第97回全国高等学校サッカー選手権大会 総括「上位進出チームは守備重視の傾向」

第97回全国高等学校サッカー選手権大会 総括「上位進出チームは守備重視の傾向」

高校サッカーの頂点を決める「全国高等学校サッカー選手権大会」。
第97回にあたる今年度の大会は、昨年12月30日の開幕戦を皮切りに約2週間に渡って熱き戦いが繰り広げられ、青森山田の2年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。
雪国のハンデをプラスに変え、1年前の決勝でのリベンジに燃える流経大柏を退けた北の王者を中心に、“平成最後”の選手権を振り返る。

「プレスの強いチームが勝ち上がる」 - 上位進出チームは守備重視の傾向に

高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグが11年に発足してから8年目で初めて、選手権決勝で同リーグ勢同士が戦った。18年のプレミアリーグEAST2位で高体連最上位だった青森山田vs同4位・流経大柏のビッグカードには、54,194人の観衆が来場。“プレミア最上位”というプライドも持って戦う青森山田が3-1で逆転勝ちし、2年ぶり2回目の日本一に輝いた。

青森山田

流経大柏の本田裕一郎監督は今大会の傾向について、「例年になく、プレスが強いチームが勝ち上がっている」と語っていた。尚志、帝京長岡など例外の攻撃型チームがあったことも確かだが、プレッシングを軸にしっかりと守備を構築し、80分間“頑張り切ることのできる”チームが上位へ。その傾向はインターハイや地区予選でも見られた。インターハイは、守備面でのハードワークが攻撃にも好影響を及ぼしていた山梨学院が初優勝。選手権でも東京や埼玉、静岡、大阪などで同様の特長を持つチームが、ポゼッション型のチームを下して全国出場を果たしている。

高校サッカー選手権決勝

選手権では、尚志や大津のように秀でた攻撃力を持つチームも、守備に重心を置いてカウンターを狙う戦い方を有効活用していた。その中、プレミアリーグの戦いで特に守備を磨かれてきた青森山田と流経大柏が決勝進出。青森山田はトーナメント戦での守備面を重視し、プレミアリーグでの1ボランチから2ボランチに移行して今大会を戦った。中盤での守備の厚みが増した青森山田は、自陣ゴール前で相手から“ゴールを隠す”ことも徹底。そのシュートコースを消し続けたチームは、準々決勝までの3試合でシュートを計11本しか打たせず、大津、矢板中央と続いたV候補対決を突破した。対して大会最注目DF関川郁万を擁した流経大柏は、ハイプレスとマンマークディフェンスが効果を発揮。準決勝までの4試合でわずか1失点という堅守によって決勝まで勝ち上がった。

青森山田

優勝した青森山田は守備面だけでなく、ポゼッション、サイド攻撃、堅守速攻、リスタートと複数の武器を持っていた。黒田剛監督が「これはプレミアを通じて我々が学んできたこと」というように、これらはプレミアリーグで勝つために身に付けてきたものだ。同リーグの対戦相手は様々な特長を持つJアカデミー勢や強豪校で、そのすべてがハイレベル。だからこそ、青森山田は相手、状況に応じた戦い方を細部にまでこだわって高め、MF檀崎竜孔やMFバスケス・バイロン、MF天笠泰輝、DF三國ケネディエブスら個の強みも力にして“平成最後の選手権覇者”となった。

東高西低を示す東北勢の躍進 - 染野擁する尚志がベスト4進出

染野唯月
U-18日本代表FWの染野唯月(尚志)が青森山田戦のハットトリックを含む5得点で得点ランキング1位タイに。

今大会は東海、関西、四国勢が全て初戦敗退。一方で東北勢が躍進した。前回王者の前橋育英や東福岡を破った尚志は、冷静に守備対応する力を示した一方、青森山田戦で圧巻のハットトリックで大会得点王(他2人)となったFW染野唯月やMF加瀬直輝らアタッカー陣が躍動。青森山田との死闘の末、準決勝敗退となったが、今大会最大のインパクトを残した。また秋田商は、我慢強さとハードワークによって秋田県勢の連続初戦敗退を13で止めて32年ぶりの準々決勝進出。悲願の選手権初出場で4強入りした瀬戸内やテクニカルなサッカーで8強入りした帝京長岡も存在感を示した大会だった。

大会結果

トーナメント表

選手宣誓を務めた瀬戸内の主将・佐々木達也。
地元の広島で起きた西日本豪雨災害について触れる4分超の宣誓で選手権の幕を開けた。
檀崎&バイロンの両翼を封じ、最後まで青森山田を苦しめた矢板中央はベスト8で惜敗。
7年ぶりのベスト4進出を果たした尚志は大躍進。
仲村監督指揮のもと“つなぐサッカー”を貫いた。
開幕戦では東京の駒澤大高を“完全アウェー”の那覇西がPKで下し下馬評を覆した。

得点ランキング

1位
(5得点)

  • 染野唯月(尚志)
  • 藤井奨也(立正大淞南)
  • 大竹悠聖(大津)

4位
(4得点)

  • 檀崎竜孔(青森山田)
  • 晴山岬(帝京長岡)
  • 永田一真(岡山学芸館)

7位
(3得点)

  • 山内陸(旭川実)
  • 小松慧(青森山田)
  • 熊澤和希(流通経済大柏)
  • 関川郁万(流通経済大柏)
  • 中川歩夢(瀬戸内)


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