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ジュニア時代は成長期! サッカー少年のメタ認知

ジュニア時代は成長期! サッカー少年のメタ認知

↑UTAMARO Global Cup U-11 2025での我が子とチームメイトたち
引用:UTAMARO Global Cup U-11 2025 レポート | サカママ(写真/安田健示)

サカママコラムをご覧の皆さま、こんにちは! 今回は、サッカーなどのチームスポーツを経験することで成長すると言われている「メタ認知」について、思うことをまとめてみました。

ゲーム形式の練習で負けて悔し泣きをするのは何歳まで?

サッカーの練習終わりにお迎えに行くと、子どもが泣いていることがたまにあります。泣いている理由はすぐ分かります。毎回最後にゲーム形式の練習を行うので、そこで負けたからだろうと。

次男(11歳)のチームは負けず嫌い集団なので、次男に限らずよく誰かが泣いています(笑)。さすがに低学年のころほどの頻度では泣かなくなりましたが、つい最近も、練習終わりに一人離れたところで涙をぬぐっている次男の姿を見かけることがありました。「あー、今日は最後の試合で負けたんだなぁ」と察して、多くは聞かず、そっと励ましておきました。

練習中のゲームに負けて泣いている子どもたちを見てふと気になるのは、「みんな、いつごろから泣かなくなるのか?」ということです。中学生になれば泣く姿ってあまり見られなくなると思うのですが、これはおそらく、小学生時代に急成長する「メタ認知」の発達が大きく関わるのかなと思っています。

ジュニア期に急速に成長する「メタ認知」とは何か?

メタ認知とは、「自分の考え方や行動に気づき、客観的に振り返り、調整する力」のことです。メタ認知的な思考がどういうものかをイメージしやすくするために、サッカーの場面を使って具体的に考えてみました。

▼具体的場面
プレイ中にシュートを打ったけど相手選手にブロックされた

▼メタ認知の例
気づく:今、自分はシュートコースが空いていると思ったからシュートを打つ選択をした
振り返る:でも、思ったより相手ディフェンスの寄せるスピードが速くて、足も長かった
調整する:次あのディフェンスをひきつけたらシュートフェイントでかわすか、フリーな味方へのパスも考えておこう

メタ認知は、脳の発達で考えると小学校低学年では未熟なのが当然だそうです。だから、先ほどの場面で言えば、低学年の内は、「シュートを打ったけど入らなかった。悲しい。悔しい」くらいの浅い思考レベルになります。これが、脳が急速に発達する4~6年生にかけて、自分の思考を振り返る力や戦略的に学習する力がグングン育ってくるとのこと。特にサッカーなどのチームスポーツをやっている子どものメタ認知は10歳頃から飛躍的に成長するというデータもあります。(※)

中学生にもなれば、メタ認知は大人と同じような高度なレベルに近づきつつあります。そのため、練習中のミニゲームで負けようとも、自分が今取り組んでいる課題にどのくらい向き合えたかなど別の視点にフォーカスがいくので、感情も上手にコントロールできるようになるのだと思います。悔し涙を見せることも減っていくのでしょうね。

※2017年度 笹川スポーツ研究助成 「児童期および青年期の子どもにおける非認知スキルの発達とスポーツ活動との関連性に関する研究―スポーツの何が非認知スキルの獲得に寄与しているのか?」

メタ認知の成長を促進させる方法

サッカー少年少女たちのメタ認知の成長を促進させる方法として、真っ先に思いつくのは「サッカーノート」です。自分のプレイを客観的に振り返り、次に向けた課題や目標設定を見出すものですから、まさにメタ認知を育てる方法として最適な手段だと言っても過言ではなさそうです。

でも、ノートに書くことを敬遠する子どももいますよね。実は我が家の兄弟も、チームやスクールでコーチから言われているにも関わらず、ペンが進みません(涙)。きっと自分自身で、「これは本当に自分にとって必要だ」「役に立つ」と、それこそ”メタ認知“のレベルで理解しないと、前向きにコツコツ書こうとはならないのだと思います。

ただ、ノート以外にもメタ認知の発達をサポートする方法はたくさんあります。中でも簡単なのは親の「問いかけ」だと思います。子ども自身が自分の思考に気づいたり、振り返ったりできるような問いかけを増やすイメージです。「何であのとき、あのプレイを選択したの?」とか「今日の練習はどんなテーマだった? それはうまくいった?」など。

子どもから教えてもらう、というスタンスで話を聞くと、子どもはメタ認知をぐんぐん発達させていけると思います。特に高学年になってくると、サッカーに関してママから子どもに口を出せることなんてほぼ無くなりますから。「分からないから教えて~」という気持ちが大事ですね!

子どもならではの熱さも大事にしたい

今は毎回ゲーム形式の練習で「何対何でどっちが勝っているか」「今のシュートは入ったか入っていないか」にこだわり、ワーワー言いながら目くじらを立てて練習している子どもたちも、メタ認知の発達につれてそのうち冷静になるんだろうなぁと思います。もっと俯瞰的に、目の前の勝ち負けだけじゃないレベルで自己を客観的に分析するようになるはずです。

でも、それはそれで親としてはちょっと寂しくもあります。わがままなことを言っていると分かっていますが、「ただ目の前の相手に負けたくない!」「今この試合に勝ちたい!」そんなふうに負けず嫌いの炎を隠さず燃やせる熱い子どもたちを見ていると、うらやましくもあるからです。

欲張りですが、メタ認知を発達させつつ、同時に熱量も忘れずに、このままジュニア期をチームのみんなと駆け抜けてほしいなと願っています。今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

WRITER PROFILE

まりこ
まりこ

臨床心理士/公認心理師
オフィスkahunaカウンセラー
14歳と11歳のサッカー兄弟のママ。サカママ歴12年。
長男はおっとりマイペースに地域の街クラブでサッカーを楽しみ、次男は強烈な負けず嫌いを生かし強豪クラブで切磋琢磨。心理の専門知識が役立った経験を踏まえ、実体験や失敗も絡めながら情報を発信します。
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