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「大学でサッカーを続ける」ということ。vol.7(前編)

中野雄二監督が語る大学サッカーのすすめ。
「キミたちにめること」

大学サッカーはプロや社会人へ有望な選手を輩出する場であると同時に、社会人として活躍できる人材を育成する場でもある。つまり、入学前に大学サッカーで「何をするのか?」を明確にすることが、有意義な4年間を過ごすことにつながるはずだ。そこで1998年の監督就任以来、流通経済大を業界を代表する強豪校へと押し上げ、全日本大学サッカー連盟の副理事長を兼任する中野監督に、大学進学を目指す上での「心得」についてお伺いした。

「人生がかかった4年間。自分で調べて、納得した上で選択すべき」

──2年後に東京五輪を控える中、U-21日本代表に複数の選手(アジア大会に5選手)を送り出している「大学サッカー」に注目が集まっています。

「欧米のサッカーは18歳でプロになるのが当たり前という文化です。しかし日本では高校を卒業したばかりの18歳という年齢は、まだ精神的にも肉体的にも未熟であると考えます。だからこそ大学の4年間で伸びる要素が沢山あります」

──ロシアW杯を戦った日本代表にも大卒のプレーヤーがいました。

「長友佑都選手(ガラタサライ/明治大卒)、武藤嘉紀選手(ニューカッスル/慶應大卒)はもちろん、高校時代はまったく無名だった東口順昭選手(ガンバ大阪/新潟経営大卒)、そして小林悠選手(川崎フロンターレ/拓殖大卒)などは、東海・北信越選抜、関東選抜でそれぞれ初めてピックアップされ、『大学サッカー』で才能が開花した選手です。いかに大学経由で選手が育っているか、それはU-21日本代表における大学生プレーヤーの活躍を見てもお分かりいただけると思います。その意味でも色んなルートでもプロになれるチャンス、環境が存在するのが、海外と比較した日本サッカーの強みなのかもしれません」

──これから大学サッカーを志す高校生たちに第一に求めることは?

「これはサッカーに限らず言えることだと思いますが、一般的に高校生が進路について『大学』を選択する際、漠然としたイメージ像で括っていることがほとんどではないでしょうか。偏差値、知名度、就職実績から、“なんとなく”選んでいるのが現状だと思います。自分の将来像を描き、『この学部に行き、何を学ぶか』までは考えていないのではないでしょうか」

──たしかに知名度が優先されたり、指導者から推薦され受動的に動くケースは多いように思われます。

「サッカーが好きと言いながら、そこの指導者がどんな理念を持っているのか、環境などのハード面がどう整っているかは分からない。ウチであれば『卒業生でプロになった選手が多いから、流経大であればプロになれるかも』程度の認識かもしれません。これが良い例えかはわかりませんが、僕は結婚を考えるのであれば、半年以上は恋人と同棲しろと言います。良い部分だけでなく、ありのままの姿を知った上でそのパートナーを好きになれるのか。結婚した後に『こんなはずじゃなかった』とはいかないですからね。大学も一緒です。“サッカーに人生を懸けている”のであれば、どんな環境でどんな指導者と向かい合うのか、しっかりと情報を調べるのは当たり前のことです。自分の人生がかかった4年間。サッカーでプロになる夢を持っているのなら尚更でしょう」