ジュビロ磐田 名波浩監督に聞いた「サッカージュニアの成長と可能性を育むためにできること①」
子どもたちがサッカーを通して成長し、可能性を育むために、サカママとして何を大切にサポートすべきかを、ジュビロ磐田 名波 浩監督にお聞きしました。
得意なことを伸ばしていこう!
練習や試合を見ていると、どうしても失敗したプレーや、できてない部分に目がいきがちではないでしょうか?でも、サカママとして何より大切なのは、子どもを褒めて、サッカーを楽しませること。そのためにも、まずは子どもの得意とすることに目をむけ、伸ばしていくように心がけましょう。そうすることで、「サッカーが楽しい、好き」という気持ちをより育み、子どもの自信にもつながっていくのです。
ただし、得意なことを伸ばしてあげたいという思いから、親が勝手に「○○はドリブルが上手いから練習しなよ」と決めつけ、強制するのはよくありません。大事なのは、練習や試合をする中で、子ども自身が、自分の得意なことに気づくこと。親がやらすのではなくサッカーを続けていれば、子どもは自分で考え、得意なことを見出していくはずです。
また、練習や試合の後に「あれがダメだったね」と言っていませんか?"ダメ"という言葉を使ってしまうと、親が子どもの可能性に限界線を引いてしまうのと同じこと。また、子どもはやる気を失ってしまうこともあるでしょう。もしアドレスをするなら「そういうプレーもあるけど、こっちもどうかな」と、別の方法を促してあげると、可能性を育むことにつながるのです。
得意なことを伸ばすための5つのヒント
1.ミスを指摘するのではなく、チャレンジできている部分を褒める
試合を見ていると「こんなプレーしてほしい」「ここで決めないと」という思いがでてくるものです。でも、思い通りにいかないことがほとんど……。ナイスプレーがなかったとしても、「ボールを多く触れてたね」「速く走れてたよ」など、少しでも頑張っている部分をみつけて褒めてあげましょう。決して、できなかった部分を指摘しないように。
2.ダメという言葉は使わない
とくに注意してほしいのが、録画した試合を見ている時。どうしても、親は「ここがダメ」「ああすればいいのに」など、ダメ出しをしてしまいがちです。試合をビデオで撮るのはいいのですが、親子で一緒に見るのではなく、子ども自身が振り返りたいと思った時に活用するのがベスト。親は思い出を振り返る時に見る程度に。むろん、試合中に「そのプレーはダメ!」などと叫ぶのは、もってのほかです。
3.親が得意なことを決めつけない
試合でいいプレーがでると、親はそれが得意なんだと勘違いしがちです。でも、それは、本人も予想しなかった、たまたまできたプレーという場合も。あくまでも、得意なことは、親が決めるのではなく、子ども自身でみつけることが大事です。
4.強制せずに、自由にサッカーをさせること
どうしても親は、何かと口を出したり、強制してしまうものです。でも、サッカーは、答えのない、自由なスポーツ。とにかく子どもの自由な発想を大事にして、親は見守る程度に。子どもは、自由にサッカーをする中で、自分で考え、得意なことや楽しみをみつけだしていくのです。
5.得意なことに対してポジティブな言葉がけを
子どもが得意だと思うことに対して、親はポジティブな言葉をかけ、後押ししてあげることが大切。そうすることで、子どもはより努力するようになるものです。そして、得意なことがその子の個性となり、自信へとつながっていくのです。
NANAMI's VOICE
上手い選手に追いつけたのは得意なことを懸命に練習したから
小学校時代、僕よりも上手い選手がいて、なかなか追いつけなかったんです。僕は、左利きだったこともあって、左足を使ったプレーで勝負しようと決め、左足を使った練習に没頭しました。そのおかげで5年生の夏頃に、やっと同じレベルに追いつき、その選手がキャプテン、僕が副キャプテンの関係に。藤枝選抜に入った時は、逆転して、僕がキャプテンになりました。「得意な左足のプレーを磨く」と決めて、とことん練習したことで、ライバル関係にまでなれたんだと思います。
勝ちにこだわることが大事
「試合に出られない子がかわいそう」「楽しめていたら、試合に負けたっていいじゃない」と思っていませんか。でも、子どもたちは、ふるいにかけられ、落ちては這い上がることを繰り返す中で成長していくのです。そのため、1対1やポジション争い、どんな小さな試合にだって勝ちにこだわることが大前提です。その勝敗で勝った選手が、ふるいにも残っていけるのです。たとえ負けたとしても、悲しい、くやしいと思うことで、努力をするようになり、成長していくということを、サカママとして常に心にとめておくことが必要です。