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今さら聞けない!?サッカールール「ドロップボール」

1993年のJリーグ開幕節で主審を務め、審判界に多大な功績を残したレジェンド・小幡真一郎さんによるサッカールール解説シリーズ!
今回は「ドロップボール」について。プレーの再開方法の一つであるドロップボール。どんな風に行われ、どんな場合に用いられるのか、ご存知ですか?

最近よく目にする?「ドロップボール」とは

東京2020オリンピックの女子サッカー、U24男子サッカーを観て、改めて勝負の厳しさ、日本と世界との差を感じました。さて、今回のオリンピックの試合中、ドロップボールの場面が多く登場したように思います。
ドロップボールとはプレーの再開方法の一つで、主審が競技のフィールドにボールを落としてプレーを再開します。今回は、2019年の改正に伴って取り上げた、このドロップボールについて、再度見ていこうと思います。

ドロップボールでの再開方法

ドロップボールでは、主審がフィールドにボールを落としてプレーを再開します。
ドロップボールによってプレーを再開するとき、以前は両チームの選手が何人でも参加することができましたが、現在は、必ず一人の選手にボールをドロップして再開します。さらに、守備側のペナルティーエリア内で守備側のドロップボールを行う場合は、ゴールキーパーにボールをドロップすることになりました。同時に、ドロップボールで、無用な対立やトラブルを起こさないため、最後にボールをプレーしたチームの一人の選手にボールをドロップすることになりました。この時、他のすべての選手(味方の選手も含む)は4m以上ボールから離れなければなりません

ボールがフィールドに触れたときに、ボールはインプレーとなりますので、主審は笛を吹いて再開する必要はありません。

尚、次の場合はボールを再びドロップします。

  • ボールがフィールドに触れる前に選手がボールに触れる。
  • ボールがフィールドに触れたのち、選手に触れることなくフィールドの外に出る。

また、ドロップされたボールが2人以上の選手に触れることなくゴールに入った場合、プレーは次のように再開されます。

  • ボールが相手選手のゴールに入った場合は、ゴールキック
  • ボールがそのチームのゴールに入った場合は、コーナーキック

ドロップボールでプレーが再開する場面

それでは、実際にどのような場面でドロップボールが用いられるのでしょうか。例えば、次のような状況があげられます。

①ボールがインプレー中に、ボールに欠陥が生じた場合

ボールがインプレー中に、ボールに減圧や破裂などで欠陥が生じた場合は、それが分かった場所でドロップボールによって再開します。
ただし、キックオフ、ゴールキック、コーナーキック、フリーキック、ペナルティーキックまたはスローインの時に欠陥が生じた場合は、ドロップボールではなく、各方法でプレーの再開をやり直します。
尚、ペナルティーキックまたはペナルティーマークからのキックの途中で、ボールが前方に動き、競技者、クロスバーまたはゴールポストに触れる前に欠陥が生じた場合は、ペナルティーキックを再び行います。

②ペナルティーキック後に外的要因が触れた場合

ペナルティーキックが行われ、ボールがゴールキーパー、クロスバー、ゴールポストからフィールド内にはね返ったのち、外的要因がボールに触れた場合、外的要因がボールに触れた場所でドロップボールによって再開します。

※外的要因…ベンチに入っていないチーム役員(チームリストに氏名が記載されていない者)、動物、風船など

③反則によらない負傷があった場合

自分で負傷した時や足の痙攣などで選手が動けない場合、特に、その選手がゴール前にいたり、オフサイドに関わりそうなところにいる場合、主審がその状況を判断し、ボールがゴール前にいく前に早めにプレーを停止します(他選手がボールをアウトオブプレーにすることもありますが、主審がプレーを停止する方がよいでしょう)。もちろん、脳震盪や重傷と判断する場合は即座にプレーを停止します。
そして、主審がプレーを停止した時にボールがあった場所で、ドロップボールによって再開します。

④ボールが審判員に当たり、次のような流れになった場合

最近の主審は、より判定の的確性と説得力を増すために、できるだけボールの争点に近いところに位置するようにしているので、ボールに当たることがしばしば起こります。
ボールがフィールドの中にあり、審判員に当たって次のような流れになった場合は、主審はプレーを一時停止し、ドロップボールによって再開します。

  • パスをした反対のチームが大きなチャンスとなる攻撃を始めるとき
  • ボールを保持するチームが替わったとき
  • 審判員に当たったボールが直接ゴールに入ったとき
    ⇒たまたま守備側の選手がキックしたボールが主審に当たりゴールに入って、オウンゴールとなることはなくなりました。

⑤審判員の判定に誤りがあった場合

審判員の判定に誤りがあり、判定が変わった場合、ドロップボールによってプレーが再開となることがあります。

主審自身が判定の間違いだと分かり、取り消す場合

例えば、攻撃側選手のベンチ前で、攻撃側選手が守備側選手と接触し、守備側の選手がファウルをしたと主審が判断し、笛を吹いて攻撃側のフリーキックと判定しました。
しかし、攻撃側選手が大げさに自分から倒れたのでファウルでないという第4の審判員からの情報を得て、主審があらためてノーファウルと判断した場合、判定を取り消して、接触が起こった場所で守備側チームの選手にドロップボールによって再開します。

VARによって主審の判定が取り消される場合

トップレベルのゲームでは、VAR(ビデオアシスタントレフェリーシステム)が導入されています。そのため、得点に関わるPKの場面では、VARで判定が取り消される場面がしばしば見られ、ドロップボールで再開となります。

例えば、守備側のペナルティーエリア内で守備側選手が攻撃側選手と競り合った際、守備側選手の足に攻撃側選手がつまずいて倒れました。主審は守備側選手のトリッピングの反則と判断し、笛を吹いて、攻撃側チームにPKを与え、その守備側選手にSPA(攻撃の大きなチャンスを阻止した)として警告を示しました。
しかし、ここでVARがオンフィールドレビューを要求し、主審は守備側選手がボールに先に触れて突いていることを映像で確認し、ノーファウルと判断し、判定を変え、PK、警告を取り消しました。
このような場合、接触があった場所がペナルティーエリア内なので、守備側ゴールキーパーにドロップボールで再開となります。

VARについてはこちら
SPAについてはこちら


このように、サッカーがよりスピーディーに、かつ、円滑に行われるように、競技規則をシンプルにした結果、以前よりドロップボールが多く見られるようになったと考えられます。
また、主審はシンプルにドロップボールを適用できるようになりましたが、その前にどちらのチームの選手が最後にプレーしたかどうかを見て覚えていなければなりません。状況によっては、他の審判員からの協力が求められます。

④⑤のようなドロップボールの場面では、主審は自分のミスがあったとしても、それを受け入れ、割り切って、次のプレー、次の判定に気持ちを切り替えていきたいものです。正しいことができたと考え、メンタル的に引きずらないようにしたいです。

WRITER PROFILE

小幡 真一郎
1952年7月21日生まれ、京都府出身。 サッカーの競技規則の側面から、本来のサッカーの持つ魅力、またはサッカーそのものを伝えたいと思います。 サッカーが日本の文化になるような情報を発信していきます。