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酷暑が来る前にチェックしたい「観客」を支えるサッカースタジアムの会場救護の取り組みとは?

酷暑が来る前にチェックしたい「観客」を支えるサッカースタジアムの会場救護の取り組みとは?

みなさんこんにちは! スポーツ看護師の金子会里です。昨年の酷暑はみなさん無事にのり切れましたか? 推しのチームを応援していてスタジアム観戦中に体調が悪くなってしまった、なんていう方も中にはいるのではないでしょうか。

実はJリーグでは選手だけでなく、スタジアムに来場される「観客」を対象とした会場救護のメディカルスタッフが会場に必ず配置されています。Jリーグ全チームに医事運営(医師と看護師・各1名以上)が義務付けられているので、もしもの時にはこのような取り組みがあるということを知っておくだけでも安心ですよね。

実際に私もスポーツに関わるようになるまでは、Jリーグにこのような規定があることを知りませんでした。会場救護を行う日は基本的にキックオフの3時間前くらいから会場入りし、試合が終わって観客が帰るまで会場にいます。緊急時の導線確保や連絡体制の把握、救護物品の確認など、スタジアムの図面を見ながらはじめは広い会場で迷子になることもありましたが、たくさんのスタッフの支えの中で救護体制は整えられています。

救護室は各階に数箇所ある

基本的に大規模なスタジアムでは何万人という観客が訪れるため、救護室は1カ所ではなく各階に数箇所あります。気にしなければ、なかなか目にとまることがないかも知れませんが、もしもの時は探すのも大変になるかと思うので、広いスタジアムで救護室が見つからない場合は近くのスタッフに声をかけてくださいね。会場にいる警備員さんやスタッフに声をかけてもらえば、すぐに救護に連絡がいきます。

転倒によるケガや持病の悪化、内科的な病気や外科的な症状、精神的なもの、赤ちゃん連れのお母さんが授乳させたいとのことで救護室を利用したり、気分が悪いので少し休みたいと来室される方など、保健室のような役割も担っています

体制は年々アップデート

どんな対応もしっかりサポートできるよう、チームによって会場救護の体制も少しずつアップデートされているように思います。昨年の酷暑からの教訓で、とあるスタジアムでは、50m先まで風が届くミスト付きのファンが導入されていたり、雷を伴うゲリラ豪雨が増えたことで、EAP(緊急時対応計画)が追加されたり、夏場は救護室に大きな氷の箱が2箱も準備されている所もありました!

取り組みは各チームの状況によって異なるかとは思いますが、AED隊や学生ボランティアの配置などスポーツの安全安心を支えるための整備は各所で少しずつ広がっているように感じます。地域や子どもたちのスポーツ現場へもこれが波及していってほしい! と切に願うばかりです

気持ちを落ち着けるための部屋もある

「カームダウン・クールダウン」という気持ちを落ち着かせるための小さな部屋があるスタジアムもあります。精神的な障害や感覚過敏を抱えている方、パニック状態の方が、光や音の遮断された静かな場所で休むことができる部屋です。上の写真の表示があるところで、都内では国立競技場に設置されています。こちらの表示は救護に入る前に会場をラウンドしている時に見つけたものですが、何の部屋? と思う方が大半ではないかと思います。このようなスペースの存在を知るだけでも、観戦中の安心につながる方が増えるのではないでしょうか。

スポーツの熱狂や感動の裏で、「観客」を支えるための整備や取り組みがあることを少しでも知っていただければと思います!

WRITER PROFILE

金子会里
金子会里

長男(小4)長女(中2)の母
長男のサッカーサポートや様々な救護現場で感じたリアルな想いを通して『誰もが安心安全に、笑顔で成長できる環境とは?』を考えるように。豊かなサッカーライフにつながる『気づき』を経験談など交えてお伝えしていきます。
看護師・保健師/認定スポーツ救護ナース/スポーツ救命ライセンス講習インストラクター/他

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