子どもの便秘、気付いてますか?―後編【鈴木啓太の腸内環境を整えよう vol.6】
腸内細菌に関わる研究を続け、腸内環境からアスリートをサポートしているサッカー元日本代表・鈴木啓太さんによるコラム。今回のテーマは「子どもの便秘」。後編では、子どもの便秘を防ぐポイントや食事についてご紹介します。
朝食は必ずとること
腸に刺激を与えるためにも、朝食を必ず食べることが重要です。
朝食を抜くと、1日の食事量の減少(食物繊維や水分量の減少)にもつながるので、便の量が増やせなくなり、便秘につながりやすくなるのです。
朝、腸にある程度刺激を与えれば、排便のリズムをつくりやすくなります。
学校では排便を我慢してしまいがちなので、できるだけ朝トイレに行く時間を決めて、習慣にすることが大切です。
便秘の時、さつまいもは逆効果!?
便秘を防ぐには、食物繊維の多い食事、腸内環境を整える食事を意識することも重要です。食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維の2種類があり、便秘を予防、解消する(腸内環境を整える)には2種類の食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。ちなみに納豆には、水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。
- 働き…便の量を増やして、便通を良くする
- 多く含む食材…野菜、きのこ、穀類など
- 働き…腸内環境を整えて、便を柔らかくする
- 多く含む食材…(熟した)果物、海藻類、大麦など
一般的に不溶性食物繊維に比べて水溶性食物繊維は摂りにくいため、不足しやすい傾向にあります。
よく、さつまいもを食べると便秘にいいと言われますが、さつまいもには不溶性食物繊維が多く含まれています。便秘で詰まっている腸内に不溶性食物繊維が豊富な食品を摂ると、余計に腸が詰まって便秘を悪化させることも。便秘気味な子は、さつまいもよりも水溶性食物繊維が豊富な果物や海藻を意識して摂るようにするといいでしょう。
- もち麦、押し麦
- プルーンなどのドライフルーツ
- 熟したキウイ、オレンジ
- めかぶ、なめこ、オクラ、長芋、納豆
- アボカド
- 寒天ゼリー(参考:寒天ゼリーで便通改善)
お菓子やジュースは摂りすぎないこと!
お菓子やジュースを摂りすぎてしまうと、その分食事の量が減ってしまいますよね。そうすると、便の量が減ってしまい、お腹に溜まりやすくなることも。また、お菓子は脂質を多く含むものも多く、脂質の摂りすぎも便秘の原因になる可能性があります。
お菓子やジュースの過剰摂取には注意して、おやつに果物やドライフルーツなどを摂り入れると、便秘予防につながるものです。また、お菓子でも食物繊維豊富なブラン系のクッキーや乳酸菌入り製品を選ぶといいでしょう。
なお、水分を多量に摂ったからといって、便が柔らかくなったり、便秘が解消しやすいわけではありません。ただし、脱水になってしまうと、便が硬くなってしまい、便秘の原因になることもあるので、脱水にならない程度に、水分は十分摂りましょう。
- 適度な運動
- お腹や腰まわりを温める
- お腹の「の」の字マッサージ
なども効果的と言われています。
「どんなウンチだった?」と聞くことを習慣に!
前編でもお話したように、子どもは便秘になっていても気づいていなかったり、相談できずに自分で抱え込んでしまい、便秘がひどくなってから判明することもあります。
そうならないためには、普段から便について親子で会話をしておくことも大切なのです。
上記の表は便の状態を7段階に分けたものです。この表などを参考にして、普段から、親子で便について話をしてほしいと思います。高学年になると、便の話をしづらくなってしまう子もいるので、低学年のうちからお子さんに「どんなウンチだった?」と聞くことを習慣に。そうすれば子どもの便秘に素早く気づいて、対処することができるはずですよ!