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「ママは子どもの熱量を超えない」子どもから教わったサカママを楽しむための心得

「ママは子どもの熱量を超えない」子どもから教わったサカママを楽しむための心得

サカママコラムをご覧の皆さま、こんにちは。ライターのまりこです。 今年はサカママコラムを書かせていただくことになり、サッカーを頑張る我が子との向き合い方についても、より深く考える一年となりました。そこで今回は、私が楽しいサカママライフを送るために心に留めている「心得」について、書いてみたいと思います。

心得「ママは子どもの熱量を超えない」

ユニクロサッカーキッズで楽しそうにボールを追いかける姿

サッカーに限らずですが、親は子どもより長く生きている経験値があるので、良かれと思って子どもについあれこれ口を出してしまいますよね。でも、子どもには子どもの考えがあり、世界があります。

例えばサッカーの自主練に対して、親子で熱量に違いがある場合を想像してみてください。親が良かれと思って熱量100%で「練習しよう!」と言っても、その時の子どもの熱量が50%であれば、気持ちはのってきませんよね。そこで無理やり練習をしても、子どもがやりたくてやる練習ではなく、親に合わせて仕方なくやっている練習、やらされ感のある練習になってしまうかもしれません。子どもの熱量を上回って親が引っ張ってしまうのは、いずれ親も子もしんどくなる気がします。

子どもよりママの熱量が上回ってしまった失敗談

チームを辞める時にみんなの前で手紙を読んで最後の挨拶

私が「ママは子どもの熱量を超えない」というサカママとしての心得を大事にするようになった出来事があります。それは当時まだ小学1年生だった長男が、チームの練習を嫌がった時です。朝練があったので寝ているところを起こしに行ったのですが、全く起きようとしません。(これは、練習が辛いからって逃げようといているな?) と感じ、イラっとして強い言葉で無理やり起こし、何とか練習に連れ出す、ということが数回続いていました。

そんなある時、私ではなくパパが長男を練習に送って行った日がありました。しばらくすると、長男はパパと一緒に家に戻ってきました。びっくりして話を聞くと、パパは「練習に行きたくないんだって。行きたくないのに行っても意味ないよ」と一言だけ。練習を嫌がった長男に対し、私のように感情的になる様子はなく、フラットに受け止めていました。

私は最初それを聞いて「そんなの甘い!」と苛立ちました。でも、夫婦でゆっくり話をしてみると、長男の気持ちよりも自分の気持ちが優先されていたことに気づくことができました。「練習は絶対に休むべきではない!」「辛いから休むなんて甘えだ!」「逃げるなんて弱い!」。私が勝手に長男に重ねていた思い込みが、自分も長男も苦しめていたのだと。そう気づけると、熱くなっていた気持ちが嘘みたいにスーッと落ち着きました。もっと子どもの気持ちを大切に、一度サッカーから離れてみるのもありだと、心から思えました。

子どもより熱量が上回ってしまった原因

なぜ長男のサッカーに対して、ママである私の熱量が上回ってしまったのか? 振り返ると、それには自分自身のスポーツの経験が影響していたのではないかと思っています。

私は中学生の時、その地域で優勝するようなハンドボール部に所属していました。当時は練習中に水も飲ませてもらえないような時代(苦笑)。試合で不甲斐ないプレイをすればすぐに罰走。合宿の夜、寝ずに遅くまで騒いでいたら次の日の朝、こわ~い顔をした顧問が待ち構えていて、終わりなき地獄のシャトルランをやらされる。ここには書ききれないほどの「スポーツ根性」の世界でした。今となってはすべて大切な思い出なんですけどね。

でも、この経験から「スポーツって、追い込んで当然、勝ちたいなら辛くても耐えるのが当たり前」みたいな考えが、自分の中にあったのだと思います。その自分の価値観を勝手に子どもに重ねて、勝手にイライラしていたのが当時の私でした。

泣いて朝練を嫌がっていた長男の現在

シュートが決まり、ユニクロサッカーキッズ時代と変わらない笑顔を見せる

さて、小学校1年生のころ、泣いて朝練を嫌がっていた長男が今現在どうなったかというと、ジュニアユースのチームでサッカーを存分に楽しんでいます!

土日は朝5時起きで練習に行くことが多いのですが、泣き言は一度も言ったことがありません。それどころか、自分で目覚ましをかけて起きて、荷物や水筒などすべての準備を自分で整え、勝手に出発します。私も朝ごはんを作るために一旦起きますが、最近では「朝ごはんなら自分でできるから寝ててもいいよ」と言ってくれます。当時、(練習に行かせなければ!) と焦っていた私に、「あなたの息子さん、大丈夫だからね。そんなに心配しなくていいよ!」と教えてあげたいです(笑)。

すっかり成長して今でもサッカーが大好きで頑張っているのは、親がサッカーに関して余計な口出しをしなかったからだと思っています。長男が一旦サッカーから離れた時期も、近所のサッカーチームにまた入ろうと決めた時も、とにかく本人の熱量を大切に、決してママが熱量を上回って余計な口出しをしないよう心がけました。小学校高学年のころ、「中学ではサッカーじゃなく別のことやろうかな」と言った時も、「良いね!」と全肯定。とにかく自分の考えで選択をしてほしいと願いました。

「やっぱり中学でもジュニアユースのチームに入ってサッカーを続けたい」と言った時は、「親はほぼサポートをしなくなるけど、それでもやるのか?」「部活じゃダメなのか?」と親子で何度か話し合いました。本人の決意は固く、ご縁があったチームでサッカーを続けることになりました。子ども自身が出した答えであったことが、サッカーとしっかり向き合う今の姿勢につながっているなと感じています。

ママの熱量は体や心のケアに持っていく

もし、子どもの熱量を超えてあれこれ口を出したくなっちゃう、と思ったサカママさんがいたら、その熱量はママだからできる「心」や「体」のケアに意識を向けるといいのかなと思います。「上手になってほしい」とか「活躍してほしい」のもっと前に、「まず元気にサッカーを楽しんでほしい」が、全サカママさん共通の願いだと思います。元気にサッカーができるよう、食事面や健康面を気遣ってあげられるのは、やっぱりママだからできることですよね。

子どもの熱量を超えないちょうどよい熱量で裏方のサポートをしてあげられれば、きっと親の想像以上に、子どもはサッカーを通して自ら成長していってくれるものだと思っています!

今月も最後までお読みいただきありがとうございました。良いお年を☆

WRITER PROFILE

まりこ
まりこ

臨床心理士/公認心理師
オフィスkahunaカウンセラー
14歳と11歳のサッカー兄弟のママ。サカママ歴12年。
長男はおっとりマイペースに地域の街クラブでサッカーを楽しみ、次男は強烈な負けず嫌いを生かし強豪クラブで切磋琢磨。心理の専門知識が役立った経験を踏まえ、実体験や失敗も絡めながら情報を発信します。
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