岡崎慎司が伝えたいこと 「MEISTER PRESS」Vol.3 海外でプレーして感じていること | サカママ メインコンテンツに移動

岡崎慎司が伝えたいこと 「MEISTER PRESS」Vol.3 海外でプレーして感じていること

岡崎慎司選手が海外でプレーするようになって7年。ドイツへ移籍し、2015年にはイギリスの名門レスターへ。
2015-2016シーズン、レスターはプレミアリーグで首位を走り、岡崎選手はレギュラーに定着。
そんな中、岡崎選手が海外でプレーして感じていること、想いを語ってくれました。
また、2015-2016シーズンに奇跡の優勝を成し遂げた岡崎選手に、シーズンを通して感じたことや、日本代表として、また子どもたちへの想いを語ってもらいました。

日本人として絶対に負けられない―
海外の選手や監督が気持ちを振い立たせてくれる

移籍はすべてがチャレンジ 不安やプレッシャーはない

これまでドイツのシュトゥットガルト、マインツ、そしてイギリスのレスターへと移籍してきたけれど、不安やプレッシャーを感じたことは一度もないんです。シュトゥットガルトに移籍することが決まったときは、自分にチームの情報を入れていなかったので真っ新な状態でチームに参加したのを覚えてます。当時は、僕を求めてくれるチームがあるなら、そこでプレーしたいという想いが強かったですね。僕にとって移籍することは、すべてがチャレンジでしたし、とにかく行って感じたことを自分なりに考えて乗り越えていこうとしていたのを覚えています。あえてドイツでプレーする日本人選手に情報を聞くこともしなかったし、たとえ失敗することがあっても、それは教訓になると思ったんです。ただ、家族にはもっと情報を入れてあげておいたほうが、現地で生活がしやすかったかもしれないですね。

ストライカーとして何をやりたいのかを示すことが大事

最初、ドイツで苦労したのは、自己主張をしないと相手に伝わらないということ。日本なら、チームメイトが僕のプレーや気持ちをある程度くみとってつなげてくれるけれど、海外では、まず自分。ストライカ ーとして自分が何をやりたいのかをプレーでアピールしなければいけないと感じました。そして何よりも大事なのは、結果を出すこと。アピールして、結果を出し、周囲に認めてもらう――たくさん段階はあるけれど、それをクリアすることが海外のチームの中で生き残っていくためには必要だと知りました。海外に来て5年、やっとそんなやり方にも慣れてきた気がします。

僕はドイツ語をあまりしゃべれなかったけれど、チームに溶け込む努力はしました。みんなで飲みにいったり、行事に参加したり、ときにアホなこともしたり。練習に手を抜かなかったことも信頼につながった気がします。チームに溶け込むことにも全力だったので、受け入れてもらうことができたんじゃないかと。今、ドイツからイングランドにきた選手を見ていると、遠慮していたり、ときに借りてきた猫のようになっていたりするんです。そんな姿を見ると、誰しも海外でチームになじむことは難しいんだと思いますね。

練習でチームメイトを圧倒できれば自信につながる

海外では練習もハードです。日本にいたときから誰よりも練習してきたし、常に100%の力でやってきたけれど、今はそれ以上、100%の度合いが確実に上がっています。それは、海外にいると、練習や試合、ポジション争いにしても「日本人として絶対に誰にも負けられない」という気持ちがでてくるからです。なのに、チームの中にはさほど努力もせずに簡単に結果を出す選手が大勢います。でも、そんな選手たちがいるからこそ、僕のモチベーションを振い立たせてくれるし、絶対に次の練習で見返してやろうという気持ちになるんです。それは監督に対しても同じ。「なんで僕を使わないのか」という気持ちが自分を振い立たせ、より練習に気合いが入ります。ただ僕は、試合に出れないと全く意味がないとは思っていません。意識さえ高く持ち、懸命に練習する中でチームメイトを圧倒できていれば、次に移籍したとき自信になると思うからです。どこに行っても試合にさえ出れたら絶対にやれる、そう思っています。

今はJリーグ、ドイツの頃より、サッカーのことを考える時間が増えました。トップレベルに行けばいくほどプレースピードが早くなるので、試合の中で考えている時間が命とりになってしまうんです。感覚でプレーできるように、試合でどうすべきかを常に考えていますね。それに、日本でプレーしていた頃よりも、サッカーがどんどん好きになっています。だからこそ、より練習に力を入れられるように、日々、ストレスを溜めなかったり、メリハリをつけて生活を送るようにしています。家族は近くに住んでいて、時々会えるので、ありがたいですね。ドイツにいた頃は一緒に暮らしていたので、家族とともに異文化と戦っているような感じもありました。

実は中3のときに、県のトレセンメンバーに選ばれて、フランスに遠征に行ったことがあるんです。あのときは、なんの意思も持たずに海外に行ったからとにかく帰りたかった(苦笑)。でも今は、できる限り海外でプレーし続けたいという意思があります。そう思う理由は単純で、今いるチームメイトよりも、絶対にうまくなって結果を出し、さらに上に行きたいという思いだけなんです。ただ、今考えるのはプレミアリーグでゴールを狙うことのみ。残りの試合、少しでも点を取り、優勝したいと思います。

レスターでの経験が日本代表としても生かされている

2015年の9~11月頃は、日本代表の試合に出れないこともありました。最初は、こんな時もある、若いメンバーを使ったほうがいいくらいの気持ちもあったんです。ちょうどこの頃、レスターでも試合に出れない状況が続いてました。でも、このサブメンバーになりかけた頃が、リスクをおかしてでもいい、まわりを気にせず、自分のためのプレーをしようと気持ちが切り替わった時期でもあるんです。そうすることで、結果を出して証明することができたし、自信がもてた。くやしい気持ちはエネルギーに変えられる、そんなふうにプラス思考に捉えられるようにもなりました。だから、その後は、代表の試合でも変わりましたね。自分の意思をプレーで出していくようになったし、ワントップは誰にも譲らない気持ちを言葉にもするようになった。くやしい気持ちは出したほうが、自分のためになるし、若い奴らのためにもなるんじゃないかなって。30歳にして、貪欲になれたし、これからも貪欲に生きたいですね。僕が貪欲にチャレンジしていきたいと思えるのは、いつも今いる場所で、できる限りのことを全力でやっているから。全力でやっていると、そこに馴染んだときに、今度は想像もできないところでチャレンジしたいという気持ちが芽生えてくるんです。

これまで、子どもたちには何を伝えるべきかとたくさん悩んでいたけれど、この1年はそれを考える余裕さえなかったのが正直なところ。でも、だからこそ、今やれることは、僕の背中を見せること。それで十分伝わるんじゃないかと思っています。子どもたちにも、夢や目標に全力でむかって、それを乗り越えていく楽しみを肌で感じてほしいと思います。

※この記事は過去に読者のみなさまから反響の多かった記事を厳選し再録したものです。(2016年5月3日掲載)