子どもの成長を促す考え方【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】
サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
9月も終盤ですね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
個人的な話になりますが、9月に入ってから夏の疲れが一気に出てきているような気がしていて…『身体の疲れが抜けないなぁ』といろいろと調べていたところ、近所に〝酸素カプセル〟を導入しているサロンを見つけたので、試しに行ってきました。効果については、個人の感じ方はそれぞれですから一概には言えませんが、自分には合っている気がしました。実際に足を運んでみることで、自分自身の身体と向き合う良い機会になっています。〝酸素カプセル〟に限らず、皆さんも自分自身の身体と向き合う機会を作ってみてはいかがでしょうか。
さて、今回は『子どもの成長を促す考え方』について整理していきたいと思います。サッカーも人がやることですから、その人の考え方や価値観、思考などがそのままプレーにつながっていきます。グラウンドの中で刻々と変化していく状況を認識してプレーしていくことが求められるサッカーにおいて〝自ら考えて主体的に行動する力〟を育むことは非常に大切です。
しかしそれは、サッカーの練習だけで身につくものではありません。では、そのような力を身につけるために、子どもたちをどのように見守っていけば良いのか、導いてあげたら良いのか、一緒に考えていきましょう。
取り組む姿勢を育てること
コラムの中で何度も取り上げていますが、勝ち負けやできる・できないだけで物事を判断するのではなく、まずはどのように物事と向き合えば良いのかといった取り組む姿勢を育てていくことのほうが、結果的に成果を引き出すのが早いものです。もちろん時間もかかりますし、根気強く取り組まなければならないでしょう。親の立場としては我慢が必要になることもあります。
時には苦手なこと、やりたくないことに向き合うかもしれませんが、それでも逃げずに向き合える、向き合おうとする姿勢が必要です。それはグラウンドの中だけで養われるものではなく、むしろ日常生活の中でこそ育っていくものかもしれません。
やらなければならないことに向き合う
大人もやらなければならないことがたくさんあると思いますが、それは子どもたちも同じです。大好きなサッカーの現場だけでなく、学校や家庭でもやらなければならないことがあると思います。その時々で疲れていたり、うまくいかないことがあって気分が向かないこともあるでしょう。しかし、それでもやらなければならないことがあるのです。
〝面倒だな〟〝やりたくないな…〟その気持ちも解りますが、だからといって向き合わずにそのままにしてしまうと、最終的には自分に跳ね返ってきます。
例えば…宿題に提出物、準備や片付けなど、すべて自分自身のためにやることです。やらなければならないことは年代に応じて増えてくるかもしれませんが、少しずつでもそこに向き合わせていく必要があります。
これはサッカーの現場、学校の現場だけではなく、日常の働き掛けがとても大切です。幼いうちは小さな問題で過ぎていくかもしれませんが、中学、高校になると苦手なこと、やらなければならないことから目を背けていると必ず自分に跳ね返ってきます。
できる・できないだけではなく、取り組む姿勢を育てることはサッカーの現場だけでの話ではなく、むしろ日常の習慣の中でこそ養われるものだと思います。
サッカー少年にとっては、サッカー以外のことに向き合うのは気が進まないものですが、サッカーのために…と考えるとなぜか頑張れたりするものです。やりたいことがあるということは、大きな力になりますよね。
日常のちょっとした習慣が大切
日常生活の中で苦手なことに向き合う機会といえば…食べ物の好き嫌いもそんな気持ちと少し似ているかもしれませんね。食事は子どもたちが日常生活の中での苦手と向き合う最も身近なことです。
指導者をしていると、合宿や遠征で子どもたちの食事の指導をすることが多くあります。もちろん年代に応じて働き掛けるレベルも違いますが、何でもよく食べる子もいれば、お腹空かないのかな? と心配になるような子もいます。
ただもっと気になるのは、好き嫌いの多い子どもがたくさんいることです。こちらから好き嫌いせずに食べるように働き掛けてはいるものの、箸が進まない子や食べようともしない子がいるのも事実です(疲れや環境の変化で食べられない子もいます)。
食事の指導は、サッカーの現場だけでは改善が難しいところがあるので、ご家庭での働き掛けはとても大切です。〝好き嫌いをせずに、まずは食べてみる〟食事の中のそんな取り組みも子どもたちの〝苦手なことに向き合う〟心を育てる機会になると思います。
もちろん強要して無理に食べさせるのは違うと思います。年代に応じてその働き掛けは違ってくると思いますが、例えば…苦手な野菜を小さく切り刻んでカレーに混ぜてしまい、食べられた! という成功体験を少しずつ与えていくなどの工夫も大切だと思います。
苦手なこと、やりたくないな…ということを排除するのではなく、少しずつ向き合わせていく努力が必要です。日常のちょっとした習慣の中で、子どもたちの心が育っていくものだと思います。
大人と不安と先回り
親として、子どもが失敗をしたり、恥をかいてしまったり、傷付いている姿を見るのは辛いものだと思います。しかし、だからといって大人が子どもの先回りをして失敗しないようにしてあげることは、必ずしも子どものためになっているとは言えないと思っています。
今は幼い頃から完璧を求められてしまいます。SNSの発展もそれに拍車をかけているでしょう。楽しくて始めたはずのサッカーも競争ばかりを求められ、失敗をすると怒られてしまうこともあるようです。子どもたちの想いよりも大人の想いが前に出てしまっているのでしょうか。
そのときは失敗だったとしても、いつか振り返ったときに『あの頃があったから今の自分があるんだ』と思えるような時間を過ごしていけば良いのです。
失敗は悪ではありません。
考え方次第では教科書にもなってくれます。
おわりに
自分にも子どもがいます。
人生の中で失敗をしたり、つまずいたり、立ち止まることはたくさんあると思います。もちろん、どのように立ち向かうか助言もするし、最大限の手を差し伸べます。
それでも失敗したり、力が足りずに悔しい経験をすることもあるでしょう。
しかし、大切な子どもであることに変わりはありません。
何があっても一番の理解者であり、味方でいたい。そんな親で在りたいと思っています。
子どもの成長を促すには、まずは何事にも一生懸命に取り組む姿勢を育てること。
その姿勢こそが、結果的にはサッカー上達の近道なのだと思います。