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今さら聞けない!?サッカールール「オフサイド」(前編)

昨年からサカママWEBでサッカーの競技規則についてコラムを投稿してくれている小幡真一郎さん。1993年のJリーグ開幕戦で主審を務め、審判界に多大な功績を残したレジェンドです。

そんな小幡さんに、今さら聞けない!?サッカールールを解説してもらいます。お子さんがサッカーをはじめたけど、いまいちルールが分からない…というサカママ必見です!

今回のテーマ
「オフサイド」

サカママInstagramで質問を募った結果、「分からない!」という声が最も多かった「オフサイド」。
サッカーを見始めたときに誰もがつまづくであろう、このルール…。とはいえ、避けては通れないものでもあるので、ここでしっかり抑えておきましょう!

オフサイドとは?

サッカーのルールで最も質問が多いのがオフサイドです。もともとゲームを長い時間続けたいので得点が入らないように考えられた歴史的な経緯がありますが、図を使って実際の場面をイメージしていただき説明したいと思います。前後編に分けてお届けします。

オフサイドは一言で言うと「オフサイドポジションにいる選手がプレーに関わった時に発生する反則」です。言葉だと分かりづらいので、図を見ていきましょう。

オフサイド解説図

まず図の赤線を見てください。守備側の後ろから2人目の選手Cに、ゴールラインと平行に描かれた線、この架空の線をオフサイドラインと言います。この架空の線より、攻撃側の選手がゴールに近い位置、前にいる時に「オフサイドポジションにいる」と言います。オフサイドポジションにいるだけでは反則になりません。副審はこのオフサイドラインの延長上にいて、オフサイドの判断をします。

オフサイドが発生する条件

オフサイドには「いつ」「どこで」「何をしたか」という3つの条件があり、3つが重なればオフサイドの反則となります。

「いつ」

オフサイドは、ボールが味方競技者によって、プレー(キックやヘディングなど)される、あるいは触れられる(手や腕を除く身体の部分で)時に起こります。その一瞬を見なければなりません。

「どこで」

位置によって、オフサイドかどうかが決まります。ハーフウェーラインより前にいる、つまり相手側陣地にいる時に起こります。ボールをもらおうとする攻撃側の選手がどこにいるのかを把握しなければなりません。

「何をしたか」

そのときのプレーにかかわっていると主審が判断した場合にオフサイドが起こります。これは、後編で詳しく説明します。

オフサイドになる・ならない? 図で解説

それでは、いくつかのパターンでオフサイドになる、ならないを見ていきましょう。

パターン1
オフサイド解説図-パターン1

攻撃側選手Aが味方Bにパスした時、Bは守備側の後ろから2人目Cのオフサイドラインより前にいます。すなわち「オフサイドポジションにいる」。プレーにかかわるとオフサイドの反則

パターン2
オフサイド解説図-パターン2

攻撃側選手Aが味方Bにパスした時、Bは守備側の後ろから2人目のGKのオフサイドラインより前にいます。すなわち「オフサイドポジションにいる」。プレーにかかわるとオフサイドの反則
守備側の後ろから2人目の選手はGK。副審は混乱することがあります。

パターン3
オフサイド解説図-パターン3

攻撃側選手Aが味方Bにパスした時、Bは守備側の後方から2人目Cのオフサイドラインより前にいません。すなわち「オフサイドポジションにいない」。プレーにかかわってもオフサイドの反則にはなりません

パターン4
オフサイド解説図-パターン4

攻撃側選手Aが味方Bにパスした時、Bは守備側CGKのオフサイドラインより前にいません。すなわち「オフサイドポジションにいない」。プレーにかかわってもオフサイドの反則にはなりません
複数の守備側選手に並んでいる時は「オフサイドポジションにいない」のです

パターン5
オフサイド解説図-パターン5

攻撃側選手Aが味方Bにパスした時、Bは守備側の後方から2人目Cのオフサイドラインより前にいます。すなわち「オフサイドポジションにいる」。プレーにかかわるとオフサイドの反則。いわゆる「戻りオフサイド」です。

パターン6
オフサイド解説図-パターン6

攻撃側選手Aが味方Bにパスした時、Bは守備側Cの前にいますが、オフサイドラインはボールになります。すなわち「オフサイドポジションにいない」。プレーにかかわってもオフサイドの反則にはなりません
ボールが守備側選手よりも後方にある場合は、オフサイドラインはボールの位置を通ります。これも誤りやすいことで副審にとっては難しいです。

パターン7
オフサイド解説図-パターン7

ボールの位置がオフサイドラインとなるので、パターン5と同様、いわゆる「戻りオフサイド」です。プレーにかかわるとオフサイドの反則
Aが相手ゴールに向かってドリブル突破し、マイナス方向(相手ゴールと反対方向)にボールをパスしたときに起こるケースです。副審はボールのラインにつきます。


図を使って解説してきましたが、何となく分かってきたでしょうか?
ポイントは、「ボールがプレーされるとき(いつ)」、「攻撃側選手がオフサイドポジションにいて(どこで)」、「プレーに関わった場合(何をしたか)」、オフサイドの反則が起きるということ。 オフサイドはプロの試合でも頻繁にみられるので、上記の点を意識してリプレイ映像などを見てみると分かりやすいかもしれませんね。
後編では、「何をしたか」の部分、どういった行動がプレーに関わったことになるか、という点を解説していきます。お楽しみに。

オフサイド解説後編はこちらから

WRITER PROFILE

小幡 真一郎
小幡 真一郎

1952年7月21日生まれ、京都府出身。元国際主審。
サッカーの競技規則の側面から、サッカーの持つ魅力、またはサッカーそのもののを伝えたいと思います。著書に7月21日発売『おぼえよう サッカーのルール』(ベースボールマガジン社)、『すぐに試合で役に立つ! サッカーのルール・審判の基本』(実業之日本社)、『失敗から学ぶサッカー審判の教科書 しくじり審判』(カンゼン)がある。