ジュビロ磐田 名波浩監督に聞いた「サッカージュニアの成長と可能性を育むためにできること➁」
子どもたちがサッカーを通して成長し、可能性を育むために、サカママとして何を大切にサポートすべきかを、ジュビロ磐田 名波浩監督にお聞きしました。
「8人しか試合に出られない」と捉えること
8人制の小学生の試合。親は、「8人も試合に出られるのに、なんでうちの子は出場できないの?」と思いがちです。でも、「8人も」ではなく「8人しか出られない」という感覚を持ってほしいのです。「8人しか試合に出られない」と思ったら、たとえ1回試合に出られなかったとしても、次の試合で残るように努力すればいい、という思いになるはずです。子どもたちは、常にふるいにかけられながら、頑張っているのです。
気配りができる選手がいれば大丈夫
チームの中に、気配りができるなと思う選手はいますか?試合に出られないことが多くても、気配りができる選手がいるならば、その子にとって今のチームにいることがベストでしょう。気が利く選手は、練習中に、たくさんボールをまわしてくれたり、盛り上げてくれたりするからです。きっと、親が想像している以上に、子どもは楽しめているはずです。
NANAMI's VOICE
補欠で試合に出られない時の親の在り方
私の息子が小学生の頃、なかなか試合に出られなくて、補欠になることも多かったものです。でも、チームに気が利く選手がいたので、試合に出られなくても、楽しんでいましたね。
ある時、試合を見に行くと、今までレギュラーだった選手が補欠になってしまったんです。そうすると、その選手の親が、みんなが応援してる輪からスーッといなくなって……。うちの奥さんなんて、息子が試合に出てなくても、その輪の中心で応援してるのに(笑)。子どもと親同士は別だと思うので、同じチームなら、たとえ補欠になっても、みんなの輪の中でお子さんのいるチームを応援してくれたらと思います。
1分くらい……という思いは捨てること
なかなか試合に出場できないと、親としては1分くらい出してくれてもいいのに……という思いになりますよね。でも、たとえその試合に1分出たとしても、子どものためには、なんの意味にもならないのです。高学年になればなるほど、なぜ自分が試合に出ることができなかったかを考えることを必要になってきます。また、1分出たことで、それに満足してしまったり、努力しなくなる場合もあるでしょう。くやしい気持ちをバネに、自分で考え、努力することが大事なのです。
試合に出られない理由を聞くのはNG
「試合に出られない理由を説明してくれませんか?」と、コーチに聞いたことはないでしょうか?親としては、理由を明確にしてくれたほうが、子どものやる気につながると思うかもしれません。でも、じつはその逆。指導者がその理由を本人に説明したら、子どもの自尊心を傷つけてしまうことにも。
例えば、Aくんは試合に出られず、同じレベルだと思っていたBくんが出場できたとします。コーチがAくんに試合に出られない理由を「Aはドリブルでうまく突破できてないからだよ」と説明すると、Aくんは「ドリブルが上手くなるように練習しよう」と考える前に、「Bだってできてないのに」と思ってしまったり、「どうせ僕は下手だし……」と、やる気を失せてしまうこともあるでしょう。子供のメンタルに影響することもあるので、試合に出られない理由は聞かないことです。
NANAMI's VOICE
明らかに上手くなっているのに試合に出られない時は……
基本的には、試合に出られない理由は聞かないことがベストですが、例外もあります。それは、毎回親が練習や試合を見に行っていて、明らかにプレーが上手くなっている、成功体験が増えている、にも関わらず試合に出ていないという場合です。そんな時は、感情をむき出しに訊ねるのではなく、成功体験を伝えて「なんで、うちの子は出られないんでしょうか?」と、穏やかなトーンで指導者に聞いてみてください。
試合後のアドバイスは3つでOK
試合の後は、子どもに「ボールを触りにいけたか」「声は出せたか」「ボールを奪われたなら、とりかえすことができたか」ということを聞くといいでしょう。そうすると、試合の中でどんなふうに頑張っていたのかが見えてくるものです。また、たとえ試合を見に行くことができなかったとしても、それらの答えから、活躍できたかどうかもわかるでしょう。
また、子どもの話をじっくりと聞いたうえで「もっとボールに触りにいくこと。もっと声を出すこと。ボールを奪われたらとりかえすこと」をアドバイスするといいでしょう。その3点を言い続けることで、試合の中で積極的にボールに関われるようになっていくものです。
3つのアドバイス
①もっとボールに触りに行こう
➁声を出すように
③ボールを奪われたらとりかえす!