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「サカママとして猛反省!気づけなかった身体のサイン」イギリスサッカー便り

みなさん、こんにちは!
だんだん日が長くなり、少しずつ春の訪れを感じられるようになってきたイギリスです。今月は、オーバートレーニングで息子が体調を崩してしまったときの経験談を書かせていただこうと思います。

何だか疲れている?「大丈夫」と思っていたけど…

 

息子たちの試合は週末土日のどちらかで、それも1試合しか行いません。週に1試合しかないので、平日から週末の試合に向けてコンディションを整えていき、それがシーズン通して続きます。
あるとき、次男の調子が良くないなと思う時がありました。調子の良し悪しは誰しもが経験することだと思うので、そんなときもある、また次がんばれ~くらいにしか思っていなかったのですが、その次の週も不調。コーチに、「You look tired(疲れてるように見える)」と言われたらしいのですが、本人には疲れている自覚はなかったようで、それほど気に留めていませんでした。

そして、その翌週の試合の後。次男が「リアクションが何かおかしい、いつもならできることができない感覚がある」と言い出しました。そのときは、一晩しっかり寝て休んで、また来週からがんばればいいと思っていたのですが、このころから、夜中頻繁に目を覚ましたり、食事量が減ってきたり、いつも寝ることのない練習帰りの車で寝てしまったり……何かいつもと違う、疲れが溜まっているのでは?と思うようなことが続きました。
それでも本人は大丈夫だと言うので、平日練習も通常通り参加していたのですが、翌日に試合を控えた金曜日の夜、ついに高熱を出し体調を崩してしまいました。このご時世ですから、新型コロナ感染も疑いましたが、日々簡易テストするも陰性で、症状は熱と腹痛、極度の疲労感といった状態でした。

猛反省!見逃していた身体のサイン

 

熱を出してはじめて知ったのですが、実はその前の週の試合後、コーチに「疲労がたまってるように見えるから、数日トレーニングを休むのはどう?」と提案されていたそう。コーチがちゃんと変化に気づいてくださっていたことに驚いたのですが、休み慣れていない次男は、「休まなくて大丈夫」と答え、そのままハードワークを続けていたのです。

実はちょうどこの時期、急に学校サッカーの試合の助っ人に呼ばれたり、1つ上のカテゴリーの試合に急遽招集されたりと、イレギュラーな活動が入ることがありました。それに加えて、不調なことを本人もわかっているので、朝練をするなど練習量を増やしたりもしていました。平日にしっかり休む日を取れないことが続き、思っている以上にフィジカル的にもメンタル的にも疲労が溜まっていたのだと思います。本人も無理をしているつもりはなかったと思いますが、身体はサインを発していました。私も「疲れているのかな?」くらいにしか思っていなくて、色々なサインをもっと早くに気づいてあげていれば、と猛反省……。

何よりサカママとして大失敗だったなと思うのが、急なことだったとはいえ学校サッカーの試合をコーチに報告せずに行かせてしまったことでした。イングランドではクラブチームに所属していても学校サッカーの試合には出れるので、クラブ側も学校サッカーの試合に出ることを了承してくれるのですが、きちんと報告するべきでした。コーチにも、クラブ側で負荷を計算してメニューを組んでいるので、必ずクラブ外での活動は報告してほしい、サッカーのやりすぎは良くないと言われました。次男のチームでは、試合の前日と翌日は必ずオフになるのですが、そのオフ日に試合に行ってしまっていたので、やりすぎにも程があると注意されてしまいました。

また、調子が良くないと、「もっともっと練習を増やしてがんばらなきゃ……!」と思ってしまう選手も多いのではないかと思います。次男もそのタイプです。もちろん、それで調子が戻っていくこともあると思います。ですが、パフォーマンスの低下の原因をトレーニング不足だと安易に考えないことも大切なのではないかなと今回強く感じました。トレーニングのやり過ぎが逆にパフォーマンスの低下につながってしまっていることもあるのです。あらためて、休むことの必要性を感じる出来事になりました。

パフォーマンスは心技体の掛け算、どれが欠けてもダメ

 

疲労が蓄積して体調を崩してしまった次男ですが、週末しっかり寝て休んで熱も下がったので翌週から学校に行きました。たまたまその週、珍しくチームの試合が火曜日に入り、次男もメンバー入りしました。もう熱もなく学校にも行き、軽く外でボールも蹴り始めていたので、その試合から復帰できるかなと思っていたのですが、本人が出した結論は欠席。まだ100%回復していない状態だったので、平日練習からコンディションを整え、フィジカル的にもメンタル的にもしっかり準備してから週末の試合にのぞみたいとのことでした。

あんなに普段サッカーを休みたくない次男が、まさか欠席すると言うとは正直思っていなかったのでびっくりしたのですが、あらためてサッカーというスポーツは、身体だけでなくメンタルも重要なのだなと感じました。心技体のバランスが大切とはよく言われますが、心(メンタル)技(スキル、テクニカル)体(フィジカル)どれが欠けてもダメなようです。パフォーマンスは、心技体の足し算ではなく掛け算だとどこかで読んだことがあります。どれかが0だと全てゼロになってしまう、ということですね。

昔の私だったら、「学校も行けてるんだし熱もないんだから、行けるならサッカー行ったら?」と言っていたかもしれません。でも、やるのは本人、サッカーのことは本人に任せると決めているので、今回はもちろん本人の意見を尊重しました。結果的に、しっかり木曜日からトレーニングに復帰し、週末の試合にも出場。徐々に調子を取り戻しているように思います。

今回の出来事は次男にとっても私にとってもいい経験となりました。次男も今まで以上に身体の回復を大切にするようになりましたし、少しでも睡眠時間を確保できるようタイムマネジメントを心がけるようになりました。また一つ、トライアンドエラーを経験し成長できたようです。私もサカママ経験値1UPです(笑)。同じようなことで悩んでらっしゃるサカママの皆さんに少しでも参考になれば幸いです。

WRITER PROFILE

クリストファーズ佳世
クリストファーズ佳世

イギリス在住、3兄弟(16歳、14歳、11歳)を育てる現役サカママ。 神戸市在住時は、地元の強豪クラブチームで6年間サカママ生活を満喫。2019年3月にイギリス移住後は、サッカーの本場・イングランドでシーズン1年目の新米サカママとして生活をスタート。 日本とイギリスのサッカー事情の違いなどを、サカママならではの目線で伝えていきます。