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Jリーガーたちの原点「佐藤 寿人(名古屋グランパス)」

Jリーガーたちの原点「佐藤 寿人(名古屋グランパス)」

勝ち負け以上に仲間意識が強く芽生えていった

J1リーグで395試合出場、161ゴールと、歴代2位の記録を誇る佐藤寿人。2005年からは12シーズンに渡りサンフレッチェ広島に所属し、3度ものJリーグ優勝に貢献、12年にはリーグMVPと得点王をも受賞した。今季からは名古屋グランパスへ移籍し、キャプテンを務めながら、J1昇格を目指して挑戦し続けている。35歳とベテランの域に達した佐藤だか、サッカーへの情熱は衰えていない。少年時代に味わったゴールを決めた時の感情が、今も彼を突き動かしているのだ。

埼玉県春日部市に生まれた佐藤には、双子の兄(現在、ジェフユナイテッド市原・千葉に所属する佐藤勇人)がいる。3歳の頃、両親が二人にサッカーボールをプレゼントすると、二人の遊びはサッカーへと変わっていった。本格的にサッカーを始めたのは小学1年生の時。「地元のサッカークラブの練習を見に行って、そのチームに入りたいと父に言ったのを覚えています」

兄と一緒に入ったのは大増サンライズFC。当時のポジションは今と変わらぬフォワードだった。「サッカーの醍醐味でもあるゴールを決める、ゴールを奪うという喜びを味わってからは、ずっと前ですね(笑)。他のポジションにされると不満そうにしたりして。フォワードは譲らないという意思がどんどん強くなっていきました」

小学4年生になると小柄ながらも、徐々に頭角をみせ始め、6年生の試合に出ることも多くなった。「6年生の先輩たちが、すごく優しく受け入れてくれたことで、“一緒に戦う”という意識が強く生まれました。チームには、サッカーが好きで一緒に頑張っていても、なかなか試合に出られない子っていますよね。そういう仲間がたまに試合に出れた時には、なんとかその子に点を獲らせてあげたいと思いながらプレーしていました。唯一、チームメイトの兄だけには『パス、だせよ』と、強い口調で言ったりはしてましたけど(笑)。小学生の頃は、勝ち負け以上に、仲間意識が強く芽生えた時期だったと思います」。仲間思いであり、面倒見のいい選手として知られる佐藤の人となりは、この頃から培われていたといえるだろう。また当時から、先輩や後輩、様々な選手といろいろな立場で試合を経験できたからこそ、学べたことも多かったという。

レベルの高さ、身長差に悩んだジュニアユース1年目

中学生になると、ジェフユナイテッド市原ジュニアユース(現ジェフユナイテッド市原・千葉ジュニアユース)へと進んだ佐藤だが、ここで壁にぶち当たる。「1年生の時は体が小さくて、同じフォワードの選手と身長差が30㎝近くもありました。レベルも高かったですし、ここでフォワードとして生き残っていくのはむずかしいと感じて、サッカーをやめたいと父に弱音を吐いたんです。その時に言われたがのが『ほんとにやりきったのか?』と。僕は、まだ何もやりきってない……。父に言い返すことができませんでした」。この父の言葉が自身を見つめ直すきっかけとなり、佐藤は『やりきる』ことを決意する。「誰よりも早く練習場に行って、誰よりも早く準備をして、少しでも多く練習する。小さなことも全部やりきって、どうしようもなければ自分の力だと受け入れればいい。とにかく、自分ができることをすべてやりきろうと思いました」。佐藤がサッカーをやめたいと思ったのは、これまでのサッカー人生の中で、後にも先にもこの1回だけだ。

壁にぶち当たった時、『すべてをやりきったのか?』という父の言葉で、前向きな気持ちへと変わった

夢を一緒に応援し、全力でサポートしてくれた両親

サッカーを続ける中で、両親は常に一番の理解者だったと振り返る。佐藤が小学生の頃、父は飲食店を営み、母はパート務めだったが、いつも子どもたちの夢を一緒に応援し、できる限りのサポートをしてくれた。「父は日曜日には店を休んでまでして、常に僕らの試合の応援に来てくれました。本当にアクティブな父親で、サッカーの試合がない日も、必ずどこかへ連れていってくれましたし、夏休みは海やキャンプ、冬になればスキーと、いろいろな経験をさせてくれました」。そんな父親とは家族団らんの時間に、よくサッカーの話もした。「父はサッカー経験者ではないので、時々、面白半分で『サッカーやったことないじゃん』と言ったりもしましたね(笑)。でも、プレーの話はでても、父は決して怒るようなことはなかったです」

一方母親も、精一杯の愛情を注いで応援してくれたという。試合を観ても「今日は勝ってよかったね」「お弁当はどうだった?」と聞いてくる程度で、過度な期待を押し付けることもなかった。「ジュニアユースの練習に行くようになると、母はパートの合間に、僕と兄を駅まで送ってくれて、その間に夕飯の準備をして、また迎えに来てくれました。僕たちが寝てから家のことを全部やって、誰よりも先に起きる、そんな母の姿をみて、いつ休んでるんだろうとさえ思いましたね」。兄弟でジュニアユースに所属となると、それなりにお金もかかることだろう。両親は決して何も口にしなかったが、佐藤はやりくりの大変さを子どもながらに感じていた。「お金の部分は、すごく迷惑をかけたと思います。双子だから常に2倍かかるわけですし。プロでプレーし続けている以上、もっともっと親孝行していきたいと思いますね」

子どもがサッカーを楽しめるように見守ることが一番のサポート

ジュニアユースの後は、ジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド市原・千葉)のトップチームに昇格、セレッソ大阪、ベガルタ仙台でプレーし、その後の活躍は先述の通りだ。現役で活躍し続ける一方、佐藤は3児の父となり、長男と次男はサッカーをしているという。「父親になってみて、自分のことを二の次にしてサポートし続けてくれた両親のようにはできないと思うことが多々ありますね。それもあって、アンケートや質問で『尊敬する人は?』と問われると、真っ先に『両親』と答えてるんです」

最後にサッカーをする子どもを持つ父親として、サカママにメッセージを残してくれた。

「サッカーは楽しいものなので、何よりも子ども自身が楽しめていることが大事。それを親として見守ることが一番のサポートだと思います。学年が上がるにつれて試合が増えてくると、出れる選手とそうでない子もでてきますよね。僕の息子も試合に出れないことがありました。もし、子ども自身が試合に出れないことに納得してなかったら、話をしっかりと聞いてあげて、時にそういうことも起こりうるんだということを教えてあげてほしいと思います。また、自分の子どもが試合に出れないと、親としてチームや指導者に何か言いたくなることもあるでしょう。でも、いろんなことが起こったとしても、主役はあくまでも子ども。親が介入すべきではないのです。指導者の方たちも休みを削って尽力されているので、信頼して、子どもを預けることが大切だと思います」

写真/佐藤彰洋

2017年12月発行の24号掲載

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