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Jリーガーたちの原点「倉田 秋(ガンバ大阪)」

Jリーガーたちの原点「倉田 秋(ガンバ大阪)」

毎日全力でJ1通算400試合。勝利して心の底から喜ぶために

今年7月にJリーグ史上32人目となるJ1通算400試合出場を達成。2007年のプロデビュー以来、J2降格や国内三冠などガンバ大阪とともに苦楽を味わい、チームを牽引してきた生え抜きの背番号10が、35歳の元日本代表MF倉田秋だ。

「まだ31人しかいないと聞いて驚きました。一番近くで見ていたヤットさん(遠藤保仁氏、元日本代表/現ガンバ大阪トップチームコーチ)が672試合に出ているので、多い気がしないんです(笑)。ヤットさんに近づけるように、まだまだ頑張らないと」

そう自然体で話す彼が第一線で長くプレーし続けられる原動力。それは誰にも負けない「サッカーが好き」という気持ち、そして大ベテランになっても「もっと上手くなれる」と日々鍛錬を積む向上心にあるのだろう。

「自分の全力を出して、それで試合に勝てたときが一番の幸せです。なぜサッカーをしているかというと、勝利して心の底から喜ぶことを楽しみにやっているから。一日一日、自分が満足しないと気が済まないタイプ。そのために練習するし、毎日全力でプレーできるんです」

今シーズンのガンバ大阪は終盤戦を迎えたJ1で上位につけ、天皇杯ではベスト4に進出している(9月末現在)。「今のチームにはより一体感があります。みんなが『チームのために』という思いをプレーで表現できている。Jリーグも天皇杯も優勝を目指して頑張ろうという熱意にあふれていますね」と、9年ぶりのタイトル獲得に燃えるチームの雰囲気を教えてくれた。

倉田秋

中1と高1でぶつかった壁。なぜそこまで努力できるのか?

大阪府高槻市出身の倉田がサッカーと出会ったのは3歳の頃。1つ年上の兄を追い、幼稚園のサッカークラブに入ったのが始まりだった。地元の小学生チーム、FCファルコンでサッカーにのめり込むと、6年生のときにガンバ大阪ジュニアユースのセレクションを受けて合格。400~500人の応募者が10数人に絞られる狭き門を突破したが、ここで倉田は人生初の壁に直面する。

「最初の練習で『周りが上手すぎる』とびっくりしましたね。ボール回しの練習についていけず、自分が一番下手だと感じました」

だが、倉田少年の心が折れることはなかったという。なんとか食らいつこうと、練習後も自宅に帰ってから自主練を繰り返した。同時に自分が上手くなっていく感覚を味わい、それが嬉しくて毎日ボールを蹴り続けたそうだ。「自分に何が足りないか、どうすれば試合に出られるかを考えながら練習していました。誰かに教えてもらうより、まず自分で考えて行動することを心掛けていました」

ジュニアユース時代の徹底したボール回しやポゼッション練習、そこで叩き込まれた動きが今の技術につながっていると振り返る倉田。そうしてサッカーに打ち込む彼を両親は全面的にサポートし、「自分のしたいように何でもやらせてくれた」そうだ。

その後、中学2年生からは現在もプレーする中盤のポジションを得て、そのままガンバ大阪ユースに昇格。しかしここでも厳しい競争が待っていた。当時の1学年上は、のちに6人がトップチーム昇格を果たす通称“G6”が在籍した黄金世代。小柄な倉田はライバルたちにフィジカル面で差を見せつけられ、またも初日に「これはやばいぞ」と危機感を持ったという。だがこのときも、練習後に走り込んだり体幹を鍛えたりと地道なトレーニングに励み、その環境を生き抜いていく。なぜそこまで努力を積み重ねられるのか? それに対する返答が実に倉田らしい。

「自分が努力しているとは思っていないんです。好きだからサッカーをやっているし、好きなことに関して『頑張る』ってないですよね。ゲームが好きな子が何時間も熱中してしまうように、僕にとってはそれと同じ感覚なんです」

成長を実感した日本代表入り。いらないと言われるまで続けたい

こうして高校2年生ではレギュラーの座を勝ち取り、3年次には第30回日本クラブユースサッカー選手権大会(2006年)で優勝。決勝でもゴールを決めて大会MVP に輝いた。このように中高6年間で様々な経験を重ねた倉田だが、中でも成長を実感できた一番の出来事は日本代表として戦ったことだという。

「中3のときに城福浩監督(現東京ヴェルディ監督)が率いる年代別代表に呼ばれ、海外遠征したのですが、これが大きな自信になりました。そこからぐっと伸びたのを覚えています。日本を背負ってプレーするという舞台は、人を成長させますね。それはプロ入り後にA代表に選ばれたとき(2015年)も一緒で、僕のサッカー人生では貴重な経験でした」

2007年に昇格したトップチームでも、その2年前にJ1初優勝を遂げていた実力者ぞろいのガンバ大阪で当初は挫折を味わいながらも、2度の期限付き移籍を経て2012年以降、主力として活躍し続ける倉田。そのサッカーへのストイックな姿勢は、後輩たちの良き見本だ。近年は“倉田塾”と称して若手に筋トレ指導も。きつすぎて離脱する選手も多いそうだが、本人は「むしろ抑えているくらい。筋トレも好きだからいくらでも続けられるんです」と笑う。

ジュニアユース加入から23年、このクラブで戦い続ける理由について「やっぱりガンバが好きなんだと思います。ここでサッカーをするのが何より楽しいので」と語る“ミスター・ガンバ”。今年11月には36歳を迎え、今後のキャリアについても考えるというが、「今はこのチームでタイトルを取りたい。いらないと言われるまでプレーし続けたいです」と心境を明かしてくれた。

倉田秋

「倉田秋カップ」への思い。子どもたちのためにできること

そしてもう一つ、倉田がその先に描いているビジョンがある。次世代の子どもたちを育てることだ。今春には自身のフットボールアカデミー「Diec(iディエチ)」を開校。2018年からはシーズンオフに「倉田秋カップ」を開催し、昨年12月の第5回大会にはU9とU12の計22チーム、約320人の選手が参加した。大会名に添えられたスローガン、“#ミスを恐れずチャレンジを続けろ”“#勝ちたいなら全力で楽しめ”はまさに倉田を象徴する言葉だ。

「一つの大会に出ることで成長できるものがあると思うんです。だから、一人でも多くの少年たちにそういう真剣勝負の場を作ってあげたかった。小学生は何より全力でプレーしてくれます。その熱さ、純粋にサッカーを楽しんでいる姿は自分の原点を思い出させてくれますね。毎年シーズン前にまだまだやらなきゃと刺激をもらえるし、これは僕の楽しみでもあるんです。子どもたちの笑顔って、ほんとにいいですよ(笑)」

今なお常に「自分を出し切りたい」と己を磨き、ピッチの外ではサッカーの楽しさ、挑戦し続けることの大切さを子どもたちに伝える倉田。最後に、全国のサカママに向けてメッセージを残してくれた。

「子どもたちにはとにかくいろいろなことを経験させてほしいです。僕も水泳を習ったり公園で野球をしたり、サッカー以外のスポーツにも触れてきました。子どもがあるものを好きになる場合、最初は自分が得意だと感じたことに興味を持つと思うんです。それを見つけるために、お子さんが何かをやりたいと言ったら、できるだけチャレンジさせてあげてほしいですね」

写真提供/GAMBA OSAKA

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