広島皆実高校(広島/公立)「広島といえば、皆実」という矜持 苦しんだ1年を乗り越え飛躍を誓う【全国強豪校REPORT】
17年度は3連覇中のインターハイ予選でまさかの敗退
広島の高校サッカーといえば、皆実。周囲にそう思ってもらえるような1年にする。99年度のインターハイ、08年度の全国高校選手権で全国制覇を成し遂げている広島皆実は、広島県、そして中国地方を代表する強豪校だ。
昨年度の選手権広島県予選決勝で瀬戸内に1-0で勝利するなど、現在5年連続で選手権に出場中。だが、17年は苦しんだ1年でもあった。県新人戦で4強入りを逃すと、3連覇中だったインターハイ予選ではまさかの2回戦敗退。全国に出場した選手権も初戦で昌平(埼玉)にPK戦で敗れた。その悔しい経験が、今年の3年生たちの意識を高めている。
仲元洋平監督が「県内の試合は全部勝って、全国で活躍したいですね」と語り、FW森内幸佑は「インターハイ予選などは自分も出ていて、皆実が広島県内で負けることは考えられなかったんですけれども、その経験をした。広島県ではサッカーしない人も『広島県では皆実がサッカー強い』というのがあると思うし、自分たちにもそのプライドがあるので、今年は絶対に負けたくないです」と誓う。
広島のタイトルを全て獲りに行って、現在4年連続初戦敗退中の選手権やインターハイで勝ち上がることが目標だ。まず、新チームにとって初の公式戦となった県新人戦はタイトルを奪還。中国大会は準決勝で延長戦の末に岡山学芸館(岡山)に競り負けて3位に終わったものの、強さを示すような戦いをして見せた。
選手権という経験値を備えた充実の戦力が「堅守速攻」のベースに
「チーム全体のバランス見て、自分のパスや運動量でチームを落ち着かせることを意識している」というMF堤太一主将(主力として16年国体日本一を経験)がアンカーのポジションに入って攻守のリンク役を果たしながら、グラウンダーのパスを多用しながら前進。アタッキングサードからは個で打開することのできる森内やMF前田和也やMF山中陸月が突破も交えて相手の守りを切り崩す。そして、注目の左SB西原広太の攻撃参加や高精度の左足を持つCB平山裕也のフィードなど多彩な攻撃を繰り出していた。
加えて、選手権の昌平戦を経験してボールの取りどころが向上したという守備面では、「自分はヘディング持ち味。(流通経済大柏のCB)関川郁万選手のように」と意気込む平山とCB藏本京真が空中戦の強さを発揮。相手のパワフルな攻撃に穴ができたり、集中力を欠いたりする部分もあるが、個々の強度高い守備面は今後、「堅守強攻」皆実のベースになるはずだ。堤や西原、MF疋田勝人、平山、森内、FW岡本拓海は選手権全国大会で先発を経験したメンバー。例年以上に経験値も備えたチームは十分に目標を実現できるだけの力があるだけに、まずは昨年の悔しい思いを繰り返さないように一戦一戦に集中して広島を制す。