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コロナ太りの解消にも!やせ菌を増やす方法とは?【鈴木啓太の腸内環境を整えよう vol.10】

腸内細菌に関わる研究を続け、腸内環境からアスリートをサポートしているサッカー元日本代表・鈴木啓太さんによるコラム。今回は、腸内環境と太りやすさの関係についてお届けします。

太りやすいと感じている場合は腸内環境に「やせ菌」が少ないのかも?!

 

じつは、「腸内環境によって太りやすいかどうかが分かる」ことが研究では報告されているんです。
1つは、腸内環境の菌の割合です。太っている人は「ファーミキューテス門」といわれるグループの菌が多く「バクテロイデス門」というグループの菌が少ないことが報告されています。ちなみに、この「バクテロイデテス門」は、巷でやせ菌とも!

また、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansiamuciniphil)という腸内細菌も太りやすさと関係があると言われていて、この菌が腸内にいないと、インスリン(血糖を下げるホルモン)が働きにくくなるため、血糖値が下がりにくくなり肥満の原因になってしまうのです。この「アッカーマンシア・ムシニフィラ」も、やせ菌と言われています。

太りやすいと感じる場合は、こうした腸内環境になっているのかもしれません!

さらにマウスの実験では…

なお、マウスの実験でも、肥満のマウスの便を移植されたマウスは、痩せているマウスの便を移植されたマウスよりも体重が増加したことが報告されています。

また、肥満のマウス・痩せているマウスの便中に残っているエネルギー量をそれぞれ調べると、肥満のマウスの便中に残るエネルギー量が少なかったことも報告されています。

つまり、明らかに腸内環境は太りやすさに関係していると言えるのです。

太りやすい腸内環境をどうすれば痩せやすい腸内環境に変えることができるのか、気になりますよね。
ある研究では、肥満の方に対して、糖質制限•脂質制限でカロリー制限を行ったところ、「ファーミキューテス門」と「バクテロイデス門」の割合が変化して、痩せやすい腸内環境に変化したことが報告されているんです。つまり、腸内環境は遺伝とは違って、食事や運動、睡眠などによって変えることができるのです。

痩せやすい腸内環境にする、3つの食事ポイントとは?

 

痩せやすい腸内環境にするためには、食事内容の一部を少し変えるのがポイントです。

①高脂肪食を避ける

・1回の食事の中で、油を使う調理方法が重ならないように
油の量は「揚げ・炒め>焼き>蒸し・茹で」ですので、1食の中で揚げ・炒め調理が重ならないようにすることです。

また炒め物をする際も、キッチンペーパーで油をひいたり、レンジ調理に変えることで油の量の軽減に。揚げ物はフライやてんぷらのように衣があるものよりも、から揚げの方が油は少量に抑えられます。

・肉の脂身が多い部位を使いすぎないこと
豚肉の場合、脂身の多い順が「バラ>肩ロース>もも>ヒレ」です。とはいえ、全く豚バラ肉を使わないのではなく、何日も続けて使ったり、1日の食事のうち3食ともバラ肉を使用するのは避けることです。

また、脂身を抑えようとして鶏ささみや鶏胸肉を多用するのではなく、豚肉や牛肉にはそれぞれ成長期に必要な栄養素が含まれているので、バランスよくとることが大事。魚料理も週に2~3回はとりいれましょう。

・脂質の高い調味料の使い過ぎには注意
オイルドレッシングやマヨネーズは、使い過ぎないこと。ノンオイルドレッシングに代えたり、えごま油・亜麻仁油を使用してドレッシングを作るのもオススメです。
えごま油・亜麻仁油には、オメガ3という良質な油が含まれ、カロリーはあるものの、脂質の代謝を助けたり、一部免疫力を上げてくれることもわかっています。

②水溶性食物繊維を積極的に取る

 

ネバネバ系食材(長芋、オクラ、納豆など)や果物(ドライフルーツ含む)、海藻類を積極的に取ることもポイントです。これからの季節はオクラやモロヘイヤもオススメ。

③オリゴ糖も取り入れる

オリゴ糖は、たまねぎ、ごぼう、にんにく、はちみつなどに含まれています。また、オリゴ糖の商品も多いので、一部、砂糖の代わりに使用しても。ただし、オリゴ糖は取りすぎるとお腹が緩くなることがあるので量には注意すること。

なお、お子さんの場合は、基礎代謝量・活動量(運動量など)にプラスして成長するためのエネルギー量が必要です。そのため、極端な食事量の減少や糖質制限は避けるように。ケガにもつながってしまいます。


参考文献

  • Nature444:1022 (2006)
  • Nature444:1027 (2006)
  • Bodogai et al.Sci Transl Med(2018)