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「試合に勝てなくても大丈夫?チームに不安を覚えた時に」アメリカ少年サッカー記32

長いこと子どもの試合を見ていると、子どもの成長はアップダウンするのが分かります。年齢と共にできることが増えるように、サッカーも数年前にはできなかったプレーができるようになる、試合を理解していなかったのが、試合の流れを掴むようになる、周りを見てボールに絡むようになる、など、確実に成長している部分があります。

ところが、日々の試合では、集中できなかった、シュートが枠に飛ばなかったなど、短期的にダウンした部分に注目しがちです。そうなると、自分の子どもはちゃんと成長しているか、不安になります。さらに、チームが負け続けると、チームやコーチに対しても懐疑的になります。

そんな時に、今のチームに任せるべきか、移籍するべきかをどう判断したら良いのでしょうか? 今回は、母親から見た、チームを決める時のポイントを考えてみました。
息子は去年チームを移籍しましたが、以前と現在の所属ではチーム戦略が全く違いました。その違いから見えた、子どもの成長に適するチーム戦略やコーチングはどういうものかも考えてみたので、よければ参考にしてみてください。

2つのタイプのチーム

 

サッカーチームには、色々な特徴があります。全体的にハイプレスのチーム、守備重視でカウンターを仕掛けるチーム、ボールをよく回すポゼッションのチーム、ワイドに開いた攻撃型チームなど…。その中で、以前に所属したのは、ハイプレスのチームで、移った先はポゼッションのチームでした。

この2つの違いは、ざっくりいうと、リーグに強いチームと、トーナメントに強いチームです。選手全員でハイプレスをかける戦略は、1日1試合のリーグ戦に有効です。常にフレッシュな選手を投入するため、選手全員が満遍なくプレーできるのも特徴です。
ただし、数日で多くの試合をこなすトーナメントには不向きで、連戦になるほど選手が消耗します。以前は大会を勝ち進むにつれ、攻撃的なポジジョンの息子は激しく消耗し、プレーの質がどんどん落ちていきました。

それが、ポゼッションのチームに入った途端、試合数の多いトーナメントでもあまり消耗せず、勝ち進むようになりました。この1年半で優勝したトーナメントは7つ。ところが、今度は、一日1試合のリーグ戦では、なかなか勝てなくなりました。こうもチーム戦略や結果が異なると、どちらのチームが子どもの成長には良いのだろうか?と疑問が湧いてきます。

子どもに合うチームを見つけるための観察の仕方

 

対戦試合は、他のチームの特徴を知る絶好の機会です。私が最も気にし、なおかつ分かりやすいと思った特徴は、ベンチにいる選手の数です。3人がちょうど良い、7人は多く、1人は少なすぎ。
そして、選手交代の頻度も見ます。ほとんどプレーしない子が多いと、怪我人も含まれるかもしれませんが、選手起用に問題のある可能性が高いです。このようなチームに入ると、サブの選手は成長の機会が著しく失われてしまいます。

そして、試合運びからチーム戦略も見ます。試合でこちらのチームがなかなか崩せず、相手陣地に選手が多い場合は、相手チームはカウンターサッカーの可能性があります。フィジカルや足の速い選手を前に置き、ボールをその選手に集めるのが特徴です。守備が強い、視野が広い、カウンターができる選手は、このチームで活躍できるはずです。

相手選手のプレスが速く、選手を頻繁に入れかえる場合は、ハイプレスのチームかもしれません。このチームは、どの選手もフィットしやすく、体力のある選手は活躍できます。また、試合の勝率が高い傾向にあり、強いチームに見えます。

もし、守備もボール回しによく参加している場合は、ポゼッションサッカーを行っている可能性があります。この戦略は、各選手のサッカーの理解が高くないと機能しないので、発展途上のチームが多く、チーム作りに時間がかかります。

こうしてみると、ハイプレスチームは、子どものサッカーで一番良いチーム戦略に見えます。ところが、これは、9人制など狭いコートだからこそ優位なのかもしれません。学年が上がり11人制の広いコートで、試合時間が長くなり、選手交代の制限も出てくると、常にハイプレスをかけるのは厳しくなります。
年齢ごとに適したチーム戦略があるとするなら、11人制に変わる時は、チームの移籍を考えるターニングポイントかもしれません。お子さんのプレーの特徴が明確なら、その特徴にフィットする戦略のチームを探すのが良いかもしれませんね。

我が家はU14でポゼッションサッカーに移行し、息子のサッカーの理解が大幅にすすみました。特に、チーム全体のバランスをみて、ポジショニングを修正することや、パスとドリブルをするタイミングを考えるようになりました。こうした理解は、ハイプレスのサッカーでは学ぶ機会の少なかった概念です。

ただ、ポゼッションがうまくなっても、チームとして勝てるかどうかは、別問題です。たとえ負けが続いても、チーム戦略が明確で子どもがフィットしているなら、多分、大丈夫。そのまま暖かく成長を見守るので問題なさそうです。
ところが、実際には試合結果に一喜一憂してしまいます。子どもと一緒に、私もサッカーを観る目を長い期間をかけて養っていきたいなと、と感じています。

WRITER PROFILE

近本 めぐみ
近本めぐみ

日米で色々な大学、研究所を渡り歩く理系研究者。現在はアメリカ在住、在米歴と息子のサッカー歴が8年のサカママ。サカママWEBでのコラムを通して、アメリカならではのサッカー育成の面白いところ、興味深いところを発信していきます。

★外部ブログ「アメリカ発少年サッカーの育成事情」でも執筆中

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