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【第97回高校サッカー選手権】優勝校・青森山田「クローズアッププレーヤー」

高校サッカーの頂点を決める「全国高等学校サッカー選手権大会」。 第97回にあたる今年度の大会は、昨年12月30日の開幕戦を皮切りに約2週間に渡って熱き戦いが繰り広げられ、青森山田の2年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。 黒田監督に“やんちゃ世代”と称された個性派軍団は強烈な個の力量を発揮しつつ、チームとしての完成度を堂々と見せつけた。その原動力となった選手をピックアップする。

RIKU DANZAKI
檀崎 竜孔

だんざき りく●2000年5月31日生まれ、青森山田中学出身。175cm、65kg、北海道コンサドーレ札幌入団

山田の10番の系譜を継ぐアタッカー

「1年目、選手権の優勝を経験させてもらったので、もう一度てっぺんに立ちたいと思っています」。青森県予選期間中に語っていた目標を自らの足で実現した。プレミアリーグEASTでは16得点を叩き出し、2位に9点差をつけて得点王。選手権でマークが厳しくなるのは本人も、コーチ陣も理解していた。大津との3回戦では巧みな動き出しからゴールを挙げたものの、準決勝まで1得点。縦突破も警戒されるなど決して思うような結果を残していた訳ではない。それでも、徹底マークを受けるエースの負担を軽減するかのように、チームは準決勝までに計10人が得点して決勝進出。そして彼は、仲間にも助けられて戻ってきた決勝の舞台で躍動した。速攻、サイド攻撃のフィニッシャーとして2得点。その際立った勝負強さ、2年間磨いてきた力で2度目の頂点に立った。

KENNEDYEBUS MIKUNI
三國 ケネディエブス

●2000年6月23日生まれ、青森山田中学出身。195cm、80kg、アビスパ福岡入団

兄と同じ背番号「5」は存分に実力を発揮

大津との3回戦は青森山田にとって最難関だった。だが、彼らはベストゲームと言える内容で完勝。特に相手の187cmFW大崎舜を三國が封じたことが大きい。大津は桐光学園との初戦で、CB福島隼斗(湘南内定)が「絶対に決めさせない」との気迫溢れるプレーで注目FW西川潤を完封。黒田剛監督は三國に「次はオマエが大崎を絶対に止めろ、プロ行くんだろ、責任をもって絶対に止めろ」と檄を飛ばし、「絶対に負けないです」と応えたというCBは強敵に競り勝ち、無得点に抑えきった。内容の悪い試合があったことも確かだが、逸材CBは選手権で存分に力を発揮。「兄貴が優勝して背番号も一緒でやっている。兄貴よりも凄いところも見せたいのでがむしゃらにやっていきたい」と語っていた背番号5 は、兄のDF三國スティビアエブスと同じ日本一を掴んで高校サッカーを終えた。

VASQUEZ BYRON
バスケス・バイロン

●2000年5月16日生まれ、東松山ペレーニアFCジュニアユース出身。175cm、68kg、いわきFC入団

サイドを切り裂き54,194人を熱狂

味方が圧倒的に押し込んでいた青森県予選ではスペースがない中、強引なドリブルがどこかブレーキになってしまっている印象だった。だが、自分の前のスペースが増えた選手権では、見違えるような姿を披露。1対1、1対2でもスペースへの力強い持ち出しと、深い切り返しで打開し、決定的なシーンを作り出すなど右サイドで圧倒的なプレーをしていた。チリ人レフティーの選手権制覇に懸ける思いは特別。同点PK を獲得し、勝利に大きく貢献した準決勝後も「自分たちが目指しているのは日本一。まだ何も成し遂げていない」と油断する素振りをまったく見せなかった。そして、決勝では5万人超の観衆を大いに沸かせるプレー。「とことん強気に行け」という黒田剛監督からの声を後押しにドリブル突破を繰り返し、決勝点をアシストする活躍で目標の日本一をもたらした。

TAIKI AMAGASA
天笠 泰輝

あまがさ たいき●2000年5月11日生まれ、前橋FC出身。175cm、65kg

個性派軍団を躍動させるチームの心臓

大会ベストイレブンだけにとどまらず、MVPに推すサッカーメディアがあり、大学進学することを不思議がるJリーガーもいた。その意見に同意だ。青森山田の背番号6は、それほど突き抜けたパフォーマンスで優勝に貢献した。決勝では中盤で誰よりもボールに絡み、縦、サイドへ正確な配球。そしてセカンドボールを回収し、ダイレクトのスルーパスで3点目のゴールも演出した。プレミアリーグや選手権予選では4-1-4-1システムのアンカー役。だが、4-2-3-1に変更された選手権では、守備能力の高いMF澤田貴史がパートナーとなったことで彼の前に出る力が相手の脅威になっていた。「去年の郷家友太選手のような、何でもできるような選手になっていきたい」と語っていたボランチは、選手権を経て中高生ボランチから目標とされる存在になった。

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