必要カロリーを摂取しながら最重要タンパク質を補給するために活用すべし「魚料理」
小さなイタリア料理店を東京・渋谷にて営むサカママとして、「食トレ×イタリア料理」をテーマに日々実践していることを発信していきます。
子どもたちにとって楽しい夏休みの始まり。暑さも本格化して、遠征中に喉を通りやすいものも限られてくる厳しい夏。子どもが食いつきやすく、かつ栄養価をしっかり伴う食事を毎日3食、本気で考えるのがどれほど大変か、これほど痛感している夏はありません。私自身もアスリートの食事に関する正しい知識をもっと身につけたいと、書籍やセミナーで独自に学びを強化する日々を送っています。
想像を超えるジュニアアスリートに必要な1日の摂取カロリー
スポーツに特化した栄養管理士である佐藤彩香さんのセミナーに、先日ご縁あって参加させていただき驚愕だったのは、運動量の極めて多い二人の我が子の1日に摂取すべきカロリー量。私が想像していたよりもずっと必要カロリーは高く、もっとカロリーを意識した食事を用意しなくてはならなかったのだと知ったのです。
1日に必要な摂取カロリーは小6の長男なら2,468kcal、小1の次男なら2,126kcalと弾き出され、我が家の食卓が日々いかにヘルシー思考なものになっていたかを突きつけられました。
必要カロリーを算出する公式は【子どもの体重】×【基礎代謝基準値】×【活動レベル】で算出できるそうです。また、JFAの公式サイトにも年齢に応じた必要摂取エネルギー量が掲載されているので、参考までに載せておきます。
このコラムを読んでくださっている方のお子さまは、毎日のようにハードなサッカー練習や試合に明け暮れている子どもたちがほとんどだと思うので、当然ながら身体活動レベルが「高い」に値します。
もちろん、ジャンクフードやハイカロリーなお菓子などを急激に摂取すれば、必要カロリーを上回るのは安易なことでしょう。しかし、成長期にある大事な身体づくりが求められるジュニアアスリートの時代に、そのようなものを口にする習慣をつけることは絶対にしてはいけないことだと自負しています。
「タンパク質」は20種のアミノ酸のうち1つでも欠けたら体内で作られないという衝撃
今回は「必要摂取カロリー」を日々どう摂取していき、スポーツをハードにしているジュニアアスリートにとって最重要といえる「タンパク質」をいかに摂取するかについて考えます。
摂取カロリーの内訳が重要で、ただひたすら鶏肉がアスリートには良いと思い込み、鶏肉ばかりを摂取していてもダメで、それでは鶏肉に偏った栄養素しか体に取り込めないのです。
『長友佑都の食事革命』で、長友選手も食事でのタンパク質の補給はアスリートの命題と言っても良いと断言しています。
筋肉は水分を除くと、ほとんどがタンパク質によって構成されていて、十分な材料が身体に入ってこなければ、筋肉はどんどん分解されてしまいます。
身体は必要に応じてある程度の栄養成分を作り出すことができ、脂肪は糖質から合成されることもあるし、逆に脂質からエネルギー源の糖質を作ることもできますが、3大栄養素のうち、タンパク質だけはそう簡単に自前で調達ができないのだそうです。
筋肉、皮膚、髪の毛、臓器、血管など身体の主要パーツを作るタンパク質はすべて20種類のアミノ酸から作られます。そのうち、9種類は体内で合成することができず、これを「必須アミノ酸」と呼びます。さらに、必須アミノ酸は基本的に食事から摂るしか方法がなく、20種類のうち1つでもアミノ酸が不足するとタンパク質は合成できないそうです。
しかも、一般の人が体重50kgなら50gのタンパク質を1日に摂取すれば良いのに対し、アスリートは一般の人の倍(50kgの人なら100g)のタンパク質を摂取しなくてはならないから大変です。
ちなみに長友選手のタンパク質補給術は、動物性タンパク質を1〜2種類と植物性タンパク質を1種類組み合わせて食べる方法だそう。
