日本航空高校(山梨/私立)武器のパスワークで“魅せて勝つ” 豊富な戦力で県4冠を目指す【全国強豪校REPORT】
主力候補を欠いての新人戦3位が選手達の自覚を生む
今春、山梨の強豪・日本航空出身の2選手がJリーグで新たなサッカー人生をスタートさせている。2人は高校2年生だった12年度の選手権で日本航空の全国初出場に貢献。ともに進学した国士舘大で4年間成長し、FW山口和樹が湘南ベルマーレへ、MF荒木翔がヴァンフォーレ甲府への加入を決めた。
その先輩たちの活躍を刺激に、日本航空は新シーズンの山梨県内タイトル4冠を目指す。新人戦準決勝では選手権出場校の山梨学院に2-0から試合終盤の3連続失点で逆転負け。昨年、関東大会予選と県1部リーグを制していた彼らの当初の目標は山梨5冠だっただけに、悔しい敗戦となった。それでも続く東海大甲府との3位決定戦では、ポゼッションから相手の隙を逃さずに攻めて5-0で大勝。強さを見せつけた。
新人戦は今後へ向けてプラス材料の多いものになった。エースストライカーのFW師岡柊生をはじめ、3トップの主力候補を怪我で欠いた中での山梨3位。大会期間中は個々が体調管理してAチームにはインフルエンザによる離脱者が出なかったという。また本来の4バックに加え、3バックにもチャレンジ。選手たちが自覚を持って取り組み、選手層向上、そしてチームの幅が広がる大会となった。
相手の隙を見つける力と技術力は日本航空がこだわっている部分
新主将のMF塚越誠也とMF中島偉吹のダブルボランチはハイレベル。“航空のビダル”塚越はフィジカルコンタクトの強さを活かしたボール奪取から、推進力十分のドリブルで中央突破し、一気にゴールへと迫っていく。またチームのバランサー役の中島は精度の高いプレースキックと長短のパスで攻撃を起点となり、そして運動量を活かした守備でチームを幅広くサポートする。
仲田和正監督も「やってもらわないと困る」と期待する2人を中心に、長身DF湯船哲平や正確な左足を持つDF加藤祥真、FW江井晋之助、MF栗原功貴、MF齊藤泰征ら力のある選手たちが自信を持っている走力、そして長短のパスワークといった武器をさらに磨いて、山梨学院や帝京三、韮崎といったライバルたちを上回るチームになる。
塚越は「(タイトルは)残り全部取りたい。自分たち走力が武器なので継続して、フィジカルも強化していく」。山口や荒木らを擁した12年度や13年度のチームはスローガンの「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を体現するようなサッカーを展開していた。
ポゼッションから局面では3人、4人が連動した1タッチ、2タッチパスを通して相手の背後を取り、鮮やかにゴールを陥れていた当時のチーム。昨年末に山口、荒木が来校し、仲田監督から彼らが非常に良く頭を使ってサッカーをしていたことを教わった。155cmの山口、166cmの荒木ともに決してフィジカル面に優れた選手ではなかったが、それでも頭を使い、技術を磨いて壁を破っている。相手の隙を見つける力と技術力は日本航空がこだわっている部分。偉大な先輩たちに負けないように個を伸ばし、“魅せて勝つ”。