【第97回高校サッカー選手権】激闘を終えて――。指導者の言葉。
高校サッカーの頂点を決める「全国高等学校サッカー選手権大会」。
第97回にあたる昨年度の大会は、昨年12月30日の開幕戦を皮切りに約2週間に渡って熱き戦いが繰り広げられた。
高校サッカーの集大成となる大会にすべてを懸けた選手たち。それは彼らを指導してきた監督にとっても同じだ。全身全霊で挑んだ戦いを終えた直後に語った指導者の言霊をここに紹介する。
激闘を終えて - 指導者の言葉
黒田 剛 監督(青森山田)
雪国は育成において最高の環境
2019.1.14 決勝
青森山田 3-1 流通経済大柏
「今大会は先制される展開が多かったですが、選手はよく冷静に戦ってくれたと思います。2年前に優勝したチームは各ポジションに嫌われてでもチームを良くしようとするリーダーがいました。今年の3年生は負けん気の強いやんちゃな世代ですが、何度も再構築をすることで、少しずつ2年前のチームに似てきたという印象があります。青森は豪雪地帯の中にありますが、彼らは厳しい環境を自ら選択し、辛抱し、ここに至るまで鍛えてきました。その決断は評価されるべきでしょう。雪国がサッカーの育成において最高の条件と示し、青森の良さを全国に発信したいと思っています。3年間で2度優勝したことで、それを表現することができたのではないでしょうか」
本田 裕一郎 監督(流通経済大柏)
学んだことを次のステージで活かしてほしい
2019.1.14 決勝
流通経済大柏 1-3 青森山田
「悔しいです。本日の試合のデータがこの後出ますが、ほとんどの値で(青森山田に)負けていると思います。負けるべくして負けました。セカンドボールを取れと指示を出していましたが、それが出来なかったことが敗因です。昨年の反省からロングスローを強化するために、今季は練習前に5分~10分、全員にスローインの練習をするようにしていました。選手たちには、あえて今日の試合は『くそゲームだった』と言いました。父兄、応援団やファンなら『よくやったね』と言うと思うが、私は指導者ですから。一番になっても足りないことだらけであることが分かります。次のステージでサッカーから学んだこと活かし、そこで何を感じるかが大事だと伝えました」
仲村 浩二 監督(尚志)
7年前と違い今回は『絶対に優勝する』と臨んだ
2019.1.12 準決勝
尚志 3-3(PK 2-4)青森山田
「選手は尚志のサッカーを90分間貫きました。相手のプレッシャーがきつくても絶対に剥がせるんだと、やり切ってくれました。負けたのは監督の力量の差だと思います。7年前のベスト4は東日本大震災のこともあり、チームの力量だけでなく、福島県のみなさんの力をお借りした結果だと思います。今年は絶対に優勝するんだと、『ロッカールームを笑って出よう』と言って臨みました。PKで負けてしまいましたが、精一杯選手はやり通したと思います。(ハットトリックの)染野唯月はU-17日本代表で一度天狗になり、下のチームに落としたことがありました。しかし『大迫選手のようになりたい』と覚悟を決めて這い上がり、精神力も鍛えたことが今大会の結果につながったのだと思います」
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高橋 健二 監督(矢板中央)
多くを残してくれた3年生を誇りに思う
2019.1.5 準々決勝
矢板中央 1-2 青森山田
「高校サッカー最高峰のチームである青森山田に憶することなくプレーしろと伝えました。我々はプリンスリーグ関東で優勝した自信をすべて出し切って戦おうと言って臨みました。バイロン選手、檀崎選手の両ワイドを止めるプランは実行できましたが、ロングスローによるセットプレーで2失点を喫してしまいました。そこからシステムを3-4-3に変更し、攻撃的にし、あと一歩まで追い詰めましたが届きませんでした。しかし栃木から3年連続ベスト8に進出できたことは栃木県のサッカー発展のために貢献できたかなと思います。3年生は1年を通して栃木県のサッカーに多くを残してくれたと思いますし、私は彼らを誇りに思っています」
古沢 徹 監督(帝京長岡)
また来年この場所に来なくてはならない
2019.1.5 準々決勝
帝京長岡 0-1 尚志
「このような場所に来ているのですから、サッカーを楽しもうと選手を送り出しました。緊張を楽しもうと伝えましたが、ガチガチでしたね(笑)。2年生主体のチームの中で、3年生は本当によく頑張ってくれたと思います。ただ、ベスト8の壁というものも感じました。この雰囲気、熱気を経験した選手が、またここにチャレンジする回数を増やしていかないといけないと思います。青森山田さんなど当たり前のようにベスト4に進出するチームは、踏んでいる場数が違います。今回、我々はこれだけの経験をさせてもらったのですから、来年この場所に戻ってこなくてはならないと思いますし、その責任感を持って突き詰めていきたいと思います」