ある日の夕食は「サバの塩焼き・牛ヒレ肉のローストビーフ・冷奴」、また別の日は「スズキのソテー・ホタテのオーブン焼き・豆乳ポタージュスープ」といったように、1つの食材ばかりをたくさん食べてもその食材に偏ったアミノ酸しか補えないので、とにかくできるだけバラエティ豊かな食材をバランス良く食べるよう努めてらっしゃるようです。そこまでストイックに自分の身体と摂取する食事と向き合っているからこそ、今もなお現役で活躍できるのだなと納得します。
なかなか自宅で、しかも専属シェフを雇ってらっしゃる長友選手のようには上手くスムーズにいかないと思います。現に私の夫はシェフで随分と助けてもらっていますが、それでもなかなか毎日実践を続けるのは大変です。
とはいえ、アスリートにとって必要な栄養素は限られた食材では補えないことを、知ったうえで料理をしたりメニューを考えたり外食をしたりするのと、知らないで日常を送るのでは雲泥の差があるのではないかと思います。
同じく「アスリートのための食トレ」の著者:海老久美子さんは、食べ物に含まれるタンパク質は体内でアミノ酸に分解されて初めて使える形になり、タンパク質という栄養素が大きな鍵を握ると記されています。
先ほど挙げた必須アミノ酸9種類は、仮に8種類を十分に摂ったとしても不足している1種類があると、そちらに足を引っ張られて全体の利用効率が低くなってしまうというから厄介です。アミノ酸はチームワークで初めて機能するということを覚えておかなくてはなりません。
アミノ酸スコアが高い食材
卵、牛乳、納豆、枝豆、アジ、かつお、さんま、ブリ、豚ロース、鶏肉、馬肉
これらの食材を頭の片隅に入れて覚えておくと便利です。1回の食事でタンパク質をたくさん摂っても、身体は摂った分だけをうまく使うことができないそうです。1日3食プラス間食でタンパク質を有効活用できるよう、分割して摂取できるようなメニューを考えたいものです。
そして、タンパク質を身体の材料にして成長するためには、きちんと眠ることが大切だそうです。眠っている間にしか成長期の子どもの成長ホルモンは分泌されないので、疲れた身体を修復し成長させるためにも、小学生であれば最低でも9時間の睡眠を確保しなくてはならないこと、忘れないようにしたいです。
「魚料理」は食べてもらえそうな調理法で試行錯誤を
魚料理の定番は、焼き魚や刺身がとてもシンプルで手っ取り早いです。手巻き寿司など質の良い食材さえ用意できたら、子どもも楽しみながらいろいろな種類の組み合わせが食べられて、ホームパーティーや全員家族が揃った夜には最高ですよね。
我が家でも試行錯誤が続いており、鉄分が最強の美味しいイワシが手に入ったので「イワシのコンフィ」をシェフである夫に作ってもらい、子どもたちに食べてもらいました。若干骨に苦戦していましたが、想像以上に食べてくれました。
また、高タンパク低脂質のカレイが手に入ったときは、「カレイの煮付け」にしてみたところ、もっと食いつかないかと思いましたが意外に食べてくれてうれしくなりました。
旅行先の美味しい魚料理のお店で「メバルの煮付け」が出たときも自分から箸を伸ばしていて、口うるさくいろいろな調理法の魚や肉を食べなさいと言ってきたことが少し伝わってきたかなと思いました。
私たちのレストランでも、豊洲から直送の美味しい鮮魚を仕入れてご提供していますので、国立競技場でサッカー観戦の前後などにぜひ召し上がりにいらしてくださいね。
この夏を親子でチャレンジの機会にする
食トレにまつわる情報収集を重ねるうちに、夏休みが「睡眠」と「栄養」の両方をしっかり摂るための貴重な期間であり、グググっと身長を伸ばし体重を増やす成長の山を登るための準備期間として大いに有効であると知りました。
必要カロリーと効果的なタンパク質の摂取を意識して毎日を過ごすことで、我が家の兄弟の身体にどんな変化が表れるのか親としても注目していきたいです。
厳しい夏の暑さはまだまだ続きます。親子でバテない身体づくりのためにも、家族の食卓、日々の献立を考え続けるチャレンジを私自身もこの夏、挑んでいきます。