空腹に気がついた時点ではもう手遅れということ。息子の場合も、アドレナリンがつき、パワーもつき、もはや後半戦を戦える状態ではありませんでした。後半30分を終えたところで息子は交代。チームも悲願の優勝まであと一歩のところで勝利を逃したのでした。

どうしてハンガーノックになってしまったのか? 心当たりはいくつもあります。決勝戦へは冷凍してあったカレーを食べさせてから出発したのですが、それだけでは量が足りなかったみたいです。そもそも、大会期間の2週間が忙しすぎて、栄養補給が基本的に不足していたようでした。大会期間中は、学校の宿題やテスト、私も仕事が忙しい時期で、往復3時間かけて試合に行き、さらに試合のない日もストレッチを中心としたチーム練習が入り、しっかりした食事を作れた日が少なかったのです。結局、日々の適当な食事が仇となり、長い大会の最後にガス欠を起こしたのでした。

目指せ、肉体改造部!

 

人間失敗しないと気がつかないことはあります。私も息子もどこか食事に関しては適当で、どうにかなるだろうと慢心していたのですが、一番大事な試合で力を発揮できず猛反省しました。チームメイトのママからは、もっと食べさせろ、とお叱り(笑)を受け、食事を見直すことにしました。
今回の改善点は、一回の量を増やすのではなく、食事の回数を増やすことにしました。例えば、夜の練習では夕ご飯を食べてから練習に向かいますが、練習から帰った後もお腹が空いていれば、もう一回軽めの食事を食べさせることにしました。こうすることで、1回の食事でモリモリ食べられない息子もたくさんの量が食べられます。

さらに、市販のプロテインシェークを飲ませ始めました。以前にこのサカママで、自家製プロティンシェークのすすめ(https://soccermama.jp/node/3376)を紹介したのですが、こんな忙しい大会期間は食事どころかプロテインシェークも作れません。自家製にこだわり栄養摂取の機会を失うくらいなら、市販のシェークを常備し、大会や激しい練習の後でも手軽に飲めるようにしました。
この話をしたら、サカママ友達の間でも購入が増え、プロティンシェークの輪が広がりました。プロテインの過剰摂取は気をつけたい点ですが、運動量が多いサッカー選手には、効率的な栄養補給の救世主となりそうです。

さて、今回は大一番で失敗してしまった親子ですが、この失敗を息子がどう今後に生かすのか、楽しみでもあります。サッカーは単純に楽しむためのスポーツですが、失敗と改善を繰り返しながら成長していく点は、人生そのものです。これからも、その息子のサッカー道を陰ながら応援していきたいと思います。

WRITER PROFILE

近本 めぐみ
近本めぐみ

日米で色々な大学、研究所を渡り歩く理系研究者。現在はアメリカ在住、在米歴と息子のサッカー歴が8年のサカママ。サカママWEBでのコラムを通して、アメリカならではのサッカー育成の面白いところ、興味深いところを発信していきます。

★外部ブログ「アメリカ発少年サッカーの育成事情」でも執筆中