第10回『コーチ目線で振り返る サッカーを通して得られる成長とは』
皆様こんにちは☆ 元なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)でゴールキーパーコーチの秋山智美です。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
ママさん、パパさんにとって、年末年始はお子さんの大会があったりなど忙しい毎日だったのではないでしょうか?
私も年末は、指導している十文字学園女子大学サッカー部のインカレ(大学の全国大会)があり、1週間大阪で過ごしました!! 結果はベスト8で負けてしまいましたが、悔しさだけでなく感動の試合でもありました!
今回は、2024年の1シーズン通してのお話をさせていただきたいと思います!!
不安なシーズンの幕開け
シーズンが始まった2月、今年のチームはどうなるかなと不安しかありませんでした。
個性が強くわがままで、自分勝手で無責任な4年生だったので、チームがまとまるのかと…。
本当にいろいろありました(苦笑)。
いろいろあったからこそ学ぶことも多く、私が目指している『サッカーを通して人として成長』を毎日意識しながら取り組んでいくことができたかなと思います。
カンカレ(関東大学リーグ)は開幕3連敗…
選手たちにとっては苦しい3週間だったと思います。選手たちだけでなく、いつも支えてくださっている保護者の方も。
子どもたちと同じくらい親御さんも苦しいですよね。
私も娘のバスケを見ていて感じます。イライラもするんですよ、「もっと体張れよ!」とか「なんでそこでシュート外すかなー」とか!!
けど、子どもだって体を張りたくなくてプレーしているわけではなく、シュートは決めたくて打っているんですよね。
なので、グッと息を飲むようにしています。
夏合宿での成長
夏合宿は長野県の白馬村に行きました。EN TO EN HAKUBA LODGEでの宿泊は最高の一言。ガチ試合をし、次の日は午前中の練習に午後はSUP、最終日は練習試合。毎日が成長でした。
ゴールキーパーを支えるチームプレーの精神
話は戻り、カンカレが始まったらあっという間に毎日が過ぎていきます。
GKメンバーは面白いくらい毎日笑ってアップやGK練習を行い、フィールドプレーヤーと合流したらガラリと真剣な顔に変わる。
私の教え子6人は化け物だと思いました。笑
そして、東京都リーグ、育成リーグ、皇后杯予選と試合はたくさんあります。全選手ができるだけ試合が出られるようにと組まれていますが、大量失点してしまう選手がいてもGKみんなが支えて、いじり、笑い話に変えて空気を変えちゃう仲間。最高しかないですよね。
GKの保護者の方は、心が痛むことも多いと思うんです。
でも失点=キーパーのせいではありません。チームプレーです。
GKだからこそ、意外と子どもに意見してしまう保護者が多いかなと思いますが、子どもたちは声を出すことでも勇気がいります。まずはチャレンジしている子どもを褒めてあげてほしいなと思います☆
冬の全国大会・インカレへ
そして、いろんな苦しい、悔しい経験を経て迎えたインカレ初戦。
風も強く、なかなか難しい試合でした。
私が十文字学園女子大学で指導を始めたときに、フィールドの選手で前十字靭帯を切り手術した選手がいたんですね。その選手は目の前の試合しか見ていなくて、「復帰しても試合に出られないんじゃないか…」など、いつも不安を感じていました。
けどこの子の凄いところは、自分よりもチーム。とにかく声を出し、裏でも表でもサポートする。時には叱咤もし、嬉しいことがあったら自分のことのように大喜びする、悔し泣きする、チームのためなら何でもする選手でした。
この選手を絶対にインカレの舞台に立たせるという目標でやってきたのですが、なんと! インカレで点を決めたんです! それが決勝点となり、1-0で見事に勝利! 感動の一言でした!
見えないところの努力、人のための行動をし続けていると必ず報われるんだとあらためて感じました☆
インカレ後、昇格を懸けた関東リーグ入れ替え戦
インカレは3回戦で1-2で負けてしまいましたが、この悔しさを関東リーグ入れ替え戦で見事にぶつけてくれて! 4年生が素晴らしい戦いを見せてくれたおかげで昇格を決めることができ、ここでも大感動でした。
最後の4点目を決めたのは、なかなか公式戦に出られていなかった4年生!! みんながその子のところに集まり大喜び! ベンチも応援席も大盛り上がりでした☆
残り3分、コーナーキックでの攻撃。勝っているんですよ、けどうちのGKはこっちを見てアピール。笑 点を決めたいオーラ満載。笑笑
GOの合図を出し攻撃へ参加!!! クリーンシートの嬉しさよりも、点を決められなかった悔しさのほうが大きかったようです。笑
最高ですね☆
子どもの成長へ、保護者ができること
この一年、保護者の方ともいろんなお話ができました。
始発に乗るため駅まで車を出すお母さん、
1番に会場に足を運びアップから見るお父さん、
辛口をいうご両親、
褒めてあげるけど子どもにスルーされるお母さん、
我が子が出ていなくても応援に来てくれるお母さん。
などなど、保護者の方々のおかげで、選手たちはサッカーだけでなく人としても成長してくれました!
GKというポジションは孤独なポジションでもあります。けど、仲間や家でプラスの言葉をかけてくれる親御さんに支えてもらえることで、どんなことでも乗り越えていけるんです。
子どもたちは親御さんの言葉をつんけんして跳ね返したり、態度で出したりと悶々とすることもあります。それが親子です。
けど、サッカーは親の顔色を見てするものではありません。
プレーするのは子どもたち。
子どもの目標達成のサポートをどうしていくか! が大切ですよね。
子どもたちが家に帰って、「今日これができたんだ!」「これやってみたけどできなかった! けどもう一回やってみる!」
など、ポジティブな会話が広まることを私は一番に願っています。
まずはチャレンジしたことを認めてあげてほしいなと思います!! そのためにも、親御さんの“投げかける言葉”はとても大切です。
私もまだまだコミュ力を身につけていきたいと思います!!
今回も読んでいただきありがとうございました!!
引退してしまう4年生との最後の一枚!(我が子2人もいますが…笑)
最高の仲間とともに、GKコーチとして成長させてもらえた一年に感謝です☆