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コーチの厳しい指導、どうとらえる?親だからできることは?

「○○監督て本当に素晴らしい監督だよ」
「○○監督てさ、良い監督だよね」

これは、ジュニアユースチームで活動する息子の言葉です。所属するチームの監督の話になると、息子の高評価たるやすごいものがあります。普段の練習の様子を聞いていると、決して甘くない、緩くない、むしろ厳しいのでは?と思う環境なのですが、監督を「リスペクト」できるチームでプレーしているということだけでも、親としてはありがたい限りです。

これまでも様々なコーチや監督にみていただきながら、子を預ける親として色々な想いもしてきました。そこで今回のコラムでは、サカママとして、プレーヤーである息子の母として、さらにはチームの保護者、コーチの妻という多方面の立場を経験しているからこそ感じたことについて書いてみたいと思います。大きな声では言えないけれど、指導者のことで悩んでいる…という保護者の方の参考になれば幸いです。

 

これまでとは違う指導スタイルに直面!

息子がまだ小学校低学年の頃、チームの担当コーチが変わることがありました。以前のコーチは、とにかく褒めるタイプ。声を荒げることもほとんどありませんでした。一方で、新しいコーチは技術の向上に熱心で時に厳しい指導もされるタイプ。また、新しいコーチは今まで高学年を担当されており、初めて低学年を担当することになったということで、保護者の間でもちょっとした話題になったりもしました。

これまでの担当コーチよりも厳しい指導をするコーチとの認識はありましたが、実際にその様子を目にした際、それはそれでインパクトがあったのを今でも覚えています。ですが、私も夫も昭和生まれでお互いにそれなりに熱く厳しい指導を受けた体育会系の部活出身。「サッカーをこの先も続けたいと思うのなら、これくらいの指導で音をあげているようでは、中学・高校ともたないよ」と意見が一致し、多少の厳しさも「指導の一つ」として、それほど構えていませんでした。

大切なのはコーチへの「信頼感」

当時の息子に、チームでの様子を質問したことがあります。
「○○コーチの練習どう?楽しい?」
「うーん。怒ったら怖いけど、普段は面白いし、楽しいよ」
それが息子の答えでした。

ここで私が安心したのは「面白いけど怖い」ではなく、「怖いけど面白い」と言った息子の言葉。ここには国語の長文読解でいうところの「逆説」の方式があり、その後に続く言葉こそ筆者が最も伝えたいことであるということ。たとえ厳しく指導されることがあっても、それは決して理不尽な理由によるものではない、ということがすでに当時の息子には伝わっていたのだと思います。そして、息子なりにそのように解釈できていた背景には、コーチへの信頼感があったからでしょう。親の気付かないところで、コーチとのコミュニケーションがしっかりとれているのだと安心しました。

 

子どもへの共感に「ヨイショ」は必要ない

自分が子どもだった頃と比べると、最近の子ども達のスポーツ活動は、親も一緒になって参加する場面が多くなっていると思います。試合の応援の他にも、地域の街クラブなどでは、練習時の見守りや運営のサポートなどで保護者がグラウンドに足を運ばなくてはいけないこともありますよね。その先で監督やコーチの指導スタイルを垣間見る機会ができ、プレーヤーである当の本人(=我が子)が純粋にサッカーを楽しんでいても、「あの指導はどうなのだろう?」「あんな言い方をしなくても良いのではないか…」など、親が自分たちの主観で色々な印象を抱いてしまうケースも少なからずあるのではないかと思います。

時に子どもが「今日コーチからこんなこと言われたよ」「すごく怒られちゃった…」と、悔しい思いと一緒に愚痴をこぼすこともあるでしょう。「〇〇コーチが嫌だ!」と勢い余って言ってしまうこともあるかもしれません。でも、そんな時こそ親として気を付けたいのが、子どもの言葉に「それは辛かったね」「悔しかったね」と寄り添うことはあっても、「そうだね、本当に○○コーチてひどいよね」「ママも前から思ってた」といった“ヨイショ”する声掛けはしないようにする、ということだと思います。

我が子を少しでも元気づけようと親も一緒になって批判する態度をとってしまうと、子どもは「そうか。ママも前からそう思ってたんだ」「コーチって嫌われてるんだ」と、コーチから「なぜそう言われたのか」という根本的な解決策も見出さないまま、自分を正当化して納得するようになってしまうと思います。その先に待っているのは、信頼関係の崩壊ではないでしょうか。コーチに対してリスペクトする気持ちもだんだん薄れていき、結果的に全ての指導において不満を抱くようになってしまうかもしれません。

もちろん、いきすぎた指導も時にはあるでしょうし、コーチが常に正しいとは限りません。だからこそ、まずは子どもの話にしっかりと耳を傾け、その気持ちを受け入れながら、一緒に解決しようとする姿勢が大事だと思っています。

 

親子の会話から間接的に育むコーチとの「信頼関係」

昨年の夏に一度覚醒して試合の出場機会が増えた息子ですが(その時のお話はこちら)、ここ最近は再びベンチを温める側にいながら、仲間を応援しています。先日、公式戦の後半残りわずかな時間にアップし始めた様子を見て「久しぶりの出番となるかな?」と、スタンドから密かに期待をしてベンチを見守っていたのですが、結果的に交代のチャンスもないまま試合が終了してしまいました。

本人も色々と思うことがあったかもしれませんが、そんな時でも「もっと監督が早くアップに呼んでくれたら出られたかもね」ではなく、「少しの時間でも出そうと思ってくれた監督の気持ちが嬉しいね。普段の練習もちゃんとみてくれているからだね」と伝えました。その時に「うん!」と元気に返事をした息子の表情は、すでに次の試合に向けた期待と希望に変わっているように見えたのでした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。私の経験談が、誰かのお役に立てることを願って…。

WRITER PROFILE

YUKARI

中3サッカー男子とこの春中学生になった女子のママ。サカママ歴9年。
夫は息子が所属していた地域の少年サッカークラブでコーチをしています。生後半年からスタジアムでサッカー観戦をしていた息子もいよいよ受験生になり、「サッカーも勉強も頑張る!」と現在はジュニアユースで奮闘中。母はそんな息子を誰よりも信じるサポーター第1号として、日々奮闘中です。

